298日目 暴魔の変異と魔王との差
体中から血の匂いを漂わせる男は暗器を手に持ち、魔王たちに自己紹介をし始め。
その男はこの辺りでささやかれていた人型の怪物らしく先日の冒険者やハンターを襲ったのも自分だと自慢するように言い張り次に自らの名を暴魔のウルと名乗ると同時にハルトへ暗器を投げつけていた。
「うおッ!あぶね!?」
「話の途中で暗器攻撃とはいい度胸だ。
それじゃ今度はこっちから行かせてもらうぞ雑兵のウル!!!」
「あぁ?お前何様だぁ??
いいぜ来いよ!!相手になってやらぁ!!!ぶれはッ!?」
「自信満々に来いとか言ってましたけど完全にモロヒットしましたね。
あの魔王のブローですから骨の2、3本はいっちゃってますよ。」
「いや、あの暴魔の事だからきっとワザと攻撃を喰らって私たちの強さを測ってるのかもしれない!!
だからみんな気を抜かないでいこう!!!」
「いや、アレは絶対にそう言うのじゃないと思うけど・・・・
まぁ飛んで行った2人の方向を見に行ってみましょ。
他の冒険家やハンターたちはまっすぐ道なりに進んでるようだからきっと安全なはず・・・・この先の事まで心配してらんないって言うのが本音だけど。
まぁ自分たちの事は自分たちで何とかするでしょ。」
メルトの適当な言葉を流してハルトたちは魔王と暴魔ウルの飛んで行った方向へ駆けつけると。
暴魔ウルは殴られた部位が痛いのか手で押さえつけてヨロヨロと立ち上がり魔王たちに指をさして咆えだした。
「お、お前は一体何モンじゃ!?
この俺に一撃を与えただけではなく血を見せるとか・・・・本当に人間か!?
いや、人間にしちゃ痴女・・・すぎか??お前力を持ったサキュバスじゃろ!!!」
「あ~あ、ついにバレてしまったか。
そうだ・・・この者はサキュバスの女王だ!!!」
「は、ハルト!?私を勝手にそんな低俗な痴女グループの長にするのは止めろと何度言えばわかるんだ!!!
コホン・・・いいだろう冥途の見上げに教えてやろう!!!
私は魔王だ!!!真の魔王を目指して戦っている魔王の中の魔王だ。
さて・・・自己紹介も済んだところでボロ雑巾のようにボロボロにしてやろう。」
「意外と内容はぺらっぺらだけどあんなので信じるバカはいるのかしら??
魔力を解放したりとかしないと受け入れられない事もあるの知らないのかしら??」
「そう言うコトは黙っておいてあげましょう。
本人も久々に名乗れてご機嫌なのですから。」
「そうだったんだ・・・・魔王さんって結構雑な扱いをされてるんだね。
―――――――――私程じゃないけど可哀想・・・」
魔王の背後からは暴魔よりも冷ややかな視線が飛んできており。
今にも泣き出してしまいそうな顔をしながら魔王はグッと奥歯を噛み締め・・・・怒りをバネに剣を使わずに再び暴魔へ殴りつけた。
「お前が魔王なワケないだろ!!!魔王がそんな痴女で仲間を連れて歩くはずないことくらい理解してあの世に行きやが―――――――――
―――――――――――ぶぐほぉッ!?!?」
「悪いな・・・・こう見えて私はハルトたちのストレスによって力が加わっていてだな・・・・生半可な防御ではお前が先に消え去ることになるぞ。」
「ひえぇ~容赦ないわねぇ。
一体誰よ・・・魔王にあそこまでさせるような暴言を吐いたの。」
「まぁ少なからず俺たちの責任だろうな。
キルりん・・・バリアーのポーズをしても無効にはならん。」
「あ、暴魔が戻ってきた!!!
このまま何事もなく勝負がついてくれるといいんだけど。」
ハルトはせっちゃんのフラグを黙らせようとしたが間に合わず、暴魔は2発もの打撃を受けて完全にキレてしまい。
自身の最大の力で当たると言って体を等々に変化させ・・・人の形をしていたのがウソのような化け物の姿となっており。
次の瞬間には姿が消え・・・魔王に痛烈な連続攻撃を見舞っていた。
「オラオラオラオラオラ、どうしたどうしたぁ!!!!
さっきまでの攻撃はまぐれかよぉ!!!!
オウラァァッ!!!!!
まだ終わりじゃねぇぞ!!!俺に攻撃をしたヤツは徹底的に残忍で最悪なまでボッコボコにするのが俺のポリシーだ!!!!
ほらよ!!!コイツもついでに受け取りやがれ!!!!!」
「魔王さんッ!あのままじゃ魔王さんがやられちゃうんじゃ!?」
「そう言えばせっちゃんは魔王が勝つパターンを見たことが無かったんだったな。
魔王はさ・・・相手に好き放題に攻撃をさせて最後の最後で全部意味が無かったように見せつけるんだぜ?
本当にあの魔王が敵じゃなくて良かったとつくづく感謝するしかねぇよな。」
「本当よね!!あんなのを相手にしないといけないとか私の計画も完全に破綻してるわ。
まぁハルトが盾代わりになってくれればワンチャンあるかもしれけど。
本音を言えば戦いたくないって言うのがアレね。
ほら・・・・魔王ってばあの攻撃を握りつぶしてるわよ?」
「いつも思いますが魔王の本気はいったいどれほどの力が出るのでしょうか?
城を破壊した時でさえ本気とは違うという雰囲気でしたし・・・・
魔王の真の力と言うのは見ない方がいいのかもしれないでしょうが気にはなりますよね~~相手にはしたくありませんが。」
と、ぐだぐだと語っていると・・・魔王は掴み砕いた暗器を捨て、大剣を遠くから素振りをしただけで変化した暴魔の体に無数の切り傷を作り。
空中から魔王は剣を構えて最後の一撃を見舞うと言って突撃し。
暴魔の体を貫き・・・一瞬にして命を奪い去って見せた。
「さて、こんなものではないか??
私の力の全力を出す相手はいつになれば出てくるのか・・・
本当に今回の戦いも楽しみにしていたのだが、あのラッシュ時に大体の力の差は見えていたし・・・本当に退屈な時間であった。
―――――――――――――そうは思わないか??」
「いや、俺にフラれてもわかんねぇし・・・・
コイツ・・・これで死んだんだよな??」
「間違いなく息をしていないところから見てそうだろう。
にしても魔王の強さは桁違いと言う事が再度分かった。
さっそく運送者に連絡して前進してった冒険者たちに追いつかないと。」
「そう言うと思いまして狼煙を上げておきましたよ!!」
「本当にキルりんはこういう時だと行動早いわよね。
でも、これで暴魔の恐れが無くなって調査の数も減るんじゃないかしら??
あれ・・・減ったら私たちの楽でお金を稼ぐができないじゃない!!!
――――――――――――どうしてくれんのよ魔王!?」
メルトは暴魔を倒した張本人である魔王を掴んで揺らして謝らせると、魔王のボソッと言った暴魔の報酬金と言う言葉に手が止まり・・・・
メルトは魔王の乱れた髪や衣服を整えて冷静にけがはないかと尋ねていた。
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