372日目 ショーの幕引きは毒と共に・・・


 ホワイトボアーの動きはハルトの手によって軽い誘導状態となっており。

せっちゃんは拍手をパチパチパチとするとキルりんと魔王はせっちゃんは本当に大丈夫かと怪しく見つつもハルトは気に留めずホワイトボアーにまた1つキノコをお手玉から弾くようにして飛ばすとホワイトボアーは重たい体をくるりと回転させつつも華麗に空中でキャッチしていた。



「ゴフフ・・・モグモグ・・・・ブルルグフォ・・・・」

「わぁ~すごい!!私こういう害獣を使ったショーがあると言うのは知っていたけれどまさかハルトに見せてもらうとは思ってもみなかった!!!」

「せっちゃん・・・今はちょっと静かにしていてくれませんか??

コレはショーではなくてですね・・・ごにょごにょ・・・わかりました??」

「理解したのだろうな・・・ショーではなかったと言う衝撃とやっていることのコレ自体が作戦だと言う事を知ってしまったのだからな。」

「さぁ~~て見なさん!!!3つ目のキノコを与えちゃいますよ!!!

――――――――――ソ~~~レ3つ目だッ!!!!」

ハルトは3つ目のキノコを放り投げホワイトボアーがキノコをキャッチし食べると。

とうとう次が問題のラストキノコであり・・・ハルトはごくりと唾を飲むとバッとキノコを2つ放り投げ・・・ホワイトボアーはそのまま二つのキノコをパクパクっと空中で食べ着地すると同時にホワイトボアーはフラフラし始め倒れ込んでしまった。



「効果は覿面てきめんですね。

ホワイトボアーには何が起こっているのかわかっていないでしょうが・・・先ほど食したキノコの中には神経毒と致死性の高い毒があるモノでして本来なら即死の効果なのですがホワイトボアーのタフさは普通のボアよりも高いことが分かったのでいい情報になりました。

ですが安心してください・・・これからアナタは私が綺麗にさばきますので・・・ペロリ。」

「アイツのあぁいうところを今後は直していきたいと思っているんだがどう思う??」

「私もハルトの意見に賛成だ。

だが今回の件で一番もやもやしているのはきっとせっちゃんだろう・・・

せっちゃん・・・コレは遊びではない事は知っているのだろうが嫌なものを見る必要はないのだぞ??」

「うん・・・けれど私たちがこういう風にしたという結果は変わらない。

だから私は覚悟しているから大丈夫。

キルりん・・・痛くないようにしてあげて・・・・」

せっちゃんの言葉を聞き届けたキルりんはホワイトボアーの口にさらに1粒の薬を放り込むとボアーは完全に動きを止め。

キルりんはそれからナイフを華麗に滑らせてホワイトボアーを綺麗に肉と骨に切り分け布で巻いて綺麗にしまうと残ったモノは誰にも荒らされないよう見晴らしのいいところで墓を作りハルトたちは山を下りて行った。



「ハルト・・・先ほどから口を開こうとしないせっちゃんに何か声をかけてやってくれないか??

私たちじゃせっちゃんを慰められる自身がないのだ・・・」

「私はホワイトボアーをバラした張本人ですし。

魔王はお世辞が苦手と言いますかストレート主義ですからこういう場面には向きません。

ですがハルトであれば依然メルトから聞いた話によるとどんな心理状態の相手でも言葉巧みに扱い自分の物にすると言うハルトの小汚い選択肢スキルがあるとか何とか聞いておりますのでそれに賭けます!!」

「アイツ・・・戻ってきたらコレの自慢をしつつぐりぐりを絶対にかましてやっからな!!!覚えてろよ!!!

って、今はそんな場合じゃなかったな・・・えぇっと・・・せっちゃん??

その今回は辛かったよな・・・せっちゃんはアレだろ??戦って討ち取りたかったんだろ??うわッ!?」

「うん・・・けど・・・手強い相手には不意を衝く動作も必要だと私も理解はしていたけれど今回の出来事は少しだけ心に響いてしまった。

ちょっとだけ・・・ほんのちょっとだけでいいからもう少しだけこのままにさせて・・・・」

せっちゃんは急にハルトを抱きしめると魔王とキルりんもせっちゃんに抱き着き痛みの共有をするとともに無言のまま時間が数分間過ぎると・・・・



「うん、皆ありがと・・・コレで多分今日あったことは大丈夫だと思う。

この冒険家やハンターの仕事は楽しいことばかりじゃない事を再確認できたしハルトたちの暖かさも感じれたからきっとこれからも私はやっていける。」

「そうですね、ハルトにべったべたに抱きついてハルトは何か喜んでいますし魔王はちょっと焼きもちを焼いている状況。

こうして見ている私は一番楽しいのですが今回はあまりいじらないでおきます。

何せ・・・このホワイトボアーの生肉が手に入ったのですからね!!!」

「ぐッ・・・べ、別に私はせっちゃんがハルトにぎゅっとしたくらいでやきもちなど・・・しておらぬからな!!!ハルトはいずれ私のモノになるのだからちょっとくらい色々と経験させておくことは魔王の私にとっての心の広さと知らしめる結果となるに違いないと察しての事だ。

だから私は痛くもかゆくもない!!!ワッーハッハッハ!!!」

「それじゃせっちゃんと一緒のベッドで添い寝しても怒らな・・・・ぐばぁ!?

ぐ、ぐびぃ・・・・グビぃがしまってる・・・・ガクッ・・・」

魔王はハルトの冗談にさすがに我慢できず首を締め上げて落とすと・・・ハルトを引きずって無言のまま歩き出しキルりんとせっちゃんは苦笑いを浮かべてついて行き・・・やっと街へとたどり着いていた。



「それではまずハルトを目覚めさせないとですね。

このまま街の中を引きずったまま歩くのは我々の評判を落としかねないので。」

「メルトなら酒場から毎日のように引きずり歩いていたがアレは良いのか??」

「そう言えば酔ったメルトをよく引きずっていたような・・・」

「・・・・・・・うぐッ・・・・」

メルトの知名度はどれだけ下がっても最低が最低以下になることはないとキルりんと魔王から酷く言われるとメルトはどれだけ最低な人扱いされているのかと少し焦りを見せたせっちゃんを前にキルりんはハルトを起こすべく耳元でそっと何か小さく呟くとハルトはザッと立ち上がって見せ気を取り戻していた。

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