359日目 ダイオウリクガメの討伐プラン


 ダイオウリクガメノの緊急依頼を受ける事となったハルトはせっちゃんに全身を粉砕された骨の痛みに耐えながらギルドへ向かい・・・・

冒険者やハンターたちが犇めき合う中、情報を随時集積している受付嬢に話しかけ魔法地図にダイオウリクガメノ進行ルートと大きさを記してもらうと・・・その情報から推定して明日の早朝にはこの国にやって来ていることが分かり。

ハルトは至急受付嬢にダイオウリクガメノ弱点となるポイントや侵入経路はないのかと問いだした。



「フフ、こういう危機になれば焦って必死に知識を回すハルトはいつ見ても飽きないな。

どれ・・・私も知識を貸して負担を減らしてやろうではないか。

――――――――――で、私の案なのだが・・・」

「魔王はそこでシュゴビーを飲めずに暴れ出しそうなメルトを見張ってろ!!!

こっちは死に物狂いで弱点とか情報を脳に叩き込んでんだからよ!!!

あぁ~~クソ・・・こんなに時間がない状況でこの隕石クラスの物体を止められるのかよ・・・・」

「魔王、ドンマイですよ・・・ですが今の状況から考えるとハルトに作戦を任せておいて私たちは自分たちのできる事をやった方がいいと思います。

まずは王国の地下シェルターへの民間の誘導が先ではないですか??」

「そ、そうね・・・難しい事はハルトに任せて今はこの祭りのようなごった返しを何とかする方がいいわね。

――――――――せっちゃんも手伝いなさい!!!」

キルりんたちは人ごみの中をかき分け、村人たちを綺麗に整列させて王国のシェルターに避難させ始め。

ハルトはその間も魔法地図を使ったシミュレーションでいくつものパターンを繰り返し試してみるが何度やってもこの国が通過される結果となってしまい逃げた方がいいのではないかと脳裏をよぎった瞬間――――――――



「その中にアレは計算に入っているのかしらね??」

「あぁ??アレだぁ??お前まさか・・・あの古代魔法を撃つ気か??

そりゃあれが当てられたらダイオウリクガメノ進行を止めるどころか殺傷できるかもしれないけどよ。

お前・・・アレをちゃんと制御できてるんだろうな???

制御もできないモノを作戦に捻じ込むほど俺はバカじゃないし博打師でもないぞ??」

ハルトの返事にメルトはつべこべ言っている場合でもないと語るとシェルターへの誘導を国の兵士たちに任せて引き上げてきた魔王たちも戻って来るなりメルトの意見に賛成し・・・・



「大丈夫ですって・・・もし間違ったとしてもメルトの借金が増える程度ですし。

国自体が無くなってしまえば借金があろうとなかろうと白紙になるとは思いませんか?

ですから、成功してもしなくても私たちは超火力であのダイオウリクガメに人間の恐ろしさを見せつける必要があるのですよ。

不用意に人間の国へ踏み込もうとするとどうなるか身をもって知らしめればダイオウリクガメ以外も少なくなると思いますし一石二鳥ではないですかね??」

「私の借金が増えるのはちょっと嫌だけど・・・この国が無くなっちゃったら私たちの住む場所も探しなおしなのよ??

だったらここで博打でも何でもやっちゃってカッコよく決めた方が私たちらしくない??」

「いつもぐだぐだと目覚めればシュゴビーだの働かずにゴールドが欲しいだと言うメルトにしてはいい返事だ。

だからというわけではないが、メルトの古代魔法と残った私たちで内部に侵入し攻撃を仕掛ける部隊があれば低い確率だったとしても0%にはならない結果だ。

だから私からもメルトの古代魔法を計算に入れてみてはどうだろうか?」

「何の話をしているのかさっぱりだけど。

皆が覚悟しているのなら私もこの鬼の力をフルに使って戦う。

――――――――――最後の最後まで共に戦うよ。」

せっちゃんや魔王たちの瞳はブレておらず真剣にハルトの目を見ており。

ハルトはメルトの古代魔法の調整は利くのかと問うと、集中すれば可能と練習のしようがないものに対しハルトは他に作戦を練ったとしても準備に時間がかかると考えメルトたちの案を前提に攻撃を仕掛けた際のシミュレーションを行うと・・・・



「成功確率46%・・・俺が考えた結果の数字がコレだが・・・どう思う??」

「ウム、魔王の私から意見を述べるとハルトの考え以上のプランは私にはない。

この今ある力と知恵をすべて使った内容をぶつけて駄目だったとすればもはや潔く散るのも悪くないモノだと言える。」

「そうですね、この作戦のカギはメルトの放つ古代魔法でダイオウリクガメノ体に大きな損傷を与えるか行動をできなくさせることが必須条件ですのでメルトには何としてでも古代魔法を当ててもらわなければなりませんが・・・・大丈夫ですか??」

「ま、任せておきなさい!!私の勝負運はこういう時の為に取ってあるんだから!!!

いつも欲してる金運は輝かなくても武運は輝くのよ!!!キラキラとね!!!」

「それじゃその内容で手を貸してもらえるかどうかギルドの受付嬢に話しに行こう!!

―――――――――時間は少しでも多い方がいいから。」

プランの内容を完全に把握したメルトたちを連れてギルドにある特別作戦司令係の受付嬢に話を持ち掛けるが、現在複数のハンターや冒険家が作戦を実行中のため他の作戦に手を回せないと言い返され待っていると・・・・



「なんてことなの・・・ハルトさん!!!その作戦の内容を窺ってもよろしいですか??

――――――――――自体が急変しました。」

先ほど魔法通信によって連絡が入り、冒険家やハンターたちはあまりの巨大な相手に戦線を離脱する者から突入するも儚く散る者まで現れ戦闘の続行が不可能と言う事から作戦が破棄され至急別の作戦が必要となったと答え、ハルトは戦闘による被害と戦闘によるダメージを与えられたのかという情報を聞き・・・・

それらをさらに細かく計算すると先ほどよりも勝率が高くなっておりハルトは勝てるかもしれないと言って考え抜いて作り出した作戦プランを受付嬢に伝えた。



「そのプランが成功すると61%の確率で国に侵入される前に討伐が可能・・・・

ここであれこれと考えて議論している場合ではありませんんでここはハルトさんたちに賭けたいと思います。

実際にハルトさんたちは多くの依頼を経験されているのでそれらを踏まえて私から言わせていただきます。

この国をどうかあのダイオウリクガメからお守り抜く手助けをしてください。」

受付嬢の見せた綺麗なお辞儀にハルトたちはグーサインで返しすぐに準備に取り掛かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る