第4話

 遠くでサイレンの音がしていた。 スーという音も微かにしていた。

 散らかった某事務所に宝来正法は、右手にピストルを持って長椅子に横たわっていた。  目が覚め、銃を見て思わず手放す。


「うっ・・・」(ガ・ソ・リ・ン・・・!?)

「うっ・・・」 目をしかめて聞き入る。

 ちゃっぽん・・・ちゃっぽん・・・。 ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅーっ・・・。

 ふっふっふっふっ・・・。 ぎーっ、ぎーっ、ぎーっ・・・。


 何だっ、と思い宝来は、左右に首を振って右側を見た時だった。

 目の前に髪の長~い女の人が居た。

「うっ・・・」 鳥肌が立ち、後ずさりした。 そして、ぶつかる。

 目の前には、柳のような長い黒髪の毛が有った。 目が点に成る。


「私~の~髪~の~毛ェー・・・」 ( 後頭部に当たっている・・・ひ・た・い・・・!?)

 直ぐ後ろの 《 物 》 から女のかすれた声が聞こえた。

 体が震え、寒気がし、体や額から冷や汗が流れた。

 毛が腰あたりから両肩まで 逆三角形を作って広がっていた。


 後ろに下がったのか!? 宝来もやや下がった!?

 実際は、貧血!?に成ったのか!? ふ~っ、と前に倒れたのだった。

 ビックリして一瞬顎を引き、反動で少し後ろに下がって上を見てしまったのだ。

 心臓が緊急停止、そしてフル可動。 唾を飲む、声が出ない。

 

 見てしまった、女の怨念の《 目 》を。

「・・・・・・んっ、・・・ぎゃーーー・・・・・・」 宝来は、何もかも 振り切るように走り出し、回りに回ってドアを開けて走り出た。


 行き成り三つ程のサーチライトが当てられた。

「両手を上げろ~、両手を上げろ~、あなたは、警察に包囲されている、両手を上げろ~、両手を上げろ~」

 一瞬にして雨を遮断、しゃぼん玉の手中内に《 何かを首に掛けられた 》

 雨が降る中 肩に重さを感じ、ふと右背広を開いた、自動小銃があった。

「・・・は・め・ら・れ・・・」  

 ドキューン ドキューン 発砲。

 警官隊は、出て来た犯人に対して一斉射撃をした。

パンパンパパンーッ×∞。  蜂の巣状態に成った。

 事務所が大爆発!?をし、炎を噴き出す。


 宝来は、体を燃やし、爆風で吹き飛ばされ、 うつ伏せに倒れた。

 ゴロゴロ~、バシャバシャバシャ~、シャー・・・・・・豪雨が、その場の事件を洗い流していた。

 そして宝来正法は、誰一人として判りし得ない暗い闇へと落とされて行った。

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