ただ春待ち

 ただ春待ち。


 桜の並木道が染まるのはいつのことだろうか、

 そこに私はいるのだろうか。


 ただ春待ち。


 自らの手で触れる土の感触は、

 そのまま、私の心臓を動かすきっかけになるのか。


 ただ春待ち。


 鼻をくすぐる、その落ち着く香りは、

 明日を導く道標になるのか。


 ただ春待ち。


 落ち着かないその色を見るこの両目は、

 果たして、次にどのような風景を私に見せるのか。


 ただ春待ち。


 つまらなかった、この人生を

 どうか埋めあわせるほどの色使いを。


 ただ春待ち。

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