405日目 コマイヌとの攻防:終


 ハルトたちは魔王とコマイヌを探すべく上空を飛んで行ったというキルりんたちの証言から上空に何か見えるかと探すところから始めると。

予想外というよりも想定していたという方が強いという光景が目の前に広がっていた。



「アレって魔王の魔法じゃないかしら??

あんだけ黒々とした魔法を使うのは魔王だけだと思うし・・・それにあの小さな動くアレはコマイヌでしょ??

私もあのコマイヌには借りがあるからマジで行かせてもらおうかしらね・・・・

―――――――追尾ファイヤーホーミング!!!行ってらっしゃいな!!!」

「おぉ~火の玉が空を舞って何かを追いかけて・・・・当たったな・・・でさ?こっちに落ちて来ていないか!?」

「みんな退避です退避!!!アレに当たればケガじゃ済みませんよ!!!」

「うん、だけどこの軌道からするとハルトの方向に落ちているような気も・・・・」

せっちゃんの目測は正しく、ハルトが逃げていた方向にコマイヌがワザと狙って落ちている節がありハルトの逃げる方向を追って追尾しており。

木々を縫って移動するもコマイヌも同じように追尾しとうとうハルトはコマイヌのダイレクトアタックをモロに胴体で受け止めていた。



「ぐべしッ!?どうして毎度毎度この俺に・・・・・呪われてんのかよ・・・」

「見事に直撃しましたね・・・コマイヌファイヤーボールが。

で、大丈夫ですか??コマイヌも何とかヒビだけで住んでいますがコレは本当に何なのでしょうか??」

「私もこれだけ喋って動いて魔法を使ったり跳んだりするゴーレムは初めて見たわよ。

ばらして研究して次の技術として使いたい物ね。」

「それは色々と倫理とか問題だと思うけど・・・あ、魔王さんもやって来たようだよ。」

「ただいま戻った、先程までこの文鎮コマイヌと戦っていたところ火の玉が私に代わって追尾を始めて着火・・・それからというもののこの文鎮は下へと落ちていきと見失ったのだが・・・まさかこんなところで・・・ん?ハルトはどうしたのだ??」

ハルトがびくびくしているのを見た魔王は周りの者たちにどうしてあぁなったのかと質問をすると一人だけ目を背けて内容を語ろうとせず・・・魔王の手がメルトの肩を捉えるとその手は温かみを帯びておらず逆に冷え冷えとした死神のような冷ややかな手であった。



「あはは、おっかしいわねぇ~~私の火の玉がどこかに消えちゃったと思ったらいつの間にかハルトが倒れているなんてぇ~~~本当に不思議なこともあるモノね!!!そうは思わないかしら魔王!?」

「そう言うことだったのか・・・この惨状はメルトの魔法によっての被害という事か。

だが・・・コマイヌとハルトが動かないが・・・入りがよかったのか??

オイ、ハルトいつまで寝ているつもりなのだ??早く起きねば魔王式の復活の儀式をだな・・・」

「ハイハイ目覚めてるからそんな大それた人を生贄に生き返らせる儀式とか要らないから。

んで、お前はどうなんだ??コマイヌも意識があるんだろ??」

「ぎくぎくッ!?こりゃ~とんでもねぇくらいにマズイ・・・私の魔力供給源である魔女の鎖が解けちまってるし・・・・どうしたもんだかだなぁ。

でもこのままスルーしてりゃ見逃して・・・イタタタタ!?」

「本当にコレが魔法を使いゲートを開いて魔獣やら亡霊の類を呼び出していた張本人なんですか??私にはゴミ捨て場にあるような古びた像としか見えませんが??」

「微弱だけど魔力は感じる・・・でもこの様子だとゲートを開く力もないだろうから力強く掴むのはどうだろう??」

キルりんのアイアンクローを受けていたコマイヌは汗をダラダラと流しそのまま逃げるつもりでいたがとうとう一番厄介な二名が立ち上がりコマイヌとコンタクトを図るために行動を開始した。



「へぇ~さっきまであんなに威勢がよかったのに随分と物気分になっちゃってんじゃない。

このまま言葉を交わさず逃げられると思ってんのなら大間違いよ??

最終的に行けば間違いなく本体を魔王の剣で粉々に砕くから早く出てくる方が身のため・・・・」

「ひぇぇ~~~かんにんしてぇ~~~話でも何でもするのでぶっ壊さないで~~~」

「やっと出て来たか文鎮コマイヌめ。

私を散々煽っておいてメルトの供給が無ければ本当にちっぽけだな。

で、コマイヌは一体あのまま魔獣やらを使って何をしようとしていたのだ??

我々としてはギルドからの命でコマイヌを討伐か捕獲し渡す気まりとなっているのだが・・・・どうだ?話す気になったか??」

魔王は剣を地面に刺して脅しを含んだ問い方をするとコマイヌは全てを自白すると言って体をヒョコっと立て直し話をし始めた。



「私がそう・・・この体になる前はそれはもうずいぶんな大暴れをして力を自分の私利私欲の為に使っていたそんなある日だ。

私はいつものように住処を土足で踏み入れるものを懲らしめようと出るとそこには美人な祈祷師がいて・・・そのモノに私は近くにあった神社のコマイヌの中へ封印されてしまったんじゃ。

さらに事もあろうにその祈祷師は私の体を燃やして灰にすると同時にこの私を異次元の海に流し気が付くと私はこの世界に不時着していたと言うわけで・・・・

以前のようにして暴れて気分爽快スッキリとしてやろうと現在に至ると言うわけなんだ。

言うとだ・・・私は可哀想なコマイヌちゃんなんだぞ!!!もっと過保護に大切に扱えよな!!はひッ!?」

「へぇ~よくもまぁ最後の最後で図に乗れたもんねぇ・・・いいのよ??私たちここでアンタをばっらばらにしてギルドに提供してやっても。

私たちは報酬が入ればアンタをカチ壊すなんて平気でするわよ??」

と、メルトは悪い顔でコマイヌに向けて説明するとコマイヌは地面に埋もれるくらい体を押し付けて最上級の謝罪をしていた。

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