171日目 洞窟で眠る木の魔王
ハルトたちはネンチャクスライムが増える原因がその木とそこから零れ落ちる樹液と判断すると。
キルりんの持っていた瓶にサンプルとして木と樹液を採取し。
メルトに木を燃やすように指示をするが――――――――
「あ、あれれ!?私の炎が全く効果がないわ!?
そんなの・・・おりゃ!!おりゃ!!おるぁぁぁ!!!」
「どうなっているのでしょうか・・・いつもなら盛大に燃える木だと思うのですが全く火が付きませんね。
一体どうなっているのでしょうかね。」
「ハルト、この木には反転魔法がかけられているのかもしれない。
つまり火ではなく氷や水に対して弱いのだと思う。
だから・・・ここで少しだけ氷魔法の許可が欲しいのだが・・・・」
「あ~わかった・・・その代わりちゃんと俺たちに被害が出ないように確認してやってくれ。
あと、そこにいるネンチャクスライムたちも討伐してくれ。」
ハルトの承認を得た魔王は木とスライムたちに氷魔法を発動すると。
木とスライムはカチカチと凍り付き。
簡単に依頼が終わったかのように思えたその瞬間・・・・・・
「な、なんだ!?メルトか魔王何かしたか!?」
「わ、私じゃない!!!何度も言うが私はメルトより言われたこと以外の変なマネをするようなキャラじゃない!!」
「なッ!?なんですって!?私だって魔王みたいにおっちょこちょいじゃないっての!!!
それにハルトもハルトよ!!
まず、私たちを疑う前にあの光ってる氷漬けになった木を見て見なさいよね!!」
「何ですかあの木・・・・不思議な木ですね・・・・名前も何も知らない光る木ですか。」
悠長に語るキルりんを連れて岩陰に隠れると、木に纏わりついていた氷がはじけ飛び。
辺りに飛散し、氷が突き刺さっていた。
「すごい衝撃だったが・・・一体何があったんだ?
それにあの木って・・・普通じゃないよな。」
「あぁ、あの木の正体がこれでわかった。
アレはきっと魔王アウラルネの植物だ・・・・
異様に高い魔力耐性と異様な効果からして間違いないだろう。
だが、あの魔王はあまり表には出ない引篭もり系な魔王だったはず。
どうしてこんな場所に・・・・」
「え?もしかして・・・アレが本体じゃないですか?
天井に何か張り付いてますよ?」
キルりんは何かの気配を感じ取ったのか、天井を見上げるとそこには人の形をした何かが大きな葉を布団にして眠っており。
その葉の下から凍り付かせていた木の方に根が伸びており。
どうやらその人型をしたモノの一部と言う事がわかると。
魔王に話が伝わるかどうか試しに話してもらうと・・・・・
「おい、変な所で寝ているアウラルネ・・・起きてくれないか?
少しお前の根が厄介なのだが。」
「んあぇ??だれぇ??私の眠りを邪魔するの・・・ん?魔王じゃない?
久しぶり~ふわぁぁぁぁあぁ~~~むにゃむにゃ・・・それじゃね。」
「ちょっと待て!!!この状況で二度寝するヤツがあるかッ!!!
ココは夢の中じゃねぇんだ!!俺も夢ならどれだけ早く目覚めて欲しいと思ったことか・・・・ここは現実なんだこの危ない奴と生活している悪夢のようなのが現実なんだ・・・だから寝るな!!オマエも現実を見ろ!!」
「私たちといられることが悪夢だと言い張るハルトは後でスライムのエサにしましょうか。」
「同意、問答無用スライムのエサ不可避ね。
それにしても・・・あんなとこで寝て肩とかこらないのかしら?
こんなネバネバしていて気持ち悪い場所で寝れるって本当に魔王の連中は変態ね。」
メルトの言葉に魔王は特定のヤツらだけがおかしいのだと自分はまっとうだと言い放ちながらアウラルネに目覚めると湯に呼び掛けた。
「んもぅ~何なの?すごくやかましいのだけれど・・・・
本当に魔王もいる・・・で、何なの・・・私を起こしたって事はそれなりの用件なんでしょうね?」
「あぁ、アウラルネのそこから生えている根が成長してあんなことになっているんだ。
で、あの木から零れ落ちる樹液をスライムが浴びるとヤツらが増えて困っているのだ。
だからあの木をどうにかできないか?」
「あれさえなくなればお前が悪さをしない限り惰眠を妨害することはないからどうにかできないか?」
「そうじゃないと本当に洞窟ごと吹き飛ばして掃除するしかないわよ。
大切な寝床が無くなってもいいって言うのなら好きにしなさいな!!!」
「ここは一応スライムの楽園ですので消滅は御遠慮したいのでそれは最終の最終プランと言う事で・・・コホン、アウラルネがあの木を何とかしてくれれば済むだけの簡単な話です。」
魔王たちの言葉を聞いたアウラルネは自身から生えているイキイキと育った木を見ると。
アウラルネは申し訳なさそうにしながら答え始めた。
「悪いんだけど・・・あそこまで育っちゃったら私の力でも回収できないから。
―――――――提案なんだけどさ?
私の体から切り離すと同時に暴れるアレを倒しちゃってくれない?
それだと互いにハピハピでしょ?
それに私もそろそろ場所を移して再び眠りにつこうかと思ってたところだから。
この条件でいいのなら考えてあげるけど?」
「だが、あの木には魔力抵抗があるのだが・・・その辺はどう対処すればいいのだ?」
「そ-よそーよ!!魔法が全然効かないデクの木にどうしろって言うのよ!!!」
「いや、少し待て・・・ゲームをしてきた俺の勘なんだが。
魔力耐性はアウラルネとドッキングされているオマケ効果とするのなら。
切り離すとその木、自体には魔力耐性の恩恵効果が無くなるんじゃないのか?」
「その仮説が正しければいけるかもしれませんね!!!
で、ハルトの結論はどうなのでしょうか?」
キルりんがアウラルネに問うと、その結論で案外あっていたらしく。
魔王たちはそう言う事なのであればと・・・アウラルネの提案を呑み。
配置に着くと、アウラルネから最後に注意を受けた。
「私と切り離されたこの子は間違いなく大暴れすると思うから・・・覚悟して対処して。」
「お、おう・・・任せておけ!!!
この数々のゲームをクリアしてきた俺だ・・・何とかこのポンコツキャラたちを使ってクリアしてやる!!どっからでもかかってきやがれ!!!」
「ホント・・・ハルトってば無能なくせに口だけはいっちょ前よね!!!
誰がポンコツなワケ?私たちの完璧な布陣の私たちのどこに欠陥があると言うのよ!!!
古代魔術を行使するこの私に無慈悲な暴力と殺戮を行う魔王・・・それと何かが欠品したアサシンのキルりん。
コレのどこがポンコツなのよ!!!」
「いや、メルト・・・私はそこまで人情も何もない薄情な魔王ではないぞ!!!
そ、それに誤解を招く言い方は止めてくれ!!!その物言いは今後に大きく左右するぞ!!!」
「そうですよ!!!アサシンのエリートである私が欠品してるとかある特定部分をバカにされているようにしか思えないのですが!?
ハルトの次はメルトをスライムのエサにするので覚悟してくださいよ!!!」
暴れ出そうとしている木を前に仲間割れのをし始めたのを見かねたアウラルネはハルトたちの事を気にもせず。
無言で分離すると・・・木は大きな口を開いて暴れはじめた。
「ちょッ!?マジかよ!?俺たちの合図も無しにアイツやりやがった!!!
クソ、こうなったら行き当たりばったり作戦で行くぞ!!!
メルトは魔法で攻撃で魔王はそのデカイ剣で攻撃。
キルりんと俺はアイツの囮だ。」
「しょうがないわね・・・今回は状況が状況だから仕方なく作戦を聞いてあげ・・・・ひょえッ?ぎゃぁぁあぁぁぁぁ!?!?」
「マズいぞ!!!メルトが木のツタに餌食に・・・・コレはもう間に合わな・・・」
と、メルトが木の餌食になろうとした瞬間・・・そのメルトを救ったのは木と分離したアウラルネであった――――――――――
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