295日目 怪しい魔の手?


 報酬をギルドで受け取ったハルトたちはその場でいつものように全員で分割して分け合うと。

後半の調査を開始した連中の事が少し気になり・・・魔王はせっちゃんたちに語るとせっちゃんも魔王と同じことを口に出し反対側にいるかもしれない強敵のことを考えていた。



「あの連中の装備からして中くらいの害獣ならばなんとか対等に戦えるだろうが・・・・魔人のような相手だとさすがに全滅する可能性があるのだが・・・・

無事なのか少し気になるな・・・」

「うん・・・私みたいに鬼の力があるわけじゃないし。

魔法を使えるメルトやハルトのように《《盾))代わりになるのもいないから・・・・心配だね。」

「せっちゃん・・・サラッと俺の事を盾って言ったよな??

俺は盾じゃないし囮ようのエサでもないからな??

ただ毎回そんな感じに見えてるだけで俺から言わせてもらうとそんなことは微塵も・・・・」

「ハイハイ、ハルトの身代わり十八番芸はまた今度見せてもらうとして。

魔獣や魔人の討伐報酬から考えると美味しそうではあるけどコレ以上は私眠たくてやれそうにないからまた明日かしらね?ふわぁぁ~~」

「それにワザワザライバルを助けに行く必要なんてありませんよ。

この調査依頼は強さが試される依頼であって弱いものは強いものにやられると言う摂理が完全に出来上がっちゃってますからね。

ですから弱者は逃げるなり食われるなり好きな方を選ぶべきでそもそもこんな危険しかない依頼に報酬目的で参加する方が間違っているのですよ。

自分の命をも守ることができないモノに街の安全が守られるわけがありませんし。

私も早く寝ないと成長の妨げになるので早く睡眠したいです!!」

キルりんはカッコよく決めつつも最後の言葉で台無しにし・・・ハルトたちはひとまず今日は解散してまた明日の調査依頼の時にでも話をしようという事になり解散し。

ハルトたちはすぐに家に帰り眠りについた――――――――



そして、翌日・・・・報酬が夜に得られると言う事から昼間はダラダラと過ごしていたハルトたちに外に散歩がてらトレーニングという名目で出ていた魔王が戻って来るや・・・・昨日の調査組の後半部隊が襲われたと言う情報をハルトたちに聞かせた。



「で、あれから私たちの跡を継いだ後半部隊の半数以上が襲われて負傷したとか噂が出ていてな・・・その負傷した者たちは人型のバケモノが自分たちを襲ったと言っているらしい。

そしてその正体が魔族なのか魔獣なのかそれとも害獣なのかと言うこともわからずしまいで謎が謎を呼ぶ今回の騒動・・・・どうも??」

「怪しい??どこら辺が怪しいってんだ??

怪しいって言ったなら・・・連中が魔王を見る視線くらいだと思うが・・・・」

「それはただの魔王の変態的コスチュームに飛んでいる危ない視線です。

魔王の言っている怪しさと言うのはきっと・・・この依頼の裏で何かが起きていると感じたのかもしれません。

そうですよね??そこで立ち聞きしている。」

「ふむ、気配を殺して扉の前で立ち聞きをしていたのにバレてしまったとは私も修行が足らないな。

だけど私も話したいことがあるから・・・ちょっと失礼させてもらう。

さっきの魔王の言っていた怪しい感じなのだが・・・・ギルド側の対応が妙なんだ。

負傷者が出たとしても大きく公表することもなく危険シグナルを出して注意を出すわけでもない。

これはギルド側が私たちを試しているのかそれとも本当にこの街や村・・・王国事態に大きな魔の手が忍び寄っているのかだ。」

「大きな魔の手ねぇ・・・・魔王以外にヤンチャしそうなのがいるって言うのもちょっとアレだけど・・・言われてみればあの何でもかんでも注意深く行動するギルドが負傷者を出した依頼に対して勧告を出さないのは問題よ。

それくらいの大問題をスルーしつつ今日もまた調査するんでしょ??

きっと私たちの側にもそろそろ現れる頃合いかもしれないわね・・・・その怪物とか言う張本人が。

で、それって報酬が出るのかしら??私・・・無報酬の戦いってあんまり興味ないって言うかしたくないのだけれど??」

メルトは真面目な顔をしつつ正直に心の中で感じたことをありのままに口に出すと。

せっちゃんたちも呆れてモノが言えずに立ち尽くしており。

少し間をおいてから脳内に言葉が浮かんだのか・・・魔王は一呼吸してから続きを話し出した。



「だったら今日の調査は少し力を出さなければ大変な事態になるかもしれないと言う事だな。

ならばせっちゃん・・・・今日は共に作戦を練らないか??

メルトたちはこうしてOFF状態でだらだらとした生活をしていてな。

このハルトでさえも休日のような生活っぷりで緊張感があまりないのだ。」

「わ、私でよかったら力にならせてほしい。

同じギルドで知り合い友として縁を結んだもの頼みだ。

―――――――――断るはずもないのだけど・・・ハルトたちもう少ししゃきっとした方がいいんじゃ??」

「いや、せっちゃん・・・俺をどうとか言う前にまずはメルトをどうにかしてくれないか??

コイツ・・・昨日帰ってからあの床に寝転がったまま一度も動いていないんだぞ??」

「そうですよ!!!私たちに毛布を持ってこいだとか果物を寄越せだとか完全にダメルトここに極まり状態ですよ。

本当にこの調子で調査に出て大丈夫なのか私自身不安でしょうがありません・・・・・ダメなら逃げますけどね。」

キルりんたちは互いにラフに過ごしていることを否定するつもりはないが、自分たちをとやかく言う前にゴロゴロを極めつくしたメルトを先に何とかするようにとハルトたちがせっちゃんに語ると。

せっちゃんは恐る恐る寝転がったまま動かないメルトに声をかけた・・・・・



「そう言うわけでメルト・・・そろそろ起きて作戦会議でも始めない??

そうしたらハルトたちもシャキッとするって言ってるし・・・・どう??」

「私ゴロゴロしてる方が落ち着くのだけれど・・・せっちゃんにそんな悲しい生物を見るような目で語られると起きないわけにもいかないわね。

はいはいコレでいい??私も起きたんだからハルトたちも起きてしっかりと作戦会議という名の宴会に参加しなさいよ??」

「宴会にすんなよ・・・・ここは真面目に作戦をだな・・・・」

「ですがお腹が減ったのは確かです。

食事をしつつ作戦を考えるのはどうでしょうか??」

「そうだな私も外へトレーニングに出てたからちょうどお腹が減っていたところだ。

今回はの意見の一致という事で酒場へ向かおうか。」

ハルトは否定していたのをスルーし、魔王たちはハルトを強制的に酒場へと連れ込むと・・・・本当にメルトは宴会を始め、魔王とキルりんたちはせっちゃんと作戦のプランを食事をしながら進めていた。

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