411日目 シンデレラストーリー


 ハルトと魔王を押しのけてやって来たメルトの手には古い紙で包まれたプレゼントらしきアイテムが見えたのだが。

その見た目はどう考えても道に捨てられてあったゴミとも言えない事もないくたびれたものであり魔王とハルトはキルりんにそのプレゼントを与える前にひとまず何を上げるのかと肩を組んで聞き出した。



「はぁ!?ゴミじゃないわよばっかじゃないの!?

コレは私が丹精込めて呪いをかけたキラードール君2よ!!!

それにこの呪いは呪殺が成功するまで何度も目標に攻撃を仕掛ける超特製のキラードール君で・・・あれ??ドール君がない??

――――――――ハルト??何か焦げ臭くないかしら??って、何してんの??」

「いやさ・・・さっきから目の前をぶらぶらしてた汚いゴミがあったから処分をだな・・・おぉ~~~黒い煙を上げてよく燃える燃える。

―――――――魔王も暖を取らないか??」

「そうだなこの家だとしても寒さはあるからなお言葉に甘えて温まらせてもらおう。」

「で、メルトの私へのプレゼントは何なのですか??」

キルりんが中に入って来るとメルトは必死に火を消しプレゼントを回収するが時すでにファイヤーと人形の大半が燃えカスとなっておりメルトはハルトにどうしてくれるのかと怒った声で怒鳴りつけるも・・・もしもキルりんがそれをメルトに使った場合やふとした拍子に発動した場合を考えなかったのかと冷めたトーンで問うと。

メルトは少し腕を組んで考え・・・キルりんの肩を叩きもう少しだけ待っててほしいと言って自室に消え・・・・息を切らして謎の液体を持って現れていた。



「ふふふ・・・私ともなれば即席の魔法薬も作れるプロ中のプロ・・・

少しやりすぎちゃってカエルになる効果を付与しちゃったりするけどもそれはそれとして・・・・はいキルりんにはこれをプレゼントするわ。

少しだけ効果の出る願いを叶える薬よ。

使い方は簡単!!飲んで念じるだけである程度の効果なら発動する画期的な魔法薬よ!!」

「色々と気になる文があったのですが・・・・これを飲めばカエルになったりしないのでしょうか???

試しに呑んだりしましたか??」

「キルりんこれまで共に生活をしておいてコイツが自分の身を使って実験をすると思うか??

それにコイツは自分自身がマジで天才か何かかと勘違いしているダメでイカレとんちきな魔女だしあんま期待しない方がいいぜ。」

「それは言えている。

メルト自身の魔法薬はカラフルで見ている分には楽しめるのだが実際名前と効果のバランスが奇怪すぎて内服にためらいが生じるのが半数以上だから使うのであれば自己責任自己負担だと心して使うといい。」

魔王とハルトの言葉にメルトはムキになって安心安全と語るがどうしてもその言葉が信じられないと2人は疑問の目を投げていたがキルりんはごくりと唾を飲み・・・死んだらそれまでの人生と男気溢れるひと言と共に飲み干し・・・・願いを心の底からの願いを思い浮かべ・・・・



「おぉ~~来てますよ!!!胸が熱くホッとに来てます!!!

あっふぅ~~~ん!!!どんなもんですか!!!これでもうみんなに胸の大きさでバカにされないでしょう!!!

やっほ~~~コレでこの夏はビキニで色気ムンムンになれちゃいますよ!!!」

「ん~~体系はそのままで胸が大きくなるってどんな願いだよ。

とかいうよりもどんだけ胸が欲しかったんだよ・・・そこまで強い願いがあるんだったら手術でもして豊胸したらいいじゃねぇか・・・・

そもそも魔法で大きくするも薬品で大きくするも手術で大きくするも外部要因ならどれも同じだろ??」

「まぁそう言えなくもないが今はこうして喜んでいるキルりんを見て口をチャックしておこうじゃないか。

ここまで喜び舞うキルりんを見たのは本当に久しぶりだからな。

毎日サプリメントを飲んでは舌打ちを行いゴミ箱を蹴るさまは見ていただけで涙が出そうであったからな。」

「あ~アレを見たの私だけじゃなかったのね。

だけどその薬は・・・ん~今は夢の世界にいるキルりんにはこの事を告げるのは残酷だしまた明日にでも言おうかしら・・・」

メルトは何か言いたげであったが喜ぶキルりんにそのことを告げられず喜ぶキルりんと共に酒場で食事をとる際も大きい胸を見せびらかすようにテーブルに乗せたりとやりたかった事をふんだんに行い男共を誘惑し・・・本当に今まで見た事のないテンションの上がり方にハルトはこれが嘘で夢幻であったとなるとどうなるのかと少し心配しつつ夕食を終えすぐ自宅に戻りハルトたちは各自の部屋に消えていきその日はあっという間に過ぎ・・・・翌日それはキルりんの叫び声から1日が始まった。



「ないないないないないないないない!!!!ないですよぉォぉお!!!!!

私のばいんばいんだったもうビキニも注文してしまった最強のボイン様が消えちゃってますよぉぉ!!!!あぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁッ!!!!!」

「うっせぇなぁ・・・朝からびーびーぎゃーぎゃー騒ぎやがって・・・

キルりんに胸がないのは日常的な事だろ??逆に1日でもたゆんたゆんが満喫できただけ良かったじゃねぇか。

これでもうこの世に思い残すことはないだろ??」

「いや、キルりんは悪霊に近い言葉を発しているが死んではいないぞ。

だが・・・急に胸が無くなったという事はやはりが切れたという事か??」

「そう言うことね・・・成分から見て約1日分しか使ってないというかそれ以上ない服した場合効果が強すぎて人間の体じゃ耐えられないから1日限りの魔法薬ってところね。

それに連続で使用するのもできないのよね・・・1週間は洗浄期間としてあけないと逆の効果が暴発しちゃうって聞いてるから・・・・キルりんの胸が消える可能性があるのよね。」

その知らせはもっと早めに伝えるべきではなかったかとキルりんはいいたかったがメルトの目が嘘を言っている様には見えず・・・キルりんの夢は本当に1日限りのシンデレラのようにして溶けていったのであった。

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