387日目 動く家と狂った想像


 ハルトがイマジンを発動するも何も起こらず誰にも何かが変わったようなこともなく不発という事を確認するとまずは国の中で他に力になってくれそうなものを探しに人の集まる酒場へとハルトたちは足を運んだ。



「くそ・・・酒場に人はいないか・・・魔王の夢には俺たち以外の知り合いがいないのか??

それとも・・・ん?知り合い??そうか・・・それなら。」

「は、ハルト??どうしたと言うのだ??何か忘れ物でも取りに行くのか??」

「ううんきっとそう言う動きじゃない。

アレは・・・何か思い当たる節を尋ねる動きだった。

でもまぁここまで人がいないとなると寂しいものだね。」

「呑気に言ってる場合??私たちはこの魔王のハチャメチャドリームランドに捕まってんのよ?

それに妙な事を想像されてみなさいよ・・・この魔王だからとんでもないことをされるわよ??」

と、メルトは魔王を睨みつけつつ言い放つと魔王はそんな不用意に人様に対して無礼をすることはないと語り。

ハルトを待つこと数分が経ち・・・・酒場の扉が開くとそこにはハルトと背にせっちゃんが眠っていた。



「どうにかせっちゃんの泊っている宿に本人がいてくれて助かったぜ・・・

でもどうしてかせっちゃんが起きないんだが・・・どうなってんだ??」

「ん~これも魔王の夢だから魔王に起きてもらうように念じてもらえばいいんじゃないかな??

魔王がある程度のトリガーだと言う事だし物は試しでやってみてくれる??」

「あぁ、ん~~~念じてみたが・・・どうだ??」

魔王は目を閉じてせっちゃんを目覚めさせるよう念じるとハルトの顔とせっちゃんの頭がぶつかり大クラッシュし・・・ハルトはあまりにも綺麗に決まったせっちゃんの頭突きに悶絶していた。



「あ、あれ??私・・・確か自分の家で寝ていたはずなんだけど・・・・どうしてハルトは悶絶して魔王たちは私をすごい目で見てるの??」

「いってぇぇぇぇ・・・・いや、ここまでの状況を説明すると長いんだが。

この世界は現実の様で現実じゃない魔王の夢の中らしいんだ。」

「そうよ・・・まさにやりたい放題な魔王の意のままの世界なのよ!!!」

「妙な言い回しは止めてくれ!!私は別に自分でハルトたちを夢の中に引き込んだつもりもないのだからな。

どうしてかは不明だがハルトたちはどうやら私の夢の中の住人と化しているらしいのだ。

そして、今はこの夢の世界からの脱出を考えていると言うわけなのだがせっちゃんは都合よく脱出の方法を知っていたりしないだろ?」

魔王は起きたばかりのせっちゃんに脱出の方法を知っていれば教えてほしいと問うとせっちゃんは夢の中で見ていた不思議な夢を語り出し。

夢の中で見ていた夢は自分の視点ではなく誰かの視点で見ていたと語り・・・・

その視線はハルトたちを見ていたがその途中で目が覚め今に至る事を説明するとハルトたちは謎の誰かに付け狙われている可能性があると再度辺りに誰かが潜んでいないかと見渡し不用意に外に出て敵を探すのは控えることにし酒場に来て注文を取るウェイトレスも店主もいない事からせっちゃんとハルトは適度なモノを作って腹を満たすことにした。



「あむあむあむあむ・・・・んでさ??この世界でもお腹がすくってどうなのよ??

魔王の夢なんだからお腹が減ると言うよりもお酒が飲みたいとかいう方面に切り替えたりできないワケ??」

「そんなよくわからない設定はフツーはできないだろ。

私の夢であっても朝昼晩と存在しているようで・・・お腹も減るとは何とも精神的に踏ん張らないといけない世界だともいえるな。

だが・・・どうしてかハルトとせっちゃんの料理はこの世界でも美味だな。」

「そうかい、俺はあんまり凝ったモノは作ってないけどな。

それにしても人はいないが食材はあるんだな・・・食べてくださいって言っているようなもんじゃないか??」

「ん?食べる??という事は・・・このままだと私たち夜になると眠るんじゃないかな???」

「なッ!?そうだよ!!うっかりしていた・・・マズイじゃないか。

人は食べて寝てを繰り返す生き物だ・・・魔王さんは人とは違うからお腹は空くけど寝ずにいることも可能だけど私たちは駄目だよ。

そうか・・・だから魔王さんは夢の支配者になったのかもしれないね。

解決したわけじゃないけどこのまま眠りにつくことは危険だと察したからこれからは敵を見つける事+どうやって寝ずに終わらせるかという事も視野に入れないと行けなさそうだね。」

事は一刻を争う事態となって来ていたが出された料理をそのまま捨て去るのも悪いと出たものは全て食べ・・・腹を十分に膨らませると外にまた不思議な変化が表れていた。



「おい、何だよコレ・・・・家に腕とか生えて動き出してんぞ!?

まじで魔王の夢はクレイジーすぎんだろ!?」

「だ、誰がクレイジーだ!!!私の夢は正真正銘いい夢に決まっているだろ!!

家に手足が生えて動くと言うのも私の夢の中で時々現れるマスコット的存在だが・・・・アレは本当に画期的なモノだと思うのだ。

何せ人は中で眠ることが可能で動く家は機能を備えて・・・・ん?こっちに向かってきてる??それは想定外だ。」

「みんな逃げるわよ!!!家がタックルしかけて来てるわ!!!」

メルトたちの声にハルトたちは急いで酒場を出るとそこへ向かって数体の家がタックルを仕掛けており酒場は木っ端みじんに砕け落ち。

家の方はと言うと無傷というのか数体ともぴんぴんとしており再びハルトたちを狙いだしてはタックルを執拗に仕掛けていた。



「うおわぁぁっぁぁ!?なッ!?あんなところにボインなキルりんがいるぞ!

おいキルりん逃げろォぉぉぉ!!!あの家のタックルにやられちまうぞ!!!!」

「あ、ハルトじゃないですかぁ!どうしたのです??家??あぁアレは私のスイートハウスですよ!!!」

「はぁ!?き、キルりんが・・・家に食べられたわよ!?

コレはマジで狂ってるわね・・・キルりんを食べた家は大人しくなったけれど・・・こんな世界一刻も早くおさらばしないと一生のトラウマモノになっちゃいそうね・・・・ってか魔王の脳内どうなってんのよ!!!!」

メルトは狂った夢の世界の支配人である魔王に淡々と語りながらタックルを避けつつせっちゃんと魔王の必死の攻撃に叩きのめされ・・・やっとの思いで動いて向かって来ていた家を粉砕しひとまずハルトたちは自分たちの家は大丈夫そうだと考え逃げ隠れることにした。

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