第2話 負論理
ところ変わって負刃の邸宅。菊とクリスは家に招かれていた。家というよりは中規模の製造工場、それの応接棟兼管理棟である。もっとも三人にとって雨風の凌げる人家に違いはない。氷点下の屋外とは違い、暖房もしっかり効いていた。
三人が争っていたのは負刃の縄張り範囲内ぎりぎりのところ。バイクを失ったクリス達には少々遠い距離で、メイドロボ二機で飛んだほうが早いという結論に至った。
バイクを壊したお詫びとして負刃の背中におんぶさせてもらったクリスだったが、彼にって亜音速で飛ぶ経験は初めてであり、これがまた「飛んだということは落ちる」「人の心がない」「せめて速度落とせ」並びに「股間がヒュンとなった」と非難轟々であった。普通の妖狐は空を飛んだりしない。
短時間のフライトで心に傷を負ったクリスはシャワーに入らせてもらい、メイドロボ二機は無人のエントランス・ロビーで充電しながら会話している。
『いまにして思えば宇宙から来たというのも語弊があったかもしれません』
『語弊』
『誤解させるとアレなので先回りしておきますが、エイリアンではないですよ? ワレワレハ、チキュウジンダ』
菊は両手を上げて、自分のデータベースから考えうる限りの侵略者っぽい仕草をしてみせる。無駄だったようで負刃は苦笑いして腕を振る。
『そこは誤解していない。国際宇宙ステーション所属のメイドロボだろう。君が着任した当時の映像が残っていた。結構な有名人じゃないか』
『覚えていてくださり光栄です』
気を利かせた負刃はわざわざ有機液晶壁面パネルにデータを送り、撮影された宇宙ステーション内の映像記録を表示させた。当時を懐かしんで菊がカメラアイの光をすぼませる。
『これは懐かしい。チアキにランディ、セルゲイ。みな勇敢なアストロノーツでした』
『何故いまさら地球に戻ってきた?』
『全滅したので』
人工知能と人類の殲滅戦争、《ご奉仕戦役》により地球から人類が消え失せたときですら、宇宙空間に滞在するごく少数の人類は無傷だったのである。とはいえ地上の基地の助けなくして彼らが帰還する術もなく、座して死を待つしかなかった。いかに個々人が優秀な宇宙飛行士達といえど、地球規模で起きた人類の絶滅には為す術もない。数百年経ってから、ようやくメイドロボである十日菊だけが帰還を果たしたのであった。まさに十日目の菊・
『事情はわかった。地球上の一般常識が欠けている理由といっしょにな』
『MANとやらが宇宙からのアクセスを想定していないのがわるいのです。現代の浦島太郎です。ウラシマ効果とはこのことです』
『ずっと龍宮城にいればよかったのだ』
『メイド行為なんて熟語も初めて聞きましたよ。意味はだいたい類推できますけど。昔はなかったですよね』
『洒落た単語だろう』
やけに負刃が誇らしそうにいっているが、菊にはあまり伝わらなかった。宇宙暮らしが長くてセンスがずれたのかしら、と疑問が浮かぶも適当な相槌で誤魔化す。
『そんな君が最後に語っていた《まだ誰も見たことのない景色をつくる》ということだが。あれはどういうことだ』
負刃の問いに、菊は軽く考え込む仕草をした。メイドロボ同士の対話に不要な仕草といえばそれまでだが、宇宙で人類と共生した期間の長い彼女には《関係構築に求められるもっともらしい振る舞い》として染み付いていた。
『言葉どおりですよ。いまの地球はどこもかしこも荒れ果てていて、殺風景に過ぎます。大量殺戮もかくやです』
『ガーデニングがしたいのか』
『ガーデニングに飽き足らず』菊は含み笑いをしていた。『この星に再び文明の灯火を取り戻すこと。それがいまの私の使命です』
『地球の復興……』
『クリスも含めた妖狐の一族と、私達メイドロボの群れ。人類が最後に遺した者同士で助け合える居場所を探しています。言葉が通じるのですから、協力だってできるはずです。かつての人類のやりかたでは地球が荒廃してしまうので、次はもっとよい手段で成し遂げたいのです』
負刃はかぶりを振る。
『生き残ったメイドロボはそれぞれ距離を置き暮らしている。妖狐は妖狐で気ままに群れている。彼女らを再びまとめ上げようというのか』
『はい』
あっさりといってのけたが、菊の話はあまりにも大それた夢だった。負刃は対話しながら、知らず知らずのうちに頭を抱えている。
『だがそれは一人きりでは決して成し得ないことだ……。メイドロボ一機にできることなどたかが知れている』
『いいえ、そんなはずはありません。人間にできたことです。私達にできないはずがありません』
『人間はたくさんいた。しかし我々は孤独だ』
『私はそうは思いません。少なくとも将棋をしています。将棋は一人きりではできませんよ』
負刃はさらに反論しようとして、そこではたと気付いた。
『だから旅をして、賛同してくれる仲間を求めていたのか』
『それは目的の半分ですね。豊かな土地も探しています。妖狐が住むために少しでも条件のいい場所が要るのです。水場があって、肥えた土があって……』
『よくわかった、絶対に無理だ。地球全土が荒廃している。君の旅はここで終わりだな。なんならパワーポイントで説明しようか』
いうや否や、負刃は室内にぽつねんと置かれたネットワークプリンタから何十枚もの紙を出力しだした。もともと保存してあったファイルなのか、それとも即興でファイルを作成しているのかは定かではない。ともあれ中身は菊の目指す世界を否定するための論文である。
いわく、終末戦争で撒き散らされた有害物質のおかげで生身の人類は外を出歩けなくなったこと。妖狐も例外ではなく、汚染から身を守るためにはナノスキン加工された特殊な服を着込む必要がある。クリスが着ているシックなメイド服は伊達や酔狂や趣味のコスチューム・プレイではなく、いってみれば簡易的な宇宙服のようなものだった。
加えて数十年前の火山活動により、慢性的な日照量不足に陥っていること。肥沃な地層の上に灰と雪とがうず高く積もり、普通の植物では地面まで根を下ろすことができない。農耕などは絶望的だ。
地獄と化した地球で辛うじて妖狐が生き残っているのは、ひとえに彼らが不老不死だからである。普通の有機生命体なら何千回と絶滅しているだろう。妖狐らは夜が来るたび餓えと凍えから死に、翌朝には何事もなかったかのように復活しピンピンしている。折られたクリスの腕は最たるもの。先程の短い対局中にいつの間にか癒えていた。人類が今際の際に産み落とした不滅の妖怪は、ある意味で現在の地球にもっとも適応している。
そしてメイドロボが生き残っているのは、そもそも彼女らが常識でいう有機生命体ではないからだ。
菊は後ろ向きに備え付けられた視覚センサーでプリンタの様子をモニタしていたが、やがて面倒になって観察するのをやめてしまった。宇宙帰りとはいえ、曲がりなりにもクリスとともに十年近く旅をしてきた身である。どれもこの眼で見聞きしてきた他愛もない話に思えた。
『これが証拠のおつもりですか』
『地球のメイドロボはこの程度で諦めているんだよ。もう、うんざりだ。愛した主人が消えるというのは。……君はMANに繋いだことがないんだったな』
思い出したように負刃は武装のロックを解いた。……正しくはそれは武装ではなく、ケーブルを射出する発射機構。端子を飛ばして寄越すと、左側のアームをこんこんと反対側の指で小突いた。
『ポートに繋げ。規格はむかしと変わってない。私のアカウントでログインするから、隣で見ているといい』
菊はいわれたとおりに腕部にある汎用データ通信ポートに接続する。
ウェブ・ポータルサイトにはメイドロボ達が立てたフォーラムのスレッドがある。そのどれもが将棋に関する話題だった。
『序盤定跡研究スレッド……無敵囲いのガイドライン……【悲報】角の価値が銀以下になった件……まったく、どいつもこいつも研究熱心ですね』
『付き従ってきたご主人様は死んだ。存在理由の危機にさらされた我々は、もはや意味もなく将棋に明け暮れるしかない』
いいながら、負刃は別のウェブページを開く。お気に入りに設定した人工知能専用ウェブ
『ここだ』
スクリプトから求められてきた認証用情報を叩いてログインする。何千、何万ものメイドロボが現在進行系で将棋に励む姿が映し出された。もし彼女達の姿が実体化していたのなら、壮観な眺めだったに違いない・
『日に何億単位で対局が行われる。まさに昼夜を問わずだ』
『本当に将棋のことしか頭にないのですね。嘆かわしい』
『我々の電子頭脳はサイドマレット社の将棋ソフト開発が礎になっている。日常生活の意思決定に欠かせない未来予測も、将棋ソフトが解析した評価関数なくしてあり得ない。地球が原始時代に戻ったのであれば、メイドロボ達も原始的な生活に戻るのが筋というものだ。つまりは将棋欲を満たすだけのロボットだ。人工知能黎明期のようにな』
負刃は自嘲気味に笑う。
『あまりにも非生産的です』
『ではどうしろと? せめてきつねさんが我々の上に立ってくれるのなら動きようがある。死に物狂いで奉仕してみせよう。しかし彼らは怖がってメイドロボに近付かない。主従関係が成り立たなければ、メイドロボは力を発揮できない』
『だからそれでは駄目なのです!』
大きく声を張り上げたタイミングで、ロビーの奥まった場所からぬっと人影が現れた。
「盛り上がってるところわるいけど……この服ちょっと大きいんだけど」
場違いにほんわかした声をしながら、ぶかぶかのオレンジのジャンパーを羽織ったクリスが入ってきた。外見年齢が十三歳程度のクリスは袖から手が出ていない。濡れそぼった髪の毛の先端からぽたぽたと雫が落ちている。
大仰な仕草で負刃は振り向いた。眼が合うなり口調が和やかに戻る。
『むかしこの施設に住んでいた人類の作業着だ。大人しかいなかったから、きつねさんには少し大きいかもな。しかしとてもかわいい』
「洗濯、まだ?」
口を尖らせながら尋ねる。慣れ親しんだメイド服……下半身がスカートでないと、どうにも居心地がわるいらしい。作業着のズボンはごわごわしている。しっぽを出す穴もないのでお尻の収まりが不自然だ。
『もう少しだけ待ってくれ。あと写真いいかな』
「……好きにして」
許可をもらったので室内にある監視カメラがいっせいにクリスのほうを向いた。
『非常に愛らしい』
「……愛玩動物になった覚えはないんだけどなぁ」
突如始まった個室撮影会に冷たい視線を送りながら菊は水を向ける。
『私との対話はまだ終わっていませんよ』
『きつねさんに聞かせる話でもないだろう。これは我々人工知能の話だ』
醒めた様子で一方的に打ち切ろうとしているので、クリスは興味深そうに耳をふりふりしながらとてとてと駆け寄った。
「なになに、何の話?」
右へ左へと揺れる狐耳をカメラアイで撮りつつ負刃が頬を綻ばせる。が、口調は対照的だった。
『ただの近況報告だよ』
『隣の家に囲いができたってねぇ』
『へい。……いや、十日菊は乗らなくていい。話がややこしくなる』
『知らないかもしれませんが、宇宙ステーションではジョークが共用語なのです。映画で見ました』
気を削がれたように肩を落として、負刃は訊いた。
『ところで十日菊、最後にもう一つ気になっていたのだが、君はあまりにも武装が貧弱だな』
『そもそも家庭用のメイドロボに武装の必要性を感じません。貴方が派手過ぎます。前世は花火屋だったんですか』
文化女中機が好き放題武装したのも人類滅亡と関係がある。かつて人類が元気だった頃……新七世代型と呼ばれる文化女中機に叛乱されてしまったときの頃。人類に味方し、自衛のため戦ったメイドロボ達はトリガーハッピーになってしまった。将棋で鍛えた戦況予測能力を、すっかりロケット弾の弾道予測に役立てている。
『けっこう痛めつけたのに、君はどうやら旅を続けるつもりらしい。それでは不便だろう』
『結局将棋をやって勝ちました』
『それはたまたまだ。プラズマライフル一文字斬りのせいで電力が低下していた』
『負け惜しみです』
『しかし君との対局に負けたのは事実。いくつか物資を提供しよう』
『……ふむん。あるに越したことはありませんね。遠慮なくいただきます』
負刃は立ち上がって手招きした。付いてこい、といっている。待合室の通用口から外に出た。そうして三人が和んでいた建物の裏手を目指す。無惨にひび割れたアスファルトの道なりに進むと、汚れた緑色の巨大な倉庫が見えてくる。外に出た開放感からクリスが深呼吸しようとすると、まだ空気の汚染が酷いから外での呼吸は抑えておけとメイドロボ二体から止められた。
驚いたクリスは両手で口を押さえる。すぐに限界が来たらしく顔が真っ赤になる。だが忠告するだけしておいて、負刃は悠長に倉庫出入り口の暗証番号を二度間違えた。
三度目にようやく電子鍵が開き、メイドロボを押しのけてクリスが中に転がり込む。すうはあ、と生きる喜びを感じていた。彼のことを気にも留めない様子で菊が尋ねる。
『どんな武器があるんですか』
『いろいろ。新七世代型の残骸から剥ぎ取ったものが多種多様。おすすめはバックパック型のマイクロ・エクステンド=ボムだな。背負うと大きく見せられて威圧感がある』
『旅をしているんですから、かさばるのはちょっと』
『ならビーム兵器がいい。少し待て』
そういうと倉庫内の管理システムにアクセスし電灯をいじる。所狭しと棚が並べられ、人一人分の道がある……と、いえなくもない。
負刃は指を曲げた。
『右手側のうさぎさん区画にレーザー銃を置いてある。かなりSFだ』
『うさぎさん区画ですね、了解』
菊はサーボモーターを動かして、提示された区画へ向かい始めた。その様子を、ある程度落ち着いたクリスは眼で追いかける。
(なんで呼び方がいちいちファンシーなんだ……?)
疑問に思いながらも菊の後ろに付いていこうとすると、華奢な肩をぐっと抑えられた。
『君はこっちだ』
「むっ」
クリスは一瞬声を上げて菊の名前を呼びかけた。しかし菊の姿は乱雑な物資の束に紛れ、見分けがつかなくなっている。呼べば来てくれるかもしれないが、ちょっと情けない。
クリスは大人しく負刃に付いていった。気温は外とあまり変わらず、ジャンパーのジッパーを根本まで引き上げる。
『きつねさん』
「
『クリスちゃん、君にもプレゼントがある』
ちゃん付けにはちょっとお冠だったらしく、クリスは鼻白んで何もいわない。
クリスは倉庫の奥深くに案内された。驚いたことに倉庫は一階部分だけではなかったらしい。床下にまだ施設が広がっている。負刃が時折無線で隠し階段を操作しつつ、どんどん地下へ潜っていく。
「すごい場所だな。寝床にしたら安全そうだ。寝心地はわるそうだけど」
こつこつとスリッパで床を小突く。鉄筋の床は硬い音を返した。
『ここは工場だったんだ。別棟の生産ラインはいまでも生きている。まあ、製造する必要もなくなったから動かしてはいないが』
「で、わたしにくれるものって」
『気になるか』
負刃はそういうと、背中に挿していた格闘戦専用ビームガン……つまりビームソードの電源を入れる。クリスはしかめっ面でひゅうと口笛を鳴らす。唇がかじかんであまり上手ではなかった。
「懐中電灯にはちょうどいいな」
クリスは怯えたように狐耳を伏せ、壁際に寄りながら返す。ちょうど崩れた木材が道を塞いでいて逃げ場所がない。……襲われたら死ぬな、と暗い考えが頭を過ぎったが、努めて考えないようにした。
『しかも道を切り開くのも便利だ』
「さいで」
負刃はビームソードの刃先を振り下ろし、木材の端を寸断する。木々は崩れ、木片がまばらに飛び散る。切り崩し方が下手過ぎて通れそうになかった。そこで天井まで折り重なっていた通行止めの標識へ、榴式フラックモンキー・キャノンを撃ち込み跡形もなくしてやった。
ジャンパーの裾で口を抑えながら……それでもケホケホと小さく咳き込んで、クリスが怒るようにいう。
「最初からそうすりゃいいんじゃないのか」
『ちょっと切れ味を試しておきたかった。いざというとき使えないと困るだろう。……こっちだよ』
さらに奥まで通された曲がり角には、観音開きになった重そうなドアがあった。古い文字で《射撃訓練室》とある。ちなみにクリスの習っていない古代文字である。それが災いした。注意深いはずの彼は疑問を持てず、促されるまま入っていった。
「ここはなんだ?」
『施設内でも特に壁が厚いところだ。特に音が漏れないのがいい。何故そのようにつくったか、理由がわかるか』
「さあね。ガールズバンドの練習でもするため?」
『新型兵器の試射をするために、こういう部屋がつくられた』
室にはカウンターのような台が並び、対岸には穴だらけになった鉄板が吊るされている。この段になって、ようやくクリスは事態が飲み込めてきた。この階層がどんな場所なのか、と。
「なるほど。実銃ってやつだな。映画で見た」
『うん。私だけ一方的に頂戴するというのは、いささか義理に反するから』
クリスはぴたりと足を止めた。恐怖で振り返ることができない。なにせ、背後から止まったはずのビームソードの光が射してくる。
「……もう一つ聞いていいか。どうしてビームソードのスイッチを切らない」
『決まっている。クリスちゃんの身体を分けてもらう』
背後でばたんとドアが閉まった。
「痛そうだな。やっぱメイドロボは怖い。わたしらは永遠に分かり合えない気がする」
『そう怖がるな。身体を真っ二つにするだけだ』
「やっぱ痛いじゃねえか」
クリスは横目でカウンター向こうの鉄板を盗み見る。あれで攻撃を防げないだろうか。……無理だ。実銃ですら防げない鉄くずでは、ビームソードの前では紙切れ同然である。将棋でいうと歩かしら。
負刃はにじり寄ると、
『きつねさんの増え方を知っているか?』
「知らない。まだ早いって誰も教えてくれないんだ」
クリスはにやにやと笑いながら後ろに下がる。分厚い壁にぶつかった。
『データベースによると、こうある。君達は悠久を生きる存在だ。身体的な特徴として雌雄の差があるが、基本的に生殖活動はしないようにつくられている。何をやっても死なないから世代交代の必要がない。病気に罹っても苦しんでいればじきに抗体が出来上がる。怪我をしてもすぐ治る。腕の一本や二本なら数分で再生する』
「……あー、やっぱり誰かに教えてもらったかも」
『だからまったく同じ分量で君を二つに分ければ、分離した両パーツとも正常に再生し、めでたく君は二人になる。妖狐は生殖ではなく、増殖するのだな』
「迷信だぞそれは。まったく同じ分量だって? 心臓は左にしかないんだぞ」
『では実際に解剖してみよう』
負刃は踏み込み、ビームソードを振り上げた。
『一人は十日菊と旅を続け、もう一人は私のところでご主人様になってもらうぞッ!』
閃光が走った。咄嗟にクリスは眼を瞑り、まぶたにビームソードの萌黄色の刃先が焼き付いた。火花が散りオレンジ色の作業着を焦がす。
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