第22話

あっという間に二週間が過ぎた。

北澤には会っていない。事前に、仕事の引継ぎや実家に帰る等で出発まで忙しいと聞いていた。

僕はあれからずっと、悩んでいる。

告白してしまえば、どうなるだろう。

もちろん断られる。北澤は気にしないだろうけど僕は友達に戻れるかどうかも怪しくなる。

そして、僕自身は。

壊れる。

自身が嫌い、蔑み、それでもしがみついてきた「普通」と「平凡」という事が。

「皆と一緒」で、「一般的」な僕が、壊れる。

音を立てて。

理屈がどうであっても、人間を動物と見るならば、同性を好きだと言う事は「普通じゃない」し、「一般的ではない」のだ。告白するという事はそれを認める事になる。

耐えられるだろうか、僕には。

それとも、告白しないか、だ。

北澤とは今まで通り仲良くしていられる。僕は北澤への思いを封印し、「普通」の自分を保ち続け、「人並み」の人生を送る。あえて危険を冒す事のない、楽で、安全な方法だ。

なのに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る