198日目 肝試しのサポート?
メルトは最終的にハメを外してシュゴビーを呑みまくり。
キルりんたちの肩を借りて家に戻った次の日の朝・・・・・
メルトは気分が悪いと言いながらもリビングに現れ、自業自得だとキルりんたちの言葉に反論できないまま酒場で朝食を済ませギルドで依頼を探していた。
「ん~こんな熱い日は森とか涼しい場所で害獣駆除か軽い仕事がいいよなぁ。
まぁ~そう言う仕事はベテランが先に取っ手っちまうのが関の山。
どうしたもんか・・・・・」
「ハルトハルト!!!中々条件のいい依頼がありましたよ!!
これ何てどうですか?
夏の肝試し大会のサポートがありますよ!!!」
「肝試し?何なのだそれは?
毒でも食べて耐久を競うのか?」
「魔王は本当になんにも知らないようだから教えておいたげるわ!!!
肝試しはね?夏になれば訪れる幽霊や魑魅魍魎を自分たちで演出して人を脅かすことを言うのよ。
で、そのサポートってまさかアレができるの?」
メルトはキルりんに問いかけるとコクリト頷き・・・・メルトはこの依頼に一票と手を上げ。
魔王も不明な点がまだまだあると言って知識の蓄えの為と手を上げると。
ハルトは3人がやる気と言う事で反対もできずゴールドの支払いもいい事から町はずれの肝試しの会場へ向かう事にした。
「へぇ・・・俺が思っていたよりも案外本格的な建物だな。
で、依頼者はどこにいるんだ?
建物の前で待ってるって聞いたんだが・・・・」
「あ、そこの君。
もしかして一日サポートの依頼を受けて来てくれたハルトさん御一考ですか?
申し遅れました私はこの肝試し大会を主催するトスゴと言います。
ハルトさんたちの事はギルドの方から通達が来ていますのでプロフィールを読ませていただいたのですが。
この中に魔王さんがおられるとか?」
「あぁ、私の事だが・・・・その・・・魔王だとサポートできない決まりとかあるのだろうか?」
魔王は自分がそうだと言って前へ出ると。
トスゴは魔王を見た瞬間に稲妻に貫かれたかのような衝撃を受け。
即とあるポジションのサポートに来て欲しいと頼みだし。
魔王はまんざらでもない表情で照れながらそのために来たと言って了承すると。
3番の部屋に衣装を用意してあるから試着して欲しいと言って通し。
次にキルりんを見たトスゴは2番の部屋で着替えるように指示し、メルトはそのままで魔女として使えると言う事で放置され。
最後に残ったハルトは1番の部屋に向かわされ、各自が着替え終わり順に部屋から出てくると――――
「な、なぁ・・・私の衣装はこんなに露出が高いとは聞いていないのだが!?
これじゃまるでサキュバスじゃないか!!!」
「いえいえ何をおっしゃいますか!!!
それは紛れもないサキュバスの衣装・・・ぐばッ!?」
「ま、魔王!!!落ち着きなさいって!!!
衣装があるだけマシじゃないの!!!私なんてこのままなのよ?
それに魔王が少しくらい露出の増えた痴女の格好をしても誰もなんとも思わないわよ。」
「そうは言いますがね・・・どうして私はよりにもよってコレなんですかね?
着ぐるみが置いてあっただけで前が全然見えないんですが・・・・」
そう言って出て来たキルりんの格好は巨大な一枚板のような衣装出てくると。
トスゴは魔王を振り切ってキルりんにキャラクターの説明をし始めた。
「それはそうですよ!!これはツルペターというゴーストの一種で。
アルバイトの方に来てもらう予定だったのですが・・・ちょうどキルりんさんのようにすらっとした体系の肩じゃないとボディーにデコボコがでてキャラが台無しになってしまいますので本当に助かりまッ!?」
「ほ~う・・・ツルペターですか・・・・私のとある部位を見ながら決めたとなると消えるハメになりますが・・・どうなんですかね?ちゃんと答えてくれますよね?」
「おい、お前ら・・・そんなにゴチャゴチャ騒いでないで自分の役になりきるようにしろよな?
俺なんてゾンビ役だぞ?よりにもよって不死者がゾンビ役をするとは思いもしなかったぜ。」
ハルトが最後に出てくると、ゾンビのようにメイクを施されており。
メルトたちはハルトを見た瞬間に笑い出し。
地面を転げまわっていた。
「あひゃひゃひゃひゃ!!!!
ハルトってば本当に役回りがお似合いでサイコーじゃない!!!
ぷッ・・・プププッ・・・・あひゃひゃは~~死んじゃう!!!!笑い死んじゃうぅぅぅ!!!」
「ぶふッ・・・本当に・・・よ、よく似合ってますよ・・・ぶふッ・・・もう我慢できません!!!
あはははは!!!ハルトはいつも本当に運がないと言いますか役が地味ですね!!!」
「お前らぁ・・・後で泣かす!!絶対にグリグリを決め込んでやるから覚えてろよ!!!
ん?魔王・・・どうしてそんな所に隠れてこっちを見ているんだ?コッチこいよ。」
「え、えっと・・・その・・・私の格好を見ても笑わないと言うのなら見せよう。
さっきメルトに散々痴女だとか馬鹿にされてショックが抜けきっていないのだ。」
「ん~私の衣装選択に間違いは無いはず・・・・
魔王さんの衣装はとても素晴らしいと思うのですが。」
ハルトはトスゴの言葉を聞いてさらに興味が湧き。
笑わないと言って魔王に出てくるように語ると、魔王は露出した部位を手で隠しながら出て来ていた。
「ゴクリ・・・・その・・・痴女は痴女だが・・・その・・・なんだ・・・・魔王にしては似合ってんじゃないか?」
「ぐぅ・・・・遠回しにバカにされたような気もするが。
ここは最後の言葉だけ受け取っておこう。
あと、何度も言うのだが私はサキュバスでも痴女でもない!!!
これを着ろと言われてきてみたらこんな格好だっただけなのだ!!!」
「はいはい・・・魔王の遠吠えも聞き飽きた所なのでこれからの説明を聞きませんか?」
「そうね!!!で、私たちは何をすればいいのかしら?」
メルトたちはトスゴにこれからやるべきことを尋ねると。
トスゴは各自1枚ずつ紙を配り。
それに書かれたタイミングと鳴き声で脅かすようにするだけと言うと。
さっそくその紙に書かれた配置について待機して欲しいと言われ。
ハルトたちは言われるがままに建物の中に入って指定の位置に付くと。
魔法で書かれているのか文字が光っており、暗い中でも読めるほどで。
ハルトはおさらいとして自分の鳴き声の練習を始めた。
「うおぉぉお~~~~~ぐおぉぉお~~~~
こんなものか?ゾンビの声は何度か聞いたことがあるが・・・・俺みたいなイケボが出せるわけないだろ。」
「何をごちゃごちゃ言っているのです?
私はハルトが脅かした後にバッと出てきて脅かすだけと言う事しか書かれていなくて少しだけ退屈なのです。
良かったらハルトの練習を見てあげましょうか?」
キルりんの提案にハルトは乗ると。
紙に書かれていた通りに鳴き声を上げるとキルりんはもう少しましな声は出ないのかと言い出し。
ハルトはキルりんにどんなものなのか手本を見せて欲しいと語ると。
キルりんは思いのほかリアルに鳴き声を上げていた。
「どうですか?私のアサシンスクールで学んだ声マネです。
色々な場面で役に立つのですが・・・こんなフザけた場所で使う羽目になるとは思ってもみませんでした。
ですが、さっきの声がゾンビの声なのでもっと練習しておきましょう!!!」
「チッ・・・こういう時に上から目線でしゃべりやがって。
中も外も壁の癖に・・・・・のわッ!?」
ハルトはついつい悪口を呟くと、それを聞き逃さなかったキルりんはハルトを全体重をかけて押しつぶし。
本来のツルペター顔負けの押しつぶしを見せていた。
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