勇者と魔王が平民と
天家 楽
死闘と平和
1000年前まだ1つの大陸であった時の出来事。勇者ルタが率いる兵士達と魔王フォン率いる魔族は永きに渡る戦いに終止符を打つ瞬間を迎えていた。ルタとフォンが対峙して構えている先では兵士と魔族が命を賭けて戦っている。
「魔王よ、そろそろ決着の時だな。」
白いフルプレートメイルを着ている勇者ルタは両手剣を前にかざし魔王に突き立てる。フルプレートメイルは戦闘よる攻撃を受けて右横腹はボロボロに破壊され下から着込んでいる黒い服が見えている。他にも右脛のあたりや左腕の部分はメイルが落ちて白い素肌がむき出しになっている。
『うむ、!!永きに渡る戦いを終わらせるとしようかのぉ。』
赤いロングドレスに黒のマントを羽織った魔王フォンは両手杖に両手を置いて勇者ルタに向けて語る。魔王も赤のロングドレスは切り刻まれてスカート部分は右太ももから左脛にかけて斜めに切れている。上半身も彼方此方に切られた跡があり隙間からは魔王の白い透き通るような素肌が見える。
勇者ルタは両手剣を地面と平行になるように突き出して魔法の詠唱を始めると両手剣が徐々に光輝き始める。
「魔法剣エターナル・ソード」
ルタが魔法を発動させると両手剣が眩しく輝き出して膨大な魔力が溢れ出す。
『まだこのような力を残しておるとはのぉ、、、おしい奴じゃ。共にいればさぞ面白い楽園を気づけたものを、、、じゃが妾もここで倒れるわけにもいかぬ。妾は魔族を守り抜かねばならん!!!」
勇者の底知れぬ力に笑みを浮かべ魔王は己の全魔力を両手杖を込めて瞑想を始める。するとスゥッと両手杖から湧いてくるようにフォンの周りには火、水、土、風、雷、氷、光、闇、時空の精霊が現れて両手杖の上に集まりグルグル回っている。
瞑想を終え目を開けると精霊が両手杖に収束しフッと何もなかったように輝きが散る。
『 精霊魔法 無界 』
魔王が魔法を発動させ各属性の精霊が錐揉みに混じり合い勇者ルタへ放つと勇者もその場から光の如く移動し魔王まで詰め寄り構えた両手剣を縦に振り下ろす。
魔王が放つ精霊魔法と勇者が振り下ろす魔法剣が交わる瞬間、、、この世の終わりともとれるほどの大規模な爆発が起こり草木は消滅し、砂や岩が爆風で舞い上がっている。お互いの衝突により1つであった大陸の地面には亀裂が入り大陸が十字に割れた。兵士達や魔族は突然の爆発に驚愕し頭を向けて硬直する。
お互いがぶつかりあった直後は土煙に覆われ周りが全く見えない。しかし、時間が経つにつれて覆われた土煙が散り周りの景色を見渡すと、半径1キロに渡る大きなクレーターにより地面は沈没し中心には2人の影がある。
『よもやこの妾がやられるとは、、、。』
両手杖をついてギリギリ立っている魔王は左肩口から心臓付近まで引き裂かれ血を流し、口からは吐血した後がある。
「ホント、、、魔王の野望を阻止できてよかったですよ。まぁ私もやられてますがね。」
対する勇者も無事ではなく腹の中心や片手、片足が千切れてなくなり魔王に寄りかかって倒れる事を逃れている。
『無論じゃ!!魔王だけやられたのでは死にきれんわ!!勇者は道づれじゃ、道づれ!!』
魔王も命が短い事を悟っているのか戯れるような声で悪態をついた。
「まぁそれも仕方ないですよねぇ〜••••••」
勇者も魔王と同じように感じているため素直に魔王の悪態を受け入れて笑った。
『勇者よ、力尽きる前に伝えねばならんことがある!!よいか??では••••••』
『光ある所に闇は必ずある。闇のみが無く事はない。妾が破れようともまた新しい魔王が生まれ世界を混沌の世に落とし入れるじゃろう。』
某ゲームで謳われるであろう文句を魔王は読み上げた。
「うわぁ〜力尽きる前のテンプレですねぇ〜。では一応私もテンプレをいいますかぁ〜、、、、」
「闇が生まれ混沌の世に落とそうとするなら人は希望の光を求める。希望の光があるなら魔王を打ち滅ぼさんとする勇者はまた生まれるでしょう。」
勇者も同じように謳われるであろう言葉を魔王にかける。
『ぬっ!テンプレじゃな!!聞いた事あるかも知れぬな!!まぁよいそろそろ頃合いじゃな。妾もそろそろ力尽きるようじゃ。』
「そうですね、もうそろそろ私も力尽きそうです。」
『「では、、、」』
互いに自分の世界のために戦った勇者と魔王であったが長く戦っているうちにお互いを認め合っていたのか寄り添って立っている2人は最後の言葉をかけるとほぼ同時に目から力が無くなり2人とも笑顔を浮かべ地に伏した。
その後の勇者と魔王を見たものはいない。しかしその後兵士達と魔族は勇者と魔王が倒された事を合図にしてお互い撤退し、長く続いた戦いは終わり平穏な世界に戻ったのは間違いなかった。
これは勇者と魔王が1人の平民と出会う1000年も前の戦いにして3人が出会う必然の物語ーーーーーー
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