心象風景

 季節は秋が好きだ。


 これから来る『冬』という名の終わりに、彩を与えてくれる。


 でも、そんなものはただの光の反射だとか、化学物質がどうとかと知って。

 

 自分が感じたこの感情ですら、何かで証明される時代がいつか来るのだろうか。


 美しいものは、美しいままで。


 知らないことがあることを美しいと思えた。


 ビーナスの輝きが黄金比率の生み出す目の錯覚だとか。


 夜光るホタルの輝きが、ホタルの中にある発光成分がどうだとか。


 そんなことを知るために生まれてきたのではない。


 そんなこと、知りたくもない。


 風はどこかへと流れてゆく。


 自分が今学んでいるものにケチなどつけたくはないが。


 知らないものは知らないままで。


 美しいものは、美しいままで。

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