284日目 盗賊たちの使い道


 引きずられて歩かされたハルトは立ち上がることができないまま寝転がった状態でメルトと目が合い。

目が合ったメルトはハルトの頬をツンツンと突きながら元気かどうか確かめた。



「おぉ~~い、バカハルトぉ~生きてまちゅか~~」

「お前、さっきの古代魔術・・・そんなに使っていいのか??

あと・・・そろそろツンツンをやめぇと噛むぞ!!!」

「ひょえぇ~~メルトの魔法は前々からえげつない火力だけが売りかと思いましたが・・・・まさかこう言った人体に多大に影響の及ぼす魔法が使えたとは。

まぁ通りで今まで使わなかったのかも今では納得ですが・・・・

で、アンタらは大丈夫です??」

「いたたた・・・俺は・・・一体・・・」

「名前は思い出せるか?自分が何をしていたかとか細かなことはどうだ??」

魔王は立ち上がった連中に同じことを尋ねるがどの男達も名前程度しか思い出すことができず・・・どうしてここにいるのかと怯え始めていた。



「おい、どうするんだ??無闇に記憶を消し飛ばしたのはいいが・・・・皆不安になってしまっているぞ??

それともこれもメルトの作戦プランの内容の1つなのか??」

「いいえ、私は作戦なんて知らないわよ?

私はただこの連中のやり方をマネて一方的な方法で叩いただけよ。

それと予防策として記憶の一部だけを抹消しただけで私はこれからこのアホ共がどうしようと知らないし勝手にどうとでもすればいいわよ。

そうね・・・街から離れた所にある人手を欲しがっていた村に移すってのはどうかしら??

この連中ならいい働き手になっていいんじゃない??」

「ん~それらを決めるのも最終的には彼らだと思いますが・・・・

あなた方はどうしたいのですか???」

「俺は・・・そこでいい・・・住んでたところは子供の頃に無くなった。」

「俺もそれで・・・」

「俺も・・・・」

と、盗賊だった記憶を全て忘却した連中と負傷して回復中のハルトを連れ・・・・メルトたちは街へと戻り。

まずはやっと手に入れた星色スミレをギルドの受付嬢に引き渡し報酬を受け取ると報酬をもってすぐに言っていた村へと足を運んだ。



「おやおや冒険者さん・・・どうなされた??

それと・・・その男達は・・・・ん?その若い冒険者はどうなされた??

わいせつ行為で酷い目にあったのか???」

「ち、ちげぇよ・・・・俺の傷は名誉の傷跡というヤツだ。

で・・・今はそんな事よりもこの男達について提案しに来たんだ。」

「そう!!私たちは色々と冒険をしている中で記憶が無くなったモノ達を回収したのよ!!でねでね!!!この連中をここにおいてやって一緒に生活の仕方を教えてあげて欲しいのだけれど・・・いいかしら??」

「かなり作り話感満載だが大丈夫なのか???

それに・・・これだけの人数を収容する家が見当たらないのだが??」

「もしかしてメルト・・・その報酬で??」

キルりんの言葉にメルトは100万ゴールドの束を村長に手渡し・・・どうにかできないかと再び尋ねると。

村長は二つ返事でメルトの要望を受け・・・この連中を引き受けると語り。

さっそく村長は100万ゴールドで家の建設を始めると言って街の大工に注文を入れていた。



「それじゃ、俺たちはここでお別れだ・・・・いつつ・・・んじゃ、達者でな。」

「あ、ありがとうございました・・・このご恩は一生忘れません。」

「いや、何だろうか・・・私たちが蒔いた種の始末をしただけというか・・・

この言われようは何だか心に来るものがあるが。

殺生をせずに済んだのだから良しとしておくのがいいのかもな。」

「ですね・・・メルトのアレでしたらきっともっとどえらい事ができるはずですし。

当分はメルトに古代魔術関連の話をしない方がいいかもですね。」

「何をゴチャゴチャ言ってんのよ!!!

さっさと家に帰って酒場にシュゴビーを飲みに行くわよ!!!

あぁ~~秋も秋でシュゴビーが私を呼んでるわ!!!」

メルトはルンルンとスキップをしながら街へ続く道を歩き始め、それを不思議そうな目でハルトたちは見つめてメルトの後を追って目的の酒場へとやって来た。



「でさ??報酬はメルトが気前よく100万もやっちまって残ったコレで分けることになったが・・・・150でいいか??」

「ん~~まぁ今回は私の神的な対応で100万ゴールドが無くなっちゃったのは謝るわ。

だけどこうやって100万ゴールドを使った私に報酬を分けてくれるなんて今日のハルトちゃんはどうしたのかしらぁ???」

「そうだな・・・いつものハルトなら報酬を勝手に使った罰とか言ってメルトの報酬を0にするとか言うと思っていたのだが。

―――――――――どういう風の吹き回しだ??ん??んんん???」

「何かハルトがまた良からぬことを考えているとかそう言う落ちじゃないですか??

いつものケースならこの後解散してからとあるお店に・・・もごご!?!?」

キルりんが店の名前を出す前にハルトはやっとくっ付いた足と腕を使ってキルりんの口を塞ぐと。

今回件は全員がべストを尽くした結果による報酬とだけ言ってハルトはメルトと同じようにシュゴビーを注文すると魔王もそれならばと注文して3人と甘いジュース1名で乾杯をした。



「んごんごんごんご・・・・・ぐあぁ~~~くぅぅうぅ~~~ウマイッ!!!

―――――――――秋のシュゴビーはこれはこれで最高ね!!!」

「お前、毎回そうやって言ってるが本当に味とかわかってんのか??

毎度毎度同じようにウマイウマイって・・・・九官鳥か??」

「何なのだその・・・キュウカンチョウとは??

やけにお尻がムズムズするワードだぞ??」

「きっとハルトの世界にいる生物か何かでしょう。

まぁこの時に出る例は大概馬鹿にしてる時に言うアレでしょうね。」

キルりんが木のみのジュースを飲みながらハルトに九官鳥について尋ねると。

ハルトは嘘偽りなくバカみたいに同じことを何度もぺちゃくちゃ喋る鳥だと伝えると。

やはりと言うべきかメルトは怒って自分はそこまで連呼していないと言ってハルトを突き飛ばした―――――――



「ぐあぁッ!?おま・・・・マジで俺がまだ完全に治ってると思ってたのか??

クソ・・・また腕が折れちまった・・・・」

「え!?私悪くないもん!!!は、ハルトがいけないのよ!!!

私の事をその言ってた鳥のようにバカって言うから・・・・」

「それはそうとまずはハルトを座らせるのが先ですよ。

ほら・・・ハルト・・・私の手を貸しますので握ってください。」

「ならば私はハルトに料理を食べさせてやろう。

この場合だからしょうがない!!そうだしょうがないのだアッハッハ!!!」

2人は倒れたハルトを座らせてサポートを始める中、メルトはちょっとやり過ぎたと反省して・・・シュゴビーを1杯だけに控えていた。

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