227日目 魔王の秘策中の秘策


 態勢を崩すのを見逃さなかった魔王はすぐに移動しており。

変異した大剣で海獣の胴体に強烈な一撃を叩き込むと・・・・先ほどまでビクともしていなかった体に傷が入り。

海獣もその傷に悲痛な叫び声をあげてのたうち回っていた。



「よし、これならいける・・・・さぁコレでお前の終わりだッ!!!!」

「ぐぐぅ・・・魔王、それは何て言うフラグだよ・・・・」

気が付いたハルトの言葉通り、魔王は一撃を叩き込む瞬間・・・海獣の放った粘液攻撃に捕まり。

その粘液に触れている鎧からは煙が上がり、鎧が少しずつ溶かされている状態になっていた。



「くそッ・・・・四肢が粘液に絡まって動けない・・・・このままでは・・・・」

「だから言っただろうが・・・・フラグだってよ・・・・

イタタタ・・・で、この状況はどうすりゃいいんだ?

もう噛みつくとかなしにしてくれよ・・・マジで意識失うくらい痛かったんだぞアレ・・・・」

「何だか魔王が身動き取れないようになっていますね。

あのままでは2人とも食べられてしまいますよ・・・・ですが無闇にメルトの魔法を放つわけにもいきませんし・・・・どうすれば・・・・」

「こういう時はガツンとやっちゃうのが一番よ!!!

いっくわよぉ!!!チャージにチャージした私の一撃魔法!!!

―――――――――――サンダーメテオ!!!!」

メルトの言葉がハルトたちに届くことはなかったのだが、上空からピリピリとした音と共に落ちてくる雷の塊を見たハルトはメルトが先走って放った魔法だと察するまで時間は必要とせずに答えが出たのだが。

この状況だと魔王諸共全員感電するのは必須だったのだが・・・・・



「メルトめ・・・またハルトの言葉を聞かずに魔法を放ったのか。

だが、今回はそれに救われた・・・ハルト、お前は少し下がっていろ。

この魔法は私がいただく・・・・」

「はぁ!?お前何言ってんだ!?そんな体が動かせねぇ状態で何を言って・・・ん?」

ハルトの言葉に魔王は何も言わずに鎧を中からぶち破って出てくると、いつも魔王が着ている格好よりも露出が高いことにもお構いなしで魔法に飛び込んで魔法陣を展開した。



「えぇ!?どういう事なのよ!?私の魔法にあんな意味不明な魔法陣が勝手に出るはずがないわ!?もしかして魔王の仕業かしら!あんにゃろ・・・・私の魔力を何だと思って・・・・」

「いえ、よく見てください・・・・あれが魔王の魔法陣だったとしてメルトの魔法をあれだけ吸収していると言う事はワンチャンあるんじゃないですか!」

「ハッハッハッハ!!!いいぞ!!!いいぞ!!!どんどんメルトの魔法が私の中へと流れ込んでくる!!

これは先ほどの鎧を再構成するのも容易い!!!

さぁ、見るがいい冒険者よハンターよハルトたちよ!!!

これが真の本当の私の魔王の姿だッ!!!!」

「おい、マジかよ・・・・あれって・・・・ただのサキュバスじゃねぇか・・・・」

魔王がメルトの魔法を全て吸収し終えて現れた姿はズバリサキュバスと言って問題がないほどに露出しており。

先ほどの鎧姿の方が気品と魔王らしさがあったのだが・・・それをどう忘れたのか魔王は露出の最高位の格好で現れ、サキュバスと語ったハルトの言葉を聞き逃さなかったハルトに瞬時に移動して胸を突いていた。



「オイ!!今、私をサキュバスと言っただろ!?

私の耳は誤魔化されないぞ!?本当に・・・・何度言えばわかるのだ?

いや、今はその話をするべきではないな・・・・今するべきことはあの海獣の処分たいしょだ。」

「をお、おう・・・わかってんのならその淫らな格好でちゃちゃっとアレを倒してくれ。

せっちゃんたちの方も限界そうだからな。」

「何なのアレ・・・魔王の姿がすっごくやらしい格好に見えるのは私だけ??」

「いえ、私も魔王がビッチビチのビッチにしか見えません。

ですが・・・なんだかいつもと違って気迫があると言いますか・・・力強く感じます。」

「ボオォオオオオオオオオォォオ!!!!!」

「ぐッ・・・・モリに亀裂が・・・・もう少しだけもう少しだけ耐えてくれ!!!」

「せっちゃん!!!これ以上は無理だぜ!!!!

モリから変な音が聞こえてんぞ!!!」

「いや、俺はせっちゃんが逃げるまでここで踏ん張り続けるぞ!!!

何せ・・・アレを見てみろよ・・・・」

「あぁ・・・・あんなのが見えてる状況で帰る方がどうかしてんな!!!」

「俺たちの目標はんだ!!!!

こんなところで逃げてたまるかよ!!!」

ハンターや冒険家がカッコよく語るが、その目に移るのは・・・・見えるはずは

はなない魔王の危ない格好が見えており。

その衣装に目が釘付けでモリがどうとかせっちゃんがどうとか関係なく。

その魔王の体全体を見つめるのに必死でモリを掴んでいた。



「海獣よ・・・これ以上は好き勝手にさせない。

この一撃で全てを終わらせよう。

私の父から譲り受けた剣を使う時が来たッ!!!

―――――――――――出でよ!!アスデウスファクター!!!」

「な、なんだありゃ!?魔王の頭上からめちゃくちゃデカい剣が出て来たぞ!?

って、これって大丈夫なのか??俺たちも巻き込んだりしないよな!?」

ハルトはこの状況はマズイと踏み、メルトやキルりんたちのいる方にまで後退すると。

メルトに防護呪文を展開させると、魔王はその超が付く程に大きな巨剣を掴み。

海獣に一撃を叩き込んだ。



「グボォォォォォオオオ・・・・・・・」

「ぐあぁ!?マジでアイツ本気でやりすぎだろ!!!

戻ってきたら説教だ!!!」

「今はそんなことを言ってる場合じゃないでしょ!!!

この余波は想定外よ!!!ぎゃぁぁぁあぁぁ!!!!」

「め、メルトぉぉぉおぉぉおお!!!

うわぁぁぁ・・・体がういてぇぇぇ・・・・あんんぎゃぁぁぁあぁぁ!!!!!」

魔王の一撃による余波でハルトたちは吹き飛ばされ。

せっちゃんたちもさすがにマズイと考えて後退しており、衝撃の中から何かが飛んできたと感じた冒険家やハンターたちが地面を掘ると。

そこからはハルトやキルりんたちがつつちちまみれになって出て来た。



「お、おい・・・・大丈夫か??

お前達はもっと前にいたはずだが・・・あの衝撃でここまで飛ばされてきたのか?」

「あぁ・・・あの鹿は海獣意外にも俺たち諸共やる勢いだった。

だが・・・ぺっぺっぺ・・・何とか海獣は倒せたみたいだな。」

「どうやら・・・べべべッ・・・そのようですね。

本当に土まみれで最悪なな一日です・・・・王国に戻るとコレならいっその事戻ってこない方がよかったのでは?と考えてしまうレベルですね。」

「でも、まさか魔王が私の魔法を吸収するなんて・・・・妨害行為にも程があるわよ!!あの魔法がアイツに当たった時点で勝利確定演出なのにわざわざカットしなくても・・・・ぶつぶつ・・・・」

「3人とも無事・・・ではなさそうだな・・・・

魔王がとんでもない一撃で海獣を倒したが。

その魔王は今どこにいるんだ?」

せっちゃんの言葉からハルトたちは巨大な剣が消えた方を見ながら先ほどまで宙にいた魔王の姿を探したがどこにもなく。

ハルトたちは地面にいるのではないかと探しに向かうと、案の定の結果で魔王は地面に上半身を埋めてお尻を突き出して埋もれていた。



「ぼぉぉ~~いだればぁ~~~ごぼがらだじでぐれぇ~~~~」

「おのデカケツどうする??助けるか?」

「そうしないと面倒なことになりそうなので助けましょう。

まま王に恩を売っておくのも悪くないですし。」

「そ~ね!!私たちだけが土まみれじゃなかったところを見るに助けてあげてもいいんじゃないかしら?」

3人は顔を見つめ合わせて魔王の足を掴んで引っ張り出すと。

魔王は頭についた土を振り払って感謝の言葉を述べ、そのまま大の字で寝転がり終わったなと清々しい顔をしていた――――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る