プロローグで描かれるリアル過ぎる無線の描写――まずこれで本作にグイッと引き込まれました。
作戦指揮台が警官に出す要請が、真に迫っていてリアル志向の私のハートはぶち抜かれました!
他にも「○○時上がりで。……」って無線描写が印象的。
実際の警察無線ってこんな感じなのかしら?と思いを馳せずにいられません。
東京芸術劇場で変死体が発見されてから、各セクションの警官達が現場に集まってくる過程もホントにリアル!
段階的に、タイムラグを伴って現場に到着する警官達――現場を検分する手法――各警官が放つリアルな会話。
とりわけ、警官同士が現場を目の当たりにして話す”生きた会話”は、本作の見どころの1つですね!
往年の良作刑事ドラマに遜色ない捜査会議の描写も堪りません^_^
ガヤガヤした空気――野次と冷やかしが飛び交う男たちの空気感――それを宥める上官。淡々と進む捜査報告の結果も、本作のリアルな部分に寄与しています。
多くのサスペンスものは、ストーリーの構造上どうしてもプロットの展開と解決だけに焦点を絞って描きがちです。
しかし、本作が素晴らしいのは”冬の東京”を丁寧に描写し、ストーリーの世界観を巧妙に創り上げている点です。
それでいて、”変死体”という本作最大の”謎”の解決も怠っていないからなおのこと素晴らしい!!
99%のリアルを体感できる隠れた傑作サスペンス――
続きが早く読みたいです、伊藤先生!!