373日目 帰ってきたプリースト・・・


気が付いたハルトと共にせっちゃんたちは酒場へと向かい、例のホワイトボアーの肉を見せると店主は震えながらハルトたちに肉を引き取らせてほしいと頼み込むがハルトたちは相当な苦労をしたと何かを求めるよう呟くと。

店主は裏に来いと言ってハルトたちを連れ出しとあるものを見せていた。



「全部とは言わない・・・ただ少しだけ分けてくれりゃこれだけの食材を交換に出したい。

だから後生だその肉を分けてくれないか???どうしてもだハルト!!」

「どうする??せっちゃんの要望を超える量の食材になってはいるが・・・俺たちの苦労はこんなもんじゃねぇよな??」

「ハルトが今まで以上にあくどい顔をしています・・・・メルトに似た何か得体の知れない悪意のある顔です!!」

「あぁ・・・この顔は奴隷売人が売れそうな人材を見つけた時の下卑た顔だな。

それにその肉の権利はハルトだけのモノではないから話を勝手にされても困るというものだぞ。」

「だから私の分から少し別けて食材と交換というのはどうだろう??

それならハルトたちの肉は減らないだろ?店主もそれでいいかな??」

と、せっちゃんは綺麗に肉を分割し店主に問うと店主は大喜びで答えハルトにも多少なりと礼を言うとせっちゃんには言っていた分の食材を与え店主は舞うように店の中へと消えて行ってしまった。



「それじゃ私もこれを運ばないとだから肉は美味しく頂かせてもらうとする。

―――――――――それじゃまたな・・・」

「せっちゃんもあんまりがつがつ食べ過ぎんじゃねぇぞ~~」

「大丈夫ですよ何せあの量の食材ですからこの冬が過ぎるまでは十分すぎる量です。

それに私たちもすぐに家に戻ってこの肉を焼いて食べましょう!!!

もう帰ってきた辺りからお腹がひっきりなしに叫んでいますよ。」

「私も早く久々のホワイトボアーの肉が食べたい。

それにこういう時に限って面倒な事が起こるのだ・・・・」

「へぇ~~よ~く知ってんじゃないの!!!

もっちろんそれってもあるのよね!!!」

ハルトたちの背後から何か聞き覚えのある声が聞こえたかと思えばそこにはトードマスターのメルトがプリーストの格好をして立っていた。



「で、さっき戻ったばっかりなんだけどハルトたち幻のホワイトボアーの肉を手に入れたらしいじゃないの。

情報??そんなの長い間の付き合いなんだから色んな方法でわかるのよ。

で、どれどれ・・・ほほぉ~~いいじゃないいいじゃないの!!!

私の分どころかおかわりもいけちゃう量じゃない。

コレはお酒が進むわね~~くぅぅ~~~」

「いや、コレは俺たちの分だけだぞ??

何勝手に自分も食べられると勘違いしてやがんだ??

お前はプリーストの寮でジャージーの特性スープとパンでも食べてろ。

「今回の件に関しては私も全力でハルトの援護をしましょう。

このホワイトボアーの肉を手に入れるまでの苦労をしてきたのは私たちなんですからね!!!」

「そう言うわけだからメルトはプリースト寮に戻るがいい。

ジャージーここにメルトが逃亡しているのだが??」

「あ、魔王さんの声がすると思えばダメですよぉ~~勝手に出歩くと減点しちゃいますよ??

それともここで制裁しときますぅ??」

ジャージーはニコニコと笑顔のままメルトの肩を掴んで問いかけるとメルトは奥歯を噛み締めながらジャージーの言う事を聞いて戻って行くのかと思えば・・・・



「ねぇジャージー・・・知ってるかしら??

このハルトたちって・・・幻のホワイトボアーの肉を持っているのよ??」

「コイツ・・・一番タチの悪い方向にベクトルを動かしやがった!?」

ハルトたちに一瞬の緊張が走りジャージーは物欲にそこまで関心がないと信じてはいたのだが今回ばかりは話が別らしくジャージーはメルトをその場に置いてハルトに近づき・・・



「もちろんハルトさんは私にご馳走してくださるのですよねぇ??長い付き合いですものねぇ??」

「えぇ・・・いや・・・えっとそのぉ・・・・」

「ハルトここは男ならガツンと言い返してやるべきですよ!!

コレ以上ジャージーの胸のお肉を膨らませてはいけません!!!」

「それにコレ以上人数が増えると本当に肉が減ってしまうぞ??」

「で、どうするのよ・・・・このジャージーを相手に言い返すことができるのかしら??ハルトさぁ~~~ん。」

メルトの悪い顔がちらつく中、ハルトはジャージーの問いを拒否するそぶりを見せるのだがジャージーは最後の手段として耳元で何かを呟きハルトはその言葉に負けジャージーの立ち合いを許してしまっていた。



「本当にハルトは最ッッッッッ低なクズでダメなゴミクズです!!!」

「魔王の私から言わせてもらうが、どうしてジャージーの提案は受け入れるのに私の下僕になる提案は拒否なのだ??道理がわからないのだがな??」

「下僕とか誰が魔王の下僕になりたがるんだよ・・・そもそも肉はまだあるんだし大丈夫だろ・・・・」

「それはどうかしらね!!!さぁリード達もこっちにいらっしゃいな!!!!」

間髪入れずに口を大きく開き口寄せの如くリード達教会の連中を呼び出したメルトにグリグリをかますがすでにリード達はハルトたちの前に整列しており・・・さすがに大人数を全員拒否すれば更なる被害が出ると感じたハルトは魔王とキルりんに死んだような目を浮かべつつどうにでもなれと言った勢いで酒場へと舞い戻った。



「店主!!!この肉を人数分にスライスして焼いてくれ!!!

コレくらいサービスしろよオラァァァ!!!!」

「ったく・・・調子がいいと言いたいが・・・ハルトたちのおかげで肉が手に入ったんだ。

今回くらいはタダでやってやるよ!!!さぁ肉を寄越しな。」

「いいえ、この場でスライスしてください。

店主の事ですからセコイ手で肉をネコババしそうで信用できませんし。」

「そうだな、この場で人数分に切ってもらった方が安心感はある。

そう言うわけで店主よ頼んだ。」

「グフフ・・・私もこの流れでシュゴビーとお肉をいただいちゃおっと!!!」

「メルトさん??ほどほどに・・・・と言う事はお判りかなぁ??」

メルトの背後には冷ややかに語るジャージーの姿があり・・・店主は数多くのプレッシャーの中人数分に肉をスライスし全員にステーキとして振舞われ。

キルりんと魔王は大量に食べたかったと呟きつつもハルトや教会の連中と賑やかに食べるのも少しはイイかもと肉に酔いつつ無理矢理脳内で変換し食べていた。

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