平民と作物と何気ない1日
勇者と魔王の死闘から1000年後、、、
ここは都市ミストルから南へ3日馬車で移動した村集落オルタ。村の人数は30人程で主な仕事は畑仕事と近くの森で見かける野うさぎの狩猟をするくらい。近くに清らかな川が流れているので生活するには何も困る事はない。
今日も平民であるアルマは父親、母親と一緒に畑仕事に勤しんでいる。
「父さん、そろそろ休憩しようよ。」
アルマが汗を拭いながら父親に話しかける。
「そうだな、そろそろ休憩だな!よし!お〜い、メルシャンそろそろ休憩にしようか!」
「はぁ〜い、わかりました、あなた」
メルシャンは大きな木の下にカゴを置いて中から黒パンの間に野菜を挟んだサンドイッチのような物と水を出した。
メルシャンが準備をしている間に畑仕事を切り上げた父親のトルムとアルマが大きな木の下に向かう。
「はい、あなた。そしてこれはアルマね。」
「ありがと、メルシャン」
「おいしそ、ありがとう、母さん。」
メルシャンから受け取ったサンドイッチをムシャムシャと齧り付く。「おいしい!」とアルマはメルシャンに言うと、メルシャンは実に嬉しそうに微笑みながら、アルマとトルムに水を差し出す。
「父さん収穫はいつぐらいになりそうなの??」
畑に植えた赤い実を実らせるトマトらしき作物を指してアルマは言う。
「ん〜もっと暑くなってからだろうなぁ〜まだまだ先だな!!」
トルムはアルマに言いながらサンドイッチに齧り付く。トルムはサンドイッチを咀嚼しながらメルシャンの方を向き、笑顔で親指を立てた。どうやら〝いつも美味しいよ!〝の合図らしい。
「そっか。長いなぁ〜、早く暑くならないかなぁ〜。」アルマは作物を見ながら呟く。
「まぁ、気長にな。しっかり手入れしていれば暑くなる頃には収穫できるさ!」
トルムは最後のサンドイッチをパクッと口の中に詰めて寝転がって休憩した。
休憩した後はまた畑仕事を再開し日が暮れる頃には家に帰り3人で風呂に入り質素ながらも夕ご飯を食べてアルマを挟み3人並んで寝る。お金はもちろんない。だかお金がなくともここには幸せで満ち溢れている家族がいる。トルム、メルシャンそしてアルマも毎日が幸せであるよう祈りながら1日を終えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます