第21話

 瞬間、僕は悟ってしまった。頭の奥が、カッと熱くなる。

「じゃあな」

 北澤はふと表情をゆるめ、反対のホームへ歩いて行った。その後姿を、しばらく見つめる。


ドクンッ

ドクンッ

帰りの電車の中で、僕は心臓の動きが早まるのを、抑える事ができなかった。


知っている。

北澤は、僕の気持ちを知っている。

やはりあの時。

見られていたんだ。

いや、ずっと前からなのか。

とにかく、

知っているんだ。

知っていて、


北澤の顔が脳裏に浮かぶ。


後悔するなよ。


でも、北澤は嫌なんだろう?

生理的に駄目なんだろう?

僕は、

僕は一体どうしたらいい。

北澤。


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