第16話 姉の結婚式

 学祭も終わり、年末年始も超えた冬休み中の1月初旬。

 ひろちゃんと意外な所で会った。

 え…!

 思わず、目を瞠ってしまった。


 なんで、こういう所にいるんだ?

 ここは、福岡にある結婚式場だぞ。

 思わずガン見してしまった私は固まってしまい、動けなかった。

 それを動かしたのは、弟の優人だ。

 「何してるの、お兄ちゃん。お姉ちゃんと写真撮るんだから」だから早く動け、と言ってくる。


 そう、今日は私の双子の姉が結婚する日。

 昔から天然でおバカなとこもあったけど、やっと結婚することが決まったらしい。

 控え室に行くと、花嫁姿の香織が友人と話しをしてる。

 こっちを向いたので手を振りながら近づいた。

 「香織、良かったなー。貰ってくれる奴がいて」

 「お姉ちゃん、おめでとー」

と、優人と一緒にプレゼントを手渡した。


 「ありがと」

 と、幸せいっぱいな表情をして、嬉しそうな笑顔を向けてくれる。


 うん、本当に良かったよ。

 幸せになれよ、泣くなよ。

 泣かせるなよ、お義兄さん。


 姉兄弟3人で写真を撮り、「んで、親はどした?」と聞いたら、「相手側の方に挨拶に行ってるよ」と教えてくれた。

 自分達も挨拶行く、ということで相手側の控え室へ向かった。


 控え室の前で、花婿姿の男性が友人と一緒に居るのだろう。

 名前を呼んだら振り向いてくれたので、挨拶をした。

 とても気さくな感じだけど、どことなく男臭さを感じさせる人だった。

 その隣には、ひろちゃんがいるし。

 知り合いですかと聞くと、友人だと教えてくれた。

 つい言ってしまった。

 「色んな所でお会いしますね、博人先生」

 「え?」

 「福山友明です。昨年は色々とありましたが、実演会が最後でしたか。

 あれから今田さんは…、あの人はどうされたのでしょう?」

 「あー。ほんと、色んな所で会うね。コイツは友人だと言ってくれるが、知り合いの1人だよ。高校が一緒だったからな」


 あ…、今田さんのことはスルーですか。まあ、別にいいけど。


 そうしていると、親と合流した。

 いざ、厳かな心持で結婚式を終えた後は披露宴。

 うん、飯が美味い。

 すでに20歳を超えてるので、酒も飲む。

 いや、高校生の頃から飲んでいたのは、ここでは内緒だ。


 2次会をどうするか、親は出ないと言ってるが兄弟はどうする?と二人で話し合ってると、ひろちゃんから声が掛かった。

 「良かったら、飲みに行かないか」と。


 優人を見ると、すでに酔っ払ってるので、OKの返事をした。

 2次会に行くより、ひろちゃんと医者談義してる方が楽しそうだ。

 そう思ったからだ。







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