226日目 魔王の真の姿
メルトがやる気になったことを言い事に、気が変わらない内にさっさと向かおうと受付嬢から聞いた引き付けをしている場所を伝えると。
ハルトたちは装備を整えて玄関で集合し・・・そのまま引き付けているポイントを目指して行った。
「グギャァァアァァァアアァァァ!!!!!!!」
「うおぉぉおぉおフンばれぇぇぇぇ!!!!」
「ファイトォォオォォォォォォォオ!!!!」
「ヒャッパァァァァアァァァツ!!!!」
「クソッ・・・・巨大害獣専用モリが持って行かれそうだ!!!
もっと力いっぱい引くぞぉぉぉぉぉおお!!!!」
「何なのですかあれは・・・・海獣と綱引きでもしているのですか?
全然動いておりませんがあれじゃ意味がないのでは・・・・」
「そうだな・・・むしろ海獣といい戦いをしているおころを見るに健闘はしているが・・・・攻撃ができていないな。
よし、私が先に仕掛けるからハルトたちも後から追いかけて来てくれ。
久々の戦いに体中の血が沸くぞ!!!ひゃっほ~~~~」
「あ~~あらら行っちゃったわよ??
ん?あそこにいるのは・・・・せっちゃんじゃない??
――――――――――――――お~いせっちゃ~ん!!!」
「ぐぐぐぐ・・・やっぱりメルトたちだったか・・・・
と言う事はさっき飛び出して行ったのは魔王か・・・なら話が早い。
私は見ての通りあの海獣の体に突き立てたモリを引っ張ているんだ。
だから攻撃に出られなくて・・・それを手伝おうと他の冒険者やハンターたちが手を貸してくれてな。
いやぁ・・・こういう時に助け合えるって本当に素晴らしいな!!!」
せっちゃんの言葉とは裏腹にハンターたちはあんな大きな生物に攻撃を仕掛ければ間違いなく死ぬと考えた末に手伝っているとは言い出せず。
せっちゃんの言葉にのってハンターたちはせっちゃんの掛け声に合わせてぐいぐいとモリを引っ張り・・・・海獣を引きずり始めた。
「よし、少しだけだけど動いた!!!
だから悪いけどこの戦いは引っ張る役と攻撃する役がいるんだよ。
私がハンターや冒険家と一緒に引っ張るからハルトたちは悪いけど攻撃に出て欲しいんだ。」
「そう言う事か・・・・よしわかった。
潰されたり食べられるのは御免だが何とかできる限りのことをやってみる。
魔王もあのままじゃマズそうだからな・・・・」
「うわぁぁぁ~~~~~足を掴んで振り回すんじゃない!!!!
こらぁ~~~~~放せと言ってるだろうがッ!!!!!」
「あ、ハルト・・・・そこにいては危険―――――――――」
キルりんの言葉から振り替えったタイミングから逃げる動作が遅れ・・・・
ハルトは海獣の触手に押しつぶされてると。
ハンターや冒険家は涙を流してハルトに弔う言葉を投げかけた。
「うおあぁぁぁ~~~本当にいい奴だったあいつぁよぉ~~~
金が足りねぇ時に助けてくれたしよぉ・・・・」
「いい情報を持ってきてくれたり・・・新商品の話をしてよく盛り上がったよなぁ・・・・本当にあの頃が懐かしいぜ・・・・」
「それじゃハルト・・・・お前に借りてたアレは・・・俺の家宝にさせてもらうぜ・・・・何せアレは上玉だ・・・燃やすにも惜しい――――――」
「いや、待てよお前ら・・・・俺はまだ死んじゃいねぇよバッキャロー!!!
何勝手にちゃんちゃんと終わらせてやがんだ!!!助けろよ!!!
それとも何か?俺から借りたもんをネコババするために手を出さなかったのか!?あぁぁん!?答えて見ろよお前ら!!!!」
「い、いやぁ・・・・そんなことはないぜ??なぁ???」
「お、おう・・・・借りたもんはちゃんと返すのが俺たちのルールだ・・・・そのうち返すからあの場所で近く会おうぜ!!」
鎖を引っ張る男達はなぜか綺麗な顔をしてグーサインを出しており。
ハルトは調子のいいハンターや冒険家を見ながら立ち上がり・・・首をボキボキと鳴らして体の調子を合わせると、メルトたちと共に魔王の戦っている付近までダッシュで飛び出した。
「ハァァァァ!!!!ぐッ・・・・さすが海獣・・・並の攻撃じゃ全然効果がないな。
コレでは本当にアップダウン王国が壊滅させられてしまうぞ。」
「お~~~い!!!魔王!!!!俺たちは何をしたらいいんだ?
一応メルトには魔法で攻撃するようにチャージさせてるが・・・お前の方はどうなんだ??」
「本当に魔法が効くんでしょうね!?
私の魔力も無尽蔵じゃないのよ??ったく・・・あのバカハルトはひとにチャージだけして待ってろって簡単に言ってくれちゃって。
もしこれで魔王もみんなもやられちゃったら私は全速力で逃げるからね!!!」
「メルト?そう言うのは私たちがいないところでしてもらえませんか?
後方にはモリを引っ張る皆もいるのですから逃げるとかなりの数の恨みを抱えることになりますよ??」
キルりんの言葉にメルトは奥歯を噛み締めてチャージに専念し。
魔王の近くに向かったハルトの元へ魔王は攻撃を中断して移動すると。
息を切らして疲れている様子であった。
「ハァハァ・・・・あの海獣の皮膚が思ったよりも弾力があって攻撃が中々通らないんだ。
だからハルト・・・・少しだけ・・・・いいか??」
「ん?なんだって??なんてった??聞き取れなかったんだが??」
魔王はモジモジとしながらハルトの耳元に自分自身の力を引き出したいと語ると。
ハルトはどうやって引き出すかを聞かずに魔王にOKを出すと同時に魔王はハルトに抱き着き、そっとハルトの首元に噛みついた。
「いだだだだだッ!?魔王!?お前何をしてやが・・・痛い痛い痛い!!!
まじでお前気でも狂ったか!?」
「ち、違う!?私の力を解放するトリガーは生きている者の血肉の摂取なんだ。
それにハルトなら多少かじっても別条ないだろ?
だからもう少しだけいただくぞ・・・・あむッ!!!」
遠くからで何をしているのかわからないメルトとキルりんであったが・・・次の瞬間には魔王たちのいる付近に閃光が走り。
その中からは全身を鎧で身を包んだ魔王が現れ・・・その足元にはハルト転がったハルトに対して魔王は感謝の言葉を述べてから翼を広げて飛び出し。
大剣の一振りで海獣の触手を全て切り落とすと、剣を海獣に向けて宣戦布告をした。
「今からお前を解体してやろう・・・足掻きたければするがいい抵抗するのであればするがいい・・・だが、私の死から逃れることはできない!!」
「・・・・・・・!?!?」
「急にぴかっと光ったと思えば何ですかあの魔王の姿は!?
ハルトはピクリとも動かないですし・・・・死んじゃいましたか?」
「ちょっ!?バカなこと言わないでよ!!!
それにハルトは不死者だから多分・・・きっと・・・まぁ大丈夫よ。
生命力は黒いアレと同じくらいあるから。
それよりもアレが魔王だとするとすごいパワーね・・・・
あの気色悪いウネウネを全部ばらしちゃったわよ?」
「アレが・・・魔王の真の姿だとでもいうのか・・・・
私の鬼化と同等・・・いや、それ以上の力を感じる。
こうしちゃいられない・・・みんな!!!魔王たちの戦闘の邪魔にならないようにモリを引っ張るから手伝って!!!」
「お、おう・・・任せとけせっちゃん!!!」
「俺たちは別に必要ないだろうが・・・せっちゃんだけに任せる訳にもいかないからな!!!」
「それに・・・あんなヤバそうなところにも行けないしな・・・」
と、せっちゃんの為なのか自分たちの為なのかわからないまませっちゃんの引っ張るタイミングに合わせて冒険者やハンターたちもモリを引っ張りだし。
気を緩めていたのか海獣は態勢を崩して倒れ込んだ。
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