「団地」
団地に潜伏している男の生活サイクル、全ての情報はわずか数日で既に完全に掌握されていた。
盗聴器を仕掛けた例の男の潜伏する隣の部屋にかまいたちから二人が潜入し、残りは洞窟で待機していた。
「明後日、他のテロ構成員がこの団地にやってくるようです。男は明日一日、受け入れのための準備に入る模様」
かまいたちの洞窟には改めて不知火から二号が派遣された。
連日の山越えである。
パソコンを駆使してあらゆる情報を掻き集め侵入し本部に猛スピードで暗号の送信を繰り返している。
かまいたちの長は二号を経由して本部のリーダーに伝言を頼む。
「恐らく団地内の六号棟なら敵に怪しまれずにこちらが潜入し待機する事が出来ます。現在野営を張っている洞窟を撤収し、そちらに移動する事を許可して欲しい」
「代表に相談し検討する。三十分、待て」
待機中は全員で野営を畳む準備をした。
恐らく許可が出る。わかっている。形式的なあれだ。どちらにせよ相手に感づかれる前に一度野営の移動は必要だ。
二号だけはすみっこの岩に腰掛けてノートパソコンを見ながら泣き言を喚いている。
如何せん入口に近い場所にいるとはいえ洞窟は洞窟、電波状態が余り良くないのだ。何度も伊達メガネをずり上げながら怒っている。その中で最善を尽くさなくてはならない。
そして十分も待たずに連絡が来た。
移動を許可する。
そこから十五分後には洞窟はもぬけのからとなり、静かに水滴の落ちる音が響くだけとなった。 虫の声さえ響かない。
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