199日目 肝試し大会本番


 それからハルトたちは練習に練習を重ね・・・本番まで休むことなく練習すると。

ハルトの声はカラカラになっており、本番ではいい声が出るのか不安になる声でしゃべっており。

メルトは軽い魔法で驚かせる練習をしていたようだが建物の中では炎魔法だけは禁止になっており。

その訳とは4度ほどボヤ騒ぎになったからである。

そしてキルりんは壁のドッスンドッスンと押しつぶすふりをする練習しかなく。

適当にしてもいいんじゃないかと手を抜いており。

特に鳴き声もない役に不満を隠せずにため息を吐いており。

今回の肝試しの1,2を争う難所中の難所である・・・・カップルの仲をぐちゃぐちゃにするためのポイントであるのシャドーダンスであったが。

想像以上にできがよく・・・トスゴも拍手をするほどで、準備は整ったとハルトたちは建物の中で円陣を組んで解散すると。

肝試し大会が開催された。


そして、まずは・・・若い男女のペアが肝試しをしにやって来た・・・・・


「ねぇ・・・本当に何か出そうで怖いね・・・・ねぇ、手・・・握ってくれない?」

「え、あ・・・あぁ・・・うん・・・」

女の子が手を握るように男の子へ頼むと、男の子はそっと女の子の手を握って奥へと進んでくるのを魔法で覗いていたメルトは少しだけモヤモヤしたの魔法をチャージし始め。

今か今かと待っていると・・・・・


「あれ?こんなところに変な小屋が・・・・それに不気味な光がして私・・・・怖い・・・」

「大丈夫・・・何があってもボクが守ってあげるよ。」

「そこにいる生意気を言うガキ!!!私の魔法を見てオシッコちびっても泣くんじゃないわよ!!!

――――――――スーパーフラッシュ!!!」

メルトのチャージした魔法が輝いた瞬間に男の子はメルトの事をして言ったのか大きな声でと叫ぶと。

隣にいた女の子は男の子をカエルにする代わりに自分は見逃して欲しいと言い出し。

男の子はそれでもいいとぐっと歯を食いしばってメルトの前にやって来ると。

メルトは男の子を無視してスタスタと女の子にカエルの魔法を浴びせた。


「ゲロッゲロッ!?」

「な、なんで・・・僕にカエルの魔法をかけるんじゃ??」

「ふんッ!!!アンタみたいなお人よしで怖がらないガキにカエルの魔法をかけても面白くないでしょ!!

私はね悪い魔法使いなのよ!!!そこのクソカエルを持って奥に消えなさいな!!」

男の子は女の子であったカエルを両手で掴みあげて奥に向かって行くと。

その一部始終を見ていたトスゴはメルトにあの魔法は大丈夫なのかと尋ねてきた。


「あ~あれ?大丈夫よ。

この建物から出たら魔法が解けるようにして置いたから。

それに・・・あの年頃のガキからあんなゲスい考えをするとは思わなかったからサービスしただけよ。

だって私は悪い魔法使いなのよ??あひゃひゃひゃひゃ!!!」

「その笑い方は魔法使いの笑い方じゃないですが・・・

まぁメルトさんの熱い気持ちが伝わったので今回の件は認めましょう。

ですが・・・本当には駄目ですからね?」

トスゴの注意を適当に返事をしながらメルトは2人の進んで行った方を見ていると。

その先から男の子の悲鳴が聞こえていた。


「うぅ・・・・本当に早くここから出ないと・・・うぅ・・・ベスもカエルになってからほとんど口をきいてくれないし。

さっきの柔らかくて冷たいのは何だったんだろ・・・・・

ん?あそこに見えるのは・・・・棺桶??急に開いて・・・・ひッ!?」

「うばぁぁぁ・・・・・うごあぁぁぁ・・・・・」

男の子はカエルを抱き抱えて棺桶の前で物音がしたと感じて止まり。

棺桶を見ると中からゾンビ役のハルトが現れ。

がらがらになった声が雰囲気を出しており・・・・男の子はすごい声を上げて走り出し。

キルりんの演じるツルペターの驚かしポイントをスルーして進んで行ってしまっていた。


「私のこのポイントは本当に意味があると思いますか?

ハルトの声がリアルに近づいたこともあって私の所に来たのは良いんですが・・・通り過ぎて行ったのですが。」

「それだけ・・・ゲホッ・・・・俺の演技に磨きがかかってるってことだろ。

にしても・・・ゲホッ・・・声がかすれて・・・」

本番まで練習を続けた後遺症で咳が出るようになってしまったハルトだったが。

ここまで驚いてくれるのならとこのまま続けるとキルりんに言うと。

キルりんは程々に驚かすようにとだけ言い、自分の指定されたポイント戻って行った。


「ハァハァハァ・・・・さっきのは本当にアンデッド!?まさか本物がいるなんて・・・・で、お次は何が・・・・ん?人の影???」

「僕君いらっしゃい。

こっちで私と楽しい事・・・・しない?」

そう言ってクネクネと人影は踊り出し・・・その踊りの効果か魔法なのかわからないが魅了された男の子は影の方に向かっているのに気が付いたカエルの女の子はこれでもかと言わんばかりに男の子の手に噛みつくと。

余りの痛みに男の子はカエルを見つめると・・・・魅了状態から解放されたのか外へと続く道へ一目散に駆け出して行った。


「ほう・・・私の魅了チャーム魔法を痛みで振り切るとは。

人間とは面白い生き物だ。」

「あの~さん・・・本気のチャームを通りかかるお客さんにかけるのを止めてもらえませんか?

何しろその道の本職なら耐えるのは至難の業だと思うので・・・・」

トスゴは男の子たちが過ぎ去るのを確認してから魔王にチャームをかけるのは禁止だと語るが。

魔王はその注意よりもサキュバス扱いされたことに対して激怒し。

トスゴに自分はサキュバスではないと説明し始めた所で男の子たちの様子を見てくるからと言って追いかけるように出て行くと。

魔王はサキュバスじゃないと小さな声でブツブツ言いながらセクシーなポーズの練習をしていた。


「ハァハァ・・・・さっきのお姉さんは何だか不思議な気持ちになっちゃったけど・・・・やっと出られてよかった~~~」

「良かった・・・じゃないよ!!!私がカエルになるなんて・・・・本当に面白くない!!!もう私はお家に帰る!!」

「何とかメルトさんの魔法は解けましたが・・・・何でしょうか。

今までの肝試しとは何か違う意味で怖い所になってしまいましたが・・・・

それはそれでいいですかね?さて・・・お客さんもまだまだいるのでガンガン回していきますか。」

そう言ってトスゴはテスト運転の子供たちを見送った後・・・・そこからは止めどなく客を入れ込み。

顔見知りから村人まで色々な人たちが肝試しを楽しみ、最後の客を見送ったところでハルトたちの仕事が終わり。

トスゴに召集されて集まると・・・・・・


「いやぁ~本日は本当に助かりました~~~

ハルトさんのゾンビ役は本当に完璧でした!!

キルりんさんのはどこの役者でもできないでしたし。

メルトさんの魔法を見ているとこっちまでハラハラしてしまいますがいい怖い思いをすると言う肝試しには欠かせない恐怖という良いアクセントになりました。

そして最後にさんのセクシーダンスは男の方を8割は悩殺しておりましたし。

本当にいい結果になってよかったです。

これも本当に皆さんと協力した結果ですのでこれはほんのさやかな気持ちですが受け取ってください。」

「やったじゃないハルト!!!報酬よ報集!!!

さぁ早く中身を見てみなさいな!!!」

メルトの声にハルトはガバっと袋を開けると・・・・中からは金のコインや宝石が入っていたのだが。

それとは別に報酬以外のあるものが入っており。

ハルトたちはそれを見て凍り付いていた―――――――――――

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