ルタとフォン

白と黒の光が放たれてからどのくらいたったのだろう。アルマは夢見心地でいる。


「アルマく〜ん、起きてぇ〜。」


「アルマ〜、そろそろ起きぬかぁ〜??」


アルマの頭の中に2人の女性らしき声が聞こえる。アルマは夢の中で「あともう少し〜、ムニャムニャ」など呟いている。


「「アルマ!!起きろ」」


「うわぁ〜」といいながらアルマは飛び起きる。そこはいつもと変わらないアルマの寝床。アルマの家には床は無く地面むき出しの土でアルマ部屋とトルムとメルシャンの部屋、ダイニングキッチンとリビングらしい部屋に分かれている。


「ん、、、ここは、、家だね??」


アルマは欠伸をして髪をポリポリ書きながらどういう状況なのか考えている。


「え〜っと、何してたんだっけ??父さんと森まで魔石を取りにいって僕が森の中に入っちゃったんだよね。んでゴブリンに見つかって、、、!!!父さんは??」


アルマは寝起きから意識が鮮明になってきたのか自分が犯した行動が危険な行為だった事に気付き、父さんが今どこにいるのか心配になっていた。すると、突然ドアがバンっと開いてドアからトルムとメルシャンがアルマを見ていた。


「アルマ!!!よかった目を覚ましたか!!」


「大丈夫なの??ケガはないようだけど痛いところはない??」


トルムとメルシャンに矢継ぎ早に尋ねられてアルマも「大丈夫!!」と笑顔で笑いアピールするとトルムとメルシャンからホッと息が漏れた。


「よかったわぁ〜何事もなくて。じゃあ、あなた、アルマ。そこに正座して??」


「「えっ??」」


「メルシャン、アルマも無事だったんだし今回はいいじゃないか?」


「そ、そぉですよ、母さん。この通りバッチリです。」


アルマは立ち上がり両腕を天に向けて曲げたり伸ばしたりして全開アピールしているが、、、メルシャンはにこやかに、、、


「正、座」


「「はい、、、」」


そのあとトルムとアルマはメルシャンの前に正座してなぜ森に行ったのか、危険とわかっていて森に入ったのか、アルマを1人にしたのかをメルシャンからこっぴどく怒られた。


「こわかったぁ〜、メルシャンあんなに怒るんだな。」


「母さんってあんまり怒らないの?」


「母さんは怒らないなぁ〜、おれも怒られたことがない。今回はまぁ〜自分の息子に何かあったんならそりゃ心配になるだろうからな。怒られて当然か。」


そんな会話を家の片隅でヒソヒソ話していた。


「まぁ無事に帰って来たんだから良しとしよう!とりあえずアルマは顔でも洗ってこい。」


「わかった!」


アルマは家の側に置いてある甕に溜めておいた水で顔を洗う。洗い終えて水面に写る自分の顔を見てアルマはふと違和感を感じた。


『なんだこりゃ〜〜〜』


アルマは叫びあわててメルシャンの元に向かう。


「母さん、僕の目が、、目が、、、」


アルマは慌てているのか口がアワアワしているがメルシャンはしってか知らずか、、


「そうなのよぉ〜アルマ。トルムが慌ててアルマを抱えて帰ってきた時には変わってたのよぉ〜」


多少はアルマを心配しているメルシャンが言った。


アルマの目は左目の色がどこまでも澄んだ青色(ブルーアイ)をしており右目は烈火の如く燃え滾る赤色(レッドアイ)になっていた。いわゆる『オッドアイ』というものだ。


アルマも当初は「なんで??なんで??」など考えていたが時間が経つとちゃんと物も見えるし困る事もなかったのでもう気にしない事にしていた。トルムもメルシャンも僕が気にしないって言うのを聞いて「わかった」と言ってくれている。


しかし困った事がある、、、、


「アルマくん、アルマくん!」


アルマがいつも通りトルムやメルシャンと畑仕事をしていると誰かに呼ばれたような気がする。振り返ってもそこには誰もいない。


「アルマよ、こっちを見よ!こっちじゃ!!」


また呼ばれたので辺りを見回すが周りにはトルムとメルシャンしかいない。


「アルマ、どうした??」


「いや、誰かに呼ばれたような気がして、、」


「おれもメルシャンも呼んでないぞ」


「そうだよね、、、気のせいかな。まだ森に行った時の疲れがあるのかなぁ。」


畑仕事をしながら心の中で呟く。


夕ご飯の時も、、、


「ア、アルマよ。妾は人参が嫌いでな。出来れば食べてくれるな。」


そんな声が聞こえてくるので時々その声に返答してしまって、、


「人参は栄養もたくさんあって甘くておいしい食べ物です!!」


などアルマが真面目な顔で言うもんだからメルシャンから「もちろんです!アルマは人参食べられて偉いですね!」とか返ってきたりする。


そんな変な声が聞こえ出して数日後の夢の中。


「アルマくんアルマくん。そろそろ気づいてほしいのだけど、、、」


どこからかそんな声が聞こえてきたので答えてみた。


「声が聞こえるのはわかります。ですが誰の声なのかわかりませんし、そもそも声だけなので誰かわかりませんよ。」


「それもそうだね〜、じゃあ形を変えてみよう。」


そんな声が聞こえたかと思うとアルマの前が白く輝き徐々に人のような形が現れる。


「ふぅ。こんな感じでいいかな??アルマくん??」


アルマの目の前に現れた女性は、身長が170㎝程で体は白いフルプレートメイルで覆われている。眼は澄んだ青色で髪は金髪で長いのか髪を頭の後ろで纏めて留めている。顔は人形のように整っている。


結果急に現れたフルプレートメイルを着た美女にアルマは見惚れている。


「ア、アルマくん??」


ルタに話しかけられてハッと我に返ったアルマは、


「ごめんなさい、びっくりしました。急に綺麗な人が出てきたから。」


「ふふっ、ありがと。私はルタっていいます。よろしくね。」


ルタという女性はアルマを見て笑いながら挨拶をした。


「そういえば、あと1人いるんだけど、、、いないわねぇ、、、フォン〜、フォン〜??」


「なんじゃ、ルタ。妾を呼んだかの??」


明るい声が聞こえるとアルマの前に今度は黒く輝きその中から小さな美少女が現れる。


目の前に現れた美少女は見た目は10歳くらいの少女で真っ赤な足元まで続くロングワンピースを着て肩から黒のロングマントを着ている。容姿は整っていて髪は白く眼は烈火の様な赤色をしている。


「妾はフォンという。よろしくのぉ」


可愛い微笑みを浮かべながらまた挨拶を交わす。


「はい、フォンさんお願いします、、、。」


これが人生を共にするルタとフォンとの出会い、、、、

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