244日目 傷の深さ


 フレイムマンとの戦闘からハルトが回復するまでの間・・・その場にとどまっているだけだと時間が勿体ないとキルりんは運送者を呼び出し。

フレイムマンの絶命した後である固まった体を運ばせて戻って来ると。

ハルトの腹の傷がだいたい完治していた。



「運送者に引き渡しを完了しましたが・・・2人の魔力をもってしてもハルトの腹の傷を塞ぐ程度までしか回復しないと言う事は火傷の直りが悪いと言う事ですかね。」

「まぁハルトの細胞が貧弱するぎるだけだと思うけど今回は傷が傷だから何も言わないでおいたげるわ!!

さぁ~戻ったら報酬を山分けしてシュワッとしたシュゴビーでも飲みに行きましょ!!!」

「だが、その前にハルトが立てるかどうかが問題だ。

その・・・ハルトが良ければ私がハルトをおぶってやってもいいのだが・・・どうする??」

「魔王の気持ちは嬉しいが・・・女におんぶされて街に戻るのは男として何かと問題があるから俺的には止めて欲しい。

それにもう少しで立てそうなんだが・・・・あと少しってところで足の力が抜けちまうな。」

ハルトは手をついて立とうとして見るが足に力を入れた途端に態勢を崩してしまい。

まだ少しだけ時間が欲しいとハルトが語るがメルトはこれ以上待てないとハルトを無理矢理魔王の背に転移させて乗せると。

すぐに街へ戻ると言ってハルトの言葉を無視して歩みを始めた。



「だから降ろしやがれぇ!!!

俺がこのまま街に入ったらハンターや冒険家に女に助けられた惨めなハルトとして見られちまうだろうが!!

そんなレッテルは絶対にごめんだ!!!だから早く一刻も早くおろしてくれ!!!」

「とかなんとか言ってますが・・・いざ降ろして立てるのですか?

1人で歩けもしない人間を待つほど私たちも時間に余裕は持ってないのでここは我慢してへんてこなレッテルを受け取っといてください。

大丈夫です、トードマスターメルトやサキュバスのピンクな夜などと言った妙なものではないので安心してください。」

「ちょっと待てキルりん!!!そのサキュバス関連のレッテルは私のモノじゃないだろうな!?

私は違うぞ!!!断じてサキュバスじゃないからな!!!それにピンクな夜など過ごした覚えはない!!!」

「ごちゃごちゃうっさいわねぇ・・・私がトードマスターって言うヤツはマジでカエルにしてやったけど・・・キルりんも一部の間じゃ鉄板娘とかイタ(痛&板)ガールって言われてるの知ってる??

まぁキルりんに聞かれたら間違いなく殺傷されるからって陰ながらコソコソ言ってるらしいけど・・・ごわッ!?何よ!?先に言いだしたのはキルりんよね!!

私悪くないもん!!私が言ったわけじゃないし!?」

キルりんは後半の方から初耳と言ってメルトを押し倒し、ナイフを首元にあてながら問い詰めるが・・・メルトは噂を聞いた程度でそれ以上の事は知らないと言いつつ。

この痛み分けな状況で止めにしないかという言葉に賛成し・・・その傍にいた魔王に担がれたハルトは何度もよくこんなダメなPTで今まであまたの害獣との戦いに勝利してきなとゲームではありえない勝利の数々に呆れていると。

目の前にはハルトたちの住む町が見えてきておりハルトは最後に1回だけ立てるか試したいと魔王に語り・・・地面に下ろしてもらうと―――――――



「チッ・・・面白くないです・・・いえ、ここでハルトの足を取ってしまえば魔王の背に再びライドオンできますよね・・・・そうしたらハルトに強烈で凶悪なレッテルが付くのでは??」

「何を物騒なことを言っているんだ・・・やっとハルトが立てる状態になったのだから喜ぶべきじゃないのか??」

「そうだぞ!!!俺がこんだけボロボロにな体になった理由はお前が一番知ってるだろ!!!それに少しはけが人に対して優しさというものでだな・・・・」

「知らないわよ勝手にハルトがキルりんに投げ込まれて焚火の元になっただけでしょ!!!

あと、魔王はハルトに肩を貸し過ぎなのよ!!!

ホラ、立てんのならそれはそれでいいからさっさと報酬をもらって酒場に行くわよ!!」

メルトたちの言葉にハルトは少しイライラしつつも我慢して歩き、ギルドで報酬を受け取り。

予定していた酒場で夕食を食べることとなった。



「にしても今日は散々だった・・・フレイムマンに体をぶち抜かれるわ体が燃えるわ・・・・マジでこんな依頼ばっかりだったら身が持たねぇぞ?」

「だ、大丈夫よ・・・受けた依頼はこれだけだし。

フレイムマンがこんなに強敵だったなんて依頼の紙以外に情報がなかったんだものしょうがないじゃない。」

「そうですよ!!それにハルトの犠牲があって無事に私たちは無傷。

それでいいんじゃないでしょうか??」

「ん~犠牲という良い方に納得はできないがハルトが目を覚ましてくれたこととハルトの体を張った行動に私は敬意を称して称えたい。」

魔王はハルトを褒めちぎると、メルトとキルりんはコソコソと話し始め。

自分たちには褒めないのかと魔王に問うと。

魔王はメルトとキルりんも頑張ったと語るだけで、その言葉に納得できなかった2人はハルトに近い働きをしたのだからもっと褒めるように語るが。

ハルトの命を懸けた行動に見合うものがないと断言されてしまい・・・メルトはヤケ酒と言って酒で忘れるためにじゃんじゃん酒を注文し始め。

それを見ていたハルトは夕食をすぐに食べてキルりんにメルトを頼んだと言って酒場を出て行くと、魔王も何かハルトの様子がおかしいことに気付いたのか後を追って行くと――――――――



「ぐ・・・・・ハハ、魔王にはバレてたか??」

「あぁ、あれだけの無茶をしたのだ・・・さっきまで立っていたことが奇跡のようなものだろう。

ほら・・・・肩を貸そう。」

魔王はハルトに肩を貸して家に戻り、ハルトをベッドに寝かし・・・何か問題が発生した場合は呼んで欲しいと言って部屋を出て行く際にハルトは魔王を見ずに感謝の言葉を照れながらつぶやくと。

魔王は軽く返事をして部屋を出て行き・・・そのまま時が流れ、目が覚めたハルトは体を起こそうとした時―――――――



「イッ!?腹の傷か・・・・塞がっているが痛みはあんのかよ・・・・クソ・・・この状態で依頼は辛いんじゃねぇか??」

「ハルト??もう朝だが・・・どうかしたのか??」

ハルトが変な汗をかいていることに気付いた魔王はドアを閉めてハルトに事情を尋ね・・・これからメルトとキルりんにどう説明するのか話し合っていた。

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