297日目 暗闇からの奇襲


 ギルドの受付嬢に昨日の出来事の一件が伏せられている事について怒鳴っている連中を引き剥がしたハルトたちはその連中を連れて離れた席に移動し話を聞く事にした。

そして、冒険者たちからの話を聞いた所・・・昨日の後半組はやはり人型の怪物に襲われたらしく。

他では聞いたことのない内容も混じっていた。

――――――――――その内容と言うと・・・・・



「俺たちは戦闘グループから離れていたから攻撃はされなかったんだが。

攻撃をされている連中に向かって怪物がその・・・何かをんだ。

おかしいだろ??魔獣や害獣が人語を喋るなんてあんま聞かないし・・・だからそのことについてギルド側に確認の為に尋ねたんだが・・・・相手にされずでさ。

お前達はどう思う??人型で好戦的な人語を操るモノ・・・そんなのがいると思うか??」

「いるじゃんに。

―――――――――ゴはッ!?」

「失礼した、私は断じてそんなフワフワとした存在ではない。

そうだな・・・魔王という枠がどの分類でどのジャンルに属するかわからないがこう言おう。

お前達の見たのはきっと魔人種だ。

それもとびっきり好戦的と言うのであれば・・・・それは暴魔の類だろう。

だったらどうして夜にしか仕掛けてこないのかが不思議だ。

彼らの力なら昼に行動しようと変わりがない・・・どうしてだ??」

「んもう!!!めんどい話は後よあと!!

相手がわかったのならソイツが出てきたらボコればいいんでしょ??

―――――――――めちゃ簡単な話じゃないの!!」

「本当にざっくりと簡単に言ってくれますね。

暴魔と言えば見境なく暴れるいわば台風とかそう言った超危険な災害を相手にするようなモノなんですよ??

そんなのが相手になろうかとしているのに本当にメルトは・・・・

で、せっちゃんは暴魔と聞いてどう感じます??この依頼の核心に当たる者が暴魔だと思いますか?」

「ん~見ていない事には何にも答えは出ないから憶測の範疇だけど。

暴魔か・・・鬼とどっちがすごい暴れっぷりかちょっとだけワクワクしてる。

暴魔かぁ・・・・強いのかな??タフなのかな??早く来ないかなぁ。」

せっちゃんは心配をするのではなくむしろ暴魔に近いワクワクとした様子を見せ。

これは話にならないと放置して、冒険者たちに今回の調査はどうするのかと問うと。

おめおめと引き下がってはいられないと言って俄然戦う気満々で参加すると語り。

そのまま時間が来るまでギルド内で待機していると、受付嬢が調査依頼のメンバー招集をかけ・・・・昨日の後半部隊の出来事を口に出した。



「お集まりの皆さんこんばんわ。

この度の調査依頼に少々厄介なモノがまぎれているとの報告がありましたので伝えておきます。

その厄介なモノと言うのは数名を病院送りにした怪物であり人の姿をしていたと言う情報です。

この相手に対して他に細かな情報はありませんが前半共に後半の調査隊は今回は合同で最初から最後までのルートを調査しておらいます。

距離が伸びて報酬が同じという事はございませんのでご安心を。

戦力を半分に分けて壊滅の危機を避けるための処置として考えていただければと思います。

では・・・・全ての参加者に告げます、命を懸けて死なない程度に頑張ってくださいね。」

「あのにっこり笑顔でよくあんな事を言えるな。

あの受付嬢はどんだけヤバイ事を言ってるのかわかってんのか??」

「きっと幾度となく同じような事を言ってきたのだろうな。

受付嬢と言っても死へ誘う依頼を紹介する時もあろうから・・・言いなれてるのかもしれないな。

だからと言って私たちは臆することなく退くことなくただ依頼の調査を全うするだけだ。」

「それじゃ私たちも位置に向かいましょ!!

この調査できっと何かしらの《《動き))があると思うし。」

「ふふ、強い奴と戦えると言うのは少し楽しみでもあるが。

調査がメインと言う事を忘れないようにしないといけないな。

よし、私頑張るぞ!!!戦いもある程度に頑張るぞ!!!」

せっちゃんのガッツを聞いたハルトたちは受付嬢の案内で調査スタート位置に付き。

ランタンに火をともすと・・・・受付嬢は開始の合図を放ちハルトたちは昨日と同じルートをのしのしと歩き始めた。



「ルートは昨日と同じだが・・・・1週するとか少し長くないか??

そこまで体力が残るかちょっと不安なんだが。」

「私とせっちゃんは日々のトレーニングでできた体力からして問題ないが。

いざとなれば引きずってでも連れて行くから安心して欲しい。

それに・・・・今回はアクションをかけると言う事を忘れるな。

おっと・・・そろそろの位置だな。」

「わかってますよ、この辺りで・・・・よし・・・・匂い袋の投下完了しました。

あとはコレに惹き付けられて何がやって来るかですね。

ですが暴魔や魔人と言うのはあの匂い袋や呼び出しの呪文系で来るものなのですか??」

「そうね、これは少ししか知識を持たないキルりんたちには難しいことかもしれないから私が直々に説明したげるわ!!

そもそも今回の魔獣や暴魔がどうして昼間に来ないのか・・・・それはがあるからよ。

だから匂いの強いアイテムとか呼び出しの強い魔力を感じる行為が禁止扱いされていたのがそれよ。

だからギルド側はある程度の内容を知っておきながら放置した・・・・私たちのような冒険者やハンターが対処できるのか調べているのかどうなのかはしらないけどね。

だけどそれも今回で全てがわかるはずよ・・・あ、言い忘れてたけど何かが近づいてきてるわよ??」

メルトの突拍子もない言葉から数秒後・・・闇の中からザッと現れた黒い人型のソレはハルトを背後から攻撃しようと仕掛けていたのだが。

その攻撃を呼んでいたかのように魔王とせっちゃんの同時ブロックによって防がれていた。



「チッ・・・・なんでぇ俺の攻撃を見切ってたのか。

どうしてこうも匂いが強いかとも思ったが・・・・まさかおびき出されたのはこっちって事かぃ。」

「ハルトを狙うとはお前、誰が一番戦力にならないのか見抜いてると見た。

だが私たちの大切な仲間に手を出したんだ・・・このまま逃げられると思わない事だ。」

「誰が戦力外だ!?俺はこれでも知識を使ってだな!!!」

「ハイハイ、わかったわかった。

ギャーギャー騒ぐ方が弱く見えるわよ?それにコイツ・・・・かなり血生臭いから気を付けた方がいいわ。」

「メルトにしては良く気が付きましたね。

言う前に先を越されましたが・・・紛れもなくこの男がこの辺りを暴れている暴魔でしょう。

その証拠に体中から血の匂いがプンプンです。」

「そう言うわけだからお前、暴魔か?それともまた別の存在なのか??

――――――――――さぁハッキリと答えろ!!!」

せっちゃんたちの問いに男はこのまま逃げ去るそぶりを見せることなく暗器を構えて魔王たちに自己紹介をした――――――――

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