248日目 近くの山へ蛇を狩りに


 顔面に水を浴びたハルトは急な出来事にメルトがまたいたずらをしたのではないかと感じて跳び起きると。

メルトは大樽の上に登ってあることない事を自分の武勇伝のように語り自慢しており。

ハルトは頭の水を吹き飛ばしてから魔王やキルりんに好き放題に言わせといて良いのかと尋ねるが。

2人はこの状況に慣れた様子で口を開いた。



「まぁ・・・と、言う事にしておけば大体は話が通るのでいいんじゃないですか?

これでもメルトの酒癖の悪さはこの酒場にいる者は全員が嫌でも知っている低価値な情報ですが信憑性はグンバツですので。」

「それもそうだな・・・・酒癖の悪さがここで輝きを見せるとは・・・私も酒癖の悪さを理由に何かトラブルを巻き起こしてみようと思うのだがどうだろう!!」

「いや、止めておけ・・・・魔王クラスの酒癖の悪さとか国を滅ぼし兼ねん。

そんなことをしたら借金どころか国に狙われる始末になるだろ・・・・

それに無理に酔わなくても魔王は十分発言が酔ったようにブッ飛んでるから大丈夫じゃないか??」

ハルトのジョークにも慣れたのか、魔王は殴るなどと言ったハードな突っ込みをするのではなく。

少し恥ずかしそうに乙女の恥じらいというものを見せて目を奪われていると。

ウルサイ元凶であるメルトが酒をさらに飲んで戻って来た。



「うぃ~~ヒック・・・あぁぁ今日も今日で飲みすぎちゃったわねぇ~~

本当にいいお酒をどうもあんがとしゃん・・・・ぐがぁぁぁ~~~」

「あ~あ・・・寝ちまった・・・こりゃ連れて帰るのに手間がかかるなぁ~ヤダなぁ~~」

「どうするハルト??だが??」

「魔王・・・それは起きてる時に絶対に言っちゃだめですよ??

起きてるときに冗談だったとしても言えば間違いなく怒りに身を任せてブッパしてきますよ。」

キルりんは魔王にメルトの前で言っては駄目なワードとして記憶させ・・・これからメルトを3人で引きずりながら戻るか・・・と、気合を入れ。

3人はメルトの手をもって引きずって家に戻った。



「あぁあぁぁ・・・・疲れたぁ~~~人って寝ると本当に扱いに困りますね。

ホント・・・この顔のまま永遠に眠らせてやりましょうか?

そうすればこの重労働もなくなりますし報酬も増え・・・」

「ちょっと待てキルりん!!!その手に持った瓶は絶対に危険だろ!!!

ほら、返すんだ!!!そういう危ないもので遊ぶなと何度言えば・・・あッ!?」

「ん~~俺にかかってるが・・・・どいつから殴って欲しい??

それともグリグリか??ん??」

「グガァァアァァ・・・・・・・」

キルりんは体内に入れさえすれば効果はないとひたすら説明して伝えるが、ハルトは一切聞く耳を持たず。

キルりんと魔王にグリグリを捻じ込むと。

メルトを任せたと言ってそのまま部屋に消えて行き・・・床に就いた。



「本当に散々な目にあった・・・・私は本当に被害者だぞ??

元はと言えばキルりんがあんな液体を取り出すから・・・・」

「わ、私のせいじゃありませんよ!

これも全部そうさせようとしたメルトがいけないんです!!!

つまり・・・・メルトがいなければ平和なのでは??」

「グゴォォォォ~~~」

2人は何やら危険な方向に思考が傾くが、メルトがいなくては自分たちにこうしてグリグリが回ってくる事を考えると無闇に葬り去るのも考え物だと言う事から・・・

ため息交じりにメルトをソファーに転がし魔王たちも自分たちの部屋に戻って明日の為にと眠りについた。



そして翌日、目を覚ましたハルトたちはとんでもない状態で寝ているメルトを起こし。

朝食を済ませてギルドでちょうどいい依頼はないかと探していると。

ずっと視線を感じていた方に目を向けると。

そこには瞬きをせずに視線を飛ばすせっちゃんがおり・・・目を合わせたことによってにんまりと笑顔を浮かべたせっちゃんを無視するのはよろしくないと近づいて話を聞くと―――――――――



「ハルトたちを見ていたのには訳があるの。

実はマップの・・・この辺りの山に大きな蛇が出るらしくて私1人で戦えるか不安でハルトたちが来るのをからここで待ってたの。」

「おい、ちょっと待て・・・・せっちゃん・・・ここずっと俺たちの事を待ってたのか??

その・・・なんだ??俺たちは顔見知りなんだしよ・・・家に尋ねて来てもらってもいいんだぞ??

別に家にいるのはバカで酒ぐらいのメルトに知識はあるが何かが足りないキルりん・・・それに決め手は我が家のサキュバスである・・・ぶふぁッ!?」

「はぁ・・・いちいち私たちのウィークポイントを出さないと気が済まないというのなら私にも考えがありますよ。

ハルトが夜コソコソうっす~い本をもって何か楽しげなことをしているということ・・・もにょもにょのもにょもも!!!」

「そ、そうだぞ!!!誰がサキュバスだ誰が!!!私はどう見たって誰が見たって魔王だろ!!メルトにせっちゃん・・・この場にいる全員そう思うだろ??

・・・・・・なぜ、黙るのだ!?!?」

「魔王の1人コントとうずくまったハルトを置いといて・・・詳しく聞かせて頂戴な。

報酬と分け前と難易度をね!!!」

メルトの悪い癖である報酬金を聞くところから始まり、せっちゃんはこの部分でメルトを落とすと考えていたのか。

報酬金を大きな声で告げずにメルトの耳元でヒソヒソと小さな声で囁くと。

悪い顔をするメルトを見た時点でメルトは参加すると察し、次にキルりんに近づいたせっちゃんは・・・何やら不思議な箱を手渡し。

何やら説明し始めるとキルりんもメルトと同じように悪い顔をして買収され。

残されたのはハルトと魔王の2人だけとなっていた。



「ど、どうするのだ??

このままでは私たちもせっちゃんの魔の手に落ちてしまうのではなないか!?

何かいい案はないのか??」

「あとはハルトたち2人だけだね・・・・

どうやって仲間に引き込んであげようかなぁ~~~」

「せっちゃんやめろ!!それ以上近づくんじゃねぇ!!!

ぐぅ・・・どうやったらこの状況から抜けられるんだ・・・・・」

ハルトの前にゆらりとやって来たせっちゃんは大きく両手を上げてそのまま地に伏せて土下座の態勢をとりつつハルトに願い始めた。



「ハルト様ぁ魔王様ぁ~~どうか私とともに巨大ヘビを討伐してはもらえないです??」

「そう来たか!?クッ・・・・こんな人気の多い場所で土下座とかさらに目につく・・・や、やめろせっちゃん!!!

俺が何か変なことをしたような目で見られてるから!!!わ、わかった!!受けるこちらから受けさせていただくかからもうやめてくれぇぇええぇ!!!」

「やはり・・・こうなる流れか・・・・フゥ・・・」

魔王は状況的にハルトが断れないと言う事を知っていたのか。

ハルトがせっちゃんの仲間になった時点で無言のまま参加し・・・・

せっちゃんを筆頭に討伐依頼のヘビが出る山へと向かうのであった―――――――

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