第17話 仲良く、お休みなさい

 結婚式場で再会した友明に、披露宴が終わると声を掛けていた。

 すると、「2次会に行くより、あなたと医者談義をしてる方が楽しそうだ」と言われてしまった。嬉しいやらなんやら複雑な気分だが、まあいいや。

 顔がほんのり赤くなっており、ほのかに酔ってるみたいだ。なんか可愛いくて、まともに顔が見れない。


 そういえば、あの実演会の日は友明の背中を舐めたっけ。

 それを思い出すと、急に意識しだした。

 もしかしたら、声掛けない方が良かったかも…。


 ホテルの最上階に行き、2人で飲みながら色々と話しをしていた。

 友明は東京生まれだが、福岡に引越したこと。

 今は、東京で弟と2人で学生して暮らしてること。

 3人姉兄弟の真ん中で、普段はそんなに喋らない方だということ。


 私も自分のことを言ってた。

 父親が日本人で母親がドイツ人のハーフだということ。

 龍三は、色々な意味での師だということ。

 今は、亡き父の跡を継いで病院の院長になってること。

 他、色々と。


 友明は自分でコントロールしてるようだが、酒が入ると朗らかになる。

 しかも、洋酒より日本酒の方が好きだそうだ。

 それを見てとった私は、友明にそろそろ出ようかと言った。

 友明を引きずるような感じで、部屋まで連れ戻ってきた。

 ベッドに横たわらせると、いきなり脱いできた。


 え!


 酒を飲んでたのだから、身体も熱いのだろう。

 だが、友明は真っ裸になると、布団に潜り込んだ。

 えっ、もしかして自分の部屋と間違えてる?

 自分の脱いだ服は、きちんとハンガーに掛けたり、畳んだり…。

 酔っても几帳面な奴なんだな。

 いつもの彼とは違うので、そのギャップに笑ってしまった。

 

 私はシャワーを浴びて再びベッドに戻ると、寝息がスースーと聞こえる。

 これは、完全に寝てるな。

 だが、ベッドはこれ一台だけだ。

 仕方ないので、少しずらし、自分も横になった。


 夜は、あまり寝られないのだが…。

 今夜も、いつもと同じだろうな。

 しかし…、隣で寝てる友明の寝顔を見てると眠くなってきた。


 明日、コイツが起きたらどんな反応するのかな。

 それが楽しみだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る