249日目 蛇の囮役・・・
蛇を探しに山へやって来たハルトたちであったが・・・山道はそこそこに険しいもので鬼のせっちゃんや魔王たちとは違ってスペックがノーマルなメルトやハルトたちは到着した時点で疲れて息を切らしていた。
「2人とも情けないですよ??
私はアサシンスクールで山道や獣道などでも疲れない歩き方というものを熟知しておりますのでそこまで苦になりませんでしたが・・・・
この様子だと少し休憩しなければ2人はまともに使えなさそうですがどうします??」
「う~ん・・・蛇の気配もしないし少しだけ休憩してから探しに出かけると言う事にしよう。」
「あぁ・・・・タスカッタァ・・・・このままいけば間違いなく俺かメルトがやられるとこだからな・・・・」
「ゼェゼェ・・・・言ってくれるじゃないのダメハルト・・・・わ、私がこれしきの山道に屈すると思ってるの??
本当に冗談は休み休みにいなさいよね・・・ゼェゼェ・・・・」
「休み休みに言うのはメルトの方だ。
にしても2人とも本当に鍛え鍛えが甘い!!
こんな山道くらい息を切らずに走り抜けるくらいにしておかなければ私クラスの魔王と戦うのであれば秒の殺でやられてしまうぞ??」
ハルトとメルトの疲れ具合からひとまずヘビが現れなさそうな場所に移動してから休憩を開始し。
依頼のターゲットである巨大ヘビというのはどのくらい巨大なのかとせっちゃんに問いかけると・・・・・
「そうだね・・・話によるとアレくらいかな??」
「アレ?ん・・・・・は?もしかして例えで指さしてるのって・・・まさか・・・・依頼の巨大ヘビ・・・なのか!?」
「ば、バッカじゃないの!?あんなデカイヘビ私たちだけで何とかなるものなの!?
それともココはいきなり最終兵器の2人を使うって言うのがいいんじゃないのかしら!!!べ、別に私はあれくらい簡単に倒せるけど見せ場を奪うのも良くないと思って言ってるだけよ!ほ、本当にいけるんだから!!!」
「いえ、何も言ってませんし勝手に話を進めないでください。
ややこしくなりますので・・・
で、せっちゃん・・・アレがその・・・ターゲットだと言う事は分かりましたがどうしてあのヘビはこちらを見つめて動こうとしないのですか??」
「言われてみればそうだ・・・あの蛇・・・私たちの事が見えていないのではないか??」
魔王の言葉にせっちゃんはコクリと頷いてハルトたちを近くに集まらせて小さな声で蛇の特徴を説明しながら今回の作戦会議を始めた。
「まずあのヘビは魔王の言った通り目が悪いらしいの。
何せあの巨体だから目で見るよりもニオイのするものを丸呑みした方が早い体という説があるの。
で・・・この瓶の中にあるこの辺じゃ匂いのキツイ香水を手に入れて来たからこれを使って蛇をおびき寄せて背後から私と魔王が一気に仕留めるという作戦よ。
その引きつけ役はメルトたち3人に任せようと思うのだけど・・・・どうかな??」
「まず俺たちを依頼に誘った所までは許そう・・・俺たちも何をしようか迷ってたところだし?せっちゃんの熱い視線を断る事も出来ねぇし??
だがこの機会にハッキリと言わせてもらう!!!俺たちは囮専門じゃねぇんだ!!!
何で毎回毎回俺たちが囮をしなけりゃならんのかきっちり説明してくれ!!!!」
「そーよそーよ!!!私とキルりんは囮に慣れていないのよ!!!
囮役に慣れてるのはハルトだけであって私たちは攻撃専門よ!!」
「メルトが攻撃専門なのかはどうなのかは疑問につきませんが私はどちらかと言うと技術サポートであり裏方が主です。
ですが今回は私も囮に使われると言われてハイそうですかと簡単に首を縦に振ることができないのですが何かワケあっての事なんですか??」
3人の反論からせっちゃんは落ち着くようにと言って説明を開始し。
何でもこちらを見ている蛇は獲物を捕食した後、他に獲物がいないとわかると住処に戻ってしまうらしく。
数人の囮が必要と言うとさらにキルりんやハルトたちの顔色が悪くなり。
ハルトは来た方向へ帰ろうとし始めたが魔王は必死にハルトを逃げないように固定していると。
せっちゃんはハルトの耳元に移動してコソコソ何かを話すと・・・・・
「はぁ~~~わかった・・・・本当に今回で囮役は勘弁だからな!!
今回だけだぞ!!!よし・・・そういうわけでお前らも気合入れてやるらないとマジであのデカイヘビにぱっくりと頭からやられちまうぞ。」
「くッ・・・・ハルトが逃げずにやるというのなら私たちが逃げては示しがつきませんし何を言われるのか分かったモノでもないので。
いいでしょう・・・今回はせっちゃんの名に泥をぶっかけないよう最後の最後まで囮役をやってやりますよ。」
「それじゃ私はパスで・・・・嫌よ!!イヤイヤ!!!あんなのから逃げるなんて私にはできないわよ!!!
どうせ私が始めにぱっくりやられちゃうんでしょ!?
―――――――――――うぅ・・・・・なんとか言いなさいよ!!!!」
グダグダと文句を叫びながらハルトたちは香水の入った瓶を受け取ってせっちゃんに言われたポイントに向かって準備をすると。
魔王たちの準備が整った時点で開始の合図が入り・・・ハルトたちは一斉に香水を噴出すると―――――――――――
「ぎゅるる・・・・・ぎゅる!?」
「うぉぉぉおぉぉ!!!なんか予想よりも早くこっちに気が付いてきてないか!?
お前らもっと早く走れ!!!!喰われるぞぉぉぉぉお!!!!」
「そんなこと言ったってコレが全力よ!!!
うぅぅぅ・・・・何・・・この地鳴り・・・・って、まさか・・・・
あんぎゃぁあぁあぁぁぁもうすぐそこまで来てるぅぅぅうぅぅぅ!!!!!」
「わぁ!?ちょっとメルト!?実はあんなに早かったと言う事ですか・・・・それとも窮地に立たされた際に何かが弾けたのでしょうか・・・そんなどうでもいいことを考えてる場合じゃありませ・・・・んぶッ!?
ぎぎゃぁあぁあぁぁ!!!後は頼みましたよぉォぉ~~~」
黒い影が見えたと感じたキルりんはふと頭上を見上げると、綺麗に呑まれ。
それを見ていた魔王とせっちゃんは蛇に追いつくようスピードを上げて駆け出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます