250日目 せっちゃんとのお楽しみ


 キルりんが食べられたことによってさらに速度を上げて蛇を追いかける2人に対してハルトとメルトは自分が食べられないようにと先頭の取り合いをして走りまわっており。

その2人の前に現れる障害物を魔法や身のこなしで避けて進み。

とうとう2人は山の崖っぷちに立たされていた。



「うぅぅぅう・・・・こ、これってマズいんじゃないの!?

私まだ死にたくないわよ!!だからハルトに命令よ!!私の身代わりになって食べられなさいよ!!」

「お断りだ!!!俺も自分の身の方がお前よりも大切なんでな!!!

それよりもここは協力して食べられないっようにでもしてみないか??

例えばだ・・・あのヘビに気を引く何かが出来たりしないか??」

ハルトの問いにメルトは少し考え・・・何かを閃いて瞬間には巨大ヘビが到着しており・・・どちらを食べるか狙いを定めていた。



「お、おい・・・・お前のその閃いたヤツで何とか気を引いてくれ。

そのスキに俺が最大の力で作るイマジンの巨岩で一撃で沈めるからよ・・・」

「しょ、しょうがないわね・・・・本当に危ないと思ったらすぐにイマジンを使うのよ!!絶対の絶対だからね!!

もし裏切ったら承知しないから!!!絶対に泣いてやるから覚悟しておきなさいよ!!!」

「じゅるるるるる・・・・・じゅる??」

「どうしたというのだ??ヘビが止まっているように思えるが・・・・2人は無事なのか!?」

魔王はヘビが動かないことに異変を感じ、せっちゃんと共に様子を窺おうと回り込んで見て見ると。

メルトは不思議なダンスを踊って蛇の気を引いており・・・その後方にはハルトが笑いを堪えながら手を伸ばすと――――――



「いいわよハルト!!!一気にやっちゃいナ・・・・ぎゃぷらッ!?」

「メルトォぉ!?クソ・・・・良い調子で惹き付けてると思ったらコレかよ!

あぁ・・・どうしろって言うんだよ!!こんな状況じゃ俺が食われるのも時間の問題・・・・こうなったら最後のイマジンで・・・・ハァハァ・・・」

「ヤアァアァァァァァ!!!!テイヤッ!!!!

―――――――無事か!?ハルト!!!」

「あぁ!?ずるいぞせっちゃん!!!抜け駆けするとは!!!

こうなったら私も不意の一撃で・・・・とりゃ!!!」

「じゅぎゃぁあぁぁぁ!?」

魔王の強烈な一撃によって蛇は体をグネグネと捩じらせ・・・・気持ちが悪いのか蛇は口から何かを吐き出すと。

吐き出されたものはメルトとキルりんで・・・2人はよだれまみれになりながらも生きていたが、あまりの出来事にショックが抜けていない状態であった。



「2人とも無事だな・・・よし、ここからは私たちのターンだ!!!

――――――――行くぞせっちゃん!!!」

「望むところ・・・ハルトは2人を安全な場所に移動させておいて。

――――――――ここはもう戦場よ!!!」

「言われなくてもわかってる・・・・よしお前ら見事任務を果たしたんださっさと安全な場所に戻・・・・・」

「冗談じゃないわよ!!!パクッと丸のみにされてタダで引き下がれるわけないじゃないの!!!

ちょっとそこどきなさいよ!!!私の怒りの魔法を受けると良いわ!!!

―――――――――――スーパーインフェルノ!!!」

「今回ばかりはメルトに同感です・・・ハルトは私の上着でも待っていてください。

それじゃ・・・イッテキマス!!!」

メルトの魔法を受けたヘビはさらに態勢を崩して倒れ込むと、飛び掛かった魔王たちと共にキルりんは攻撃を仕掛け・・・・最後のトドメとメルトは魔王たちを巻き込む程の強い魔法を放ち蛇を骨だけに変えてしまっていた。



「おいメルト!?もしもアレが私たちに当たったらとか考えなかったのか!?

危うくキルりんは燃えカスになるところだったのだぞ!!」

「そうですよ!!!微妙に髪の毛がチリチリなって嫌な臭いを出してるところですよ!!!」

「いや、嫌な臭いはそれよりも食われた際に体に着いた粘液だと思うが・・・・

これで何とか蛇退治は終わったんだし・・・帰るか・・・」

「やっぱりハルトたちを呼んで正解だった!!

それにしてもメルトは使い物にならないと酒場で噂になっていたが・・・それは嘘だったと今ならハッキリと言えるな!!

何せあの並の剣では歯が立たない蛇を骨にしてしまうとは・・・・本当にハルトの仲間は強くて楽しそうで羨ましいものだよ。」

せっちゃんは何か寂しそうにしながら語る中・・・ハルトは先ほどせっちゃんがハルトに言っていた蛇退治が終わったらという内容を口に出すと。

せっちゃんは違う意味で顔を赤く染めてコクリと頷くと、その反応からどうやら変な意味にとらえた魔王やメルトにキルりんたちはハルトを地面に押し付けて内容を吐かせて事情を知ると。

キルりんは狼煙を上げ、蛇の残骸を回収してもらいハルトたちは無事に五体満足で街へと戻って行った。



それから街へ戻るとすぐにギルドで報酬を受け取って別けると・・・ハルトはせっちゃんに約束を果たしてもらうと言って酒場へ向かい――――――――



「だからさッ!!!俺はあいつらを解雇して新しいPTをだな・・・・ンゴンゴンゴ・・・・」

「えぇっと・・・私は魔王たちのいるPTが楽しそうに思えるんだけど。

ハルトはどうしてそこまで魔王たちを毛嫌いするの?」

酔った勢いで語るハルトに対してせっちゃんは離れてこちらを見ている魔王たち3人をチラッと見ながら酔ったハルトに尋ねると。

ハルトはシュゴビーの入ったグラスを強く叩きつけ、涙ながらに説明し始めた。



「そりゃ楽しい時もあった・・・だが!!!よくよく考えてみるといつも痛い目にあってるのは俺でそれを見て笑ってる奴らを見るのが腹が立つ!!!

それでもせっちゃんは良いと思うか!?ンゴンゴンゴ・・・・ぶはッ・・・」

「ん~私は元々ハルトたちみたいに一緒に行動してくれる人がいないから・・・・ちょっとだけ羨ましいなぁって思う時はあるんだ。

私の鬼の力って・・・一緒に依頼に出た人たちを巻き込んじゃうし見境が無くなっちゃうから・・・それに比べてハルトたちは見境なく攻撃しても酷く嫌う事もなくて・・・・私にもこんなずっと一緒にいてくれる仲間がいてくれたらなって思うんだ。

ご、ごめん・・・私の話になっちゃって・・・・」

せっちゃんの言葉を聞いたハルトは自分の語った内容は1人で行動しているせっちゃんに対してはワガママな要望だったのかと感じ。

黙ったままグラスに入ったシュゴビーに口を付けるのであった――――――――

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