283日目 古代魔術のチカラ


 魔王は大剣を構え、ジリリと地面をエグリながら進み・・・メルトたちに目の前の連中を消してもいいかと尋ねたが、キルりんたちは同時に拒否すると。

魔王はメルトとキルりんに怒鳴りつけていた。



「ならば!!!このままハルトを好き勝手に殴らせていいのか!?

あのように負傷した状態のハルトを・・・・あのような人間のクズのようなヤツらに好き勝手にされるのは我慢ならないとは思わないのか!?」

「魔王、その逆ですよ・・・・魔王が手を出せばハルトが辛くなると思うので魔王にはやらせたくないと思って私たちは拒否したまでの事です。

ですからここは私のアサシンのテクニックでこのゴミムシの息の根を完全に・・・・メルト・・・・邪魔をしないでくれませんか??」

「本当にアンタたちは頭に血が上るとすぐに殺すとか消すだとか穏やかじゃないわね。

ハルトなんて死んでも死なないのよ??そんなバカをどうしようと勝手だけど・・・・・今回ばかりは私は2人よりも少しブチって来てるのよ。

何せ私の呼び出した使い魔を私以外に好き勝手オモチャにするとか・・・・マジで怒り心頭のブッパもんよコレ??今こうやって冷静さを保ってるのが不思議なくらいよ。

で、アンタたち・・・・ハルトをそこに置いて逃げるのなら私たちはアンタたちを追わないけど・・・・どうする??

ここでどうにでもできる私たちと命をかけて戦えるのならかかってきなさいな。

世界のあらゆる魔術に精通したをお前たちに披露してあげるわ。」

「とかなんとか言ってますがお頭・・・このボウ切れ軟弱野郎を盾にすればどうとでもなるぜ??

だったら今回はボコられた分をお返しするつもりで目の前の女どもをヒーヒー言わせてやろうぜ!!!」

「お、おう・・・そうだな!!!よく言った下っ端A。

そう言うわけだ・・・・コッチにはこのクソみたいに使えねぇ男の盾があるんだ。

この最強の盾を前にお前たちは何もできる訳ねぇだろ!!!

さぁそのとやらを使えるもんなら使ってみやがれ!!!!」

盗賊のリーダーの挑発に応えるべく・・・メルトは指を向けると、盗賊のメンバーが数人メルトはハッタリをかましているだけだと吠えながら武器をもって攻撃を仕掛けてたのだが・・・不思議な現象が起こっていた。



「な、なんだ!?武器が・・・・崩れ落ちてる・・・だと!?」

「お、俺の武器もだ!!!こうなったら銃だ!!!銃でやっちまえ!!!」

「いや、その銃も腐敗して・・・・なッ!?違う!?銃だけじゃない!!!!

俺たちの体も干からびてッ!!!ぐあぁ・・・・ぼあ・・・ぐぼ・・・ガハッ・・・・」

「な、何が起こっていやがるってんだ!?

コレは夢か!?な、仲間が3人・・・・ミイラになっちまったぞ・・・・」

「そんなに驚かないでよ・・・コレは時間を急速に進める魔法・・・・

古代魔術は時間にもアクセスできるよ?だから逆に巻き戻してやることもできるの。

ホラ、私はここにいるのよ?誰も攻撃してこないのかしらぁ??それとも怖くなってオシッコでも漏らしちゃったのかしらぁ??プププ・・・傑作ね。」

メルトは男達を挑発し・・・自分の方へ来るように仕向けると同時に。

飛び出してきた連中に魔法をかけると先ほどと同じように魔法が効果を表した。



「何だこれ!?武器が・・・鉄の塊に・・・・

それに手が・・・いや、体がスベスベに・・・若返って・・・・」

「お、お前・・・子供になってるぞ!?」

「くそ!!!こうなりゃコイツを盾にしつつアイツをやっちまえ!!!」

「お、俺が!?くッ・・・こうなりゃ・・・仲間の仇だ!!!

お前もたもたせずについてこい!!!このッ・・・さっさと歩け!!!」

「無理言うなよ・・・俺の体は全身複雑骨折してんだぞ??

それに俺を連れて行ってもお前・・・ヤバいんじゃないか??」

ハルトの言葉に男は黙れの一点張りで突き進み・・・メルトとの距離が数メートルというところでメルトはさらに指を構えて見せた。



「あと、そのハルトをイジめていいのは私たちだけなのよ。

だからそのバカで口の減らない使い魔を返してもらうわよ??

――――――――――射貫け・・・雷撃の矢!!!」

「ぎぎゃッ!?この魔女・・・・仲間ごと攻撃しやがった・・・・

お頭ッ!!!コイツたちはやっぱり異常者だ!!!最近噂になってる危ない連中ってもしかしてこいつらの事なんじゃ・・・・」

「何をバカなことを言ってやがるんだ!!!

こんなフザケタ出し物小屋のサーカス団に化かされてるだけだ!!!

こうなりゃ俺が直々に全員ぶっ殺してやる!!!お前は後ろから銃で狙い撃て!!

―――――――いいな???外すんじゃねぇぞ??」

盗賊の頭は男に銃を持たせて下がらせると、今度は自分が再び相手だと言って剣を抜き。

メルトに攻撃を仕掛けようとする瞬間の事であった・・・・・

一発の銃声が鳴り響き、その音は1発だけであったが確実に誰かに合ったと感じさせるもので・・・銃声のした方へ視線を向けると。

その銃声を轟かせたのは先ほど後ろへ下がって銃を構えていた男からであった。



「どう・・・・して・・・・裏切った・・・どうして裏切った!!?

ぐはッ・・・・どうしてだ!!!どうしてぇぇ!!!!うぐッ・・・・」

「い、いや・・・違う!!俺じゃない!!!俺は撃つ気なんてなかった!!!

本当だ!!!俺は何もしちゃいない!!!」

「そうよ、ないわ。

彼の精神は正常だけれどはどうかしらね??

この魔法は本当に緊急時以外には使わない秘策中の秘策の魔法なの。

誰にでも見せるようなものでもないし見せちゃだめな魔法なのよ。

だって人を私の思い通りに動かすマインドコントロールとでも言うのかしら?

そんな魔法がこの世にあると知られたら私たち古代の魔法を使う私たちは確実に根絶やしにされかねないモノ。

だから・・・・ここにいるアンタたちは全員忘却してもらうわよ??大丈夫・・・今まで生きてきた事、全ての記憶を綺麗サッパリと消してしまうだけだから。

――――――――――記憶抹消メモリーダンプ・・・・はい、コレで全部綺麗に完了よ。」

パンパンと手を叩いてメルトはいつもの腑抜けた笑みを魔王たちに見せながらハルトの元へと近づいて行った。

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