170日目 ネンチャクスライムの生態調査
街に戻ったハルトたちは各自掲示板とにらめっこしつつ・・・受けられそうな依頼をもって再び集合するが。
メルトはやはり金の事しか頭にないのか・・・・先ほど受けたボアよりも格段に難易度の高い魔獣討伐の依頼を持ってきており。
ハルトは自分を殺す気かと言って依頼を元の位置に戻すようにメルトに命令し。
魔王とキルりんの持っている依頼の内容に目を通した。
「私のとってきた依頼は・・・マンドラゴラ4本の収穫です。
これは比較的カンタンな作業なのですが。
引っこ抜く際に耳栓をしてないと死にます。」
「それ、ゲームとかの知識がないと間違いなくダメな奴だろ。
マンドラゴラの収穫で命を落としたくはないな。
で、魔王はどんな依頼を持って来たんだ?」
「私か?私の持ってきた依頼は・・・・これだ。
ネンチャクスライムの大量発生の原因を調べ討伐するというものだ。
このネンチャクスライムは衣服だけを溶かして食べるという奇怪な・・・ん?どうしたのだハルト・・・そのようなガッツポーズをして・・・」
ハルトはやっと異世界に来て良かったと言うイベントに出会えたことについついガッツポーズをとってしまい。
我に返ると、ハルトはメルトを呼ぶようにキルりんに伝え、魔王の手をぎゅっと握り・・・この依頼を受けようとハルトは魔王に熱い視線を送ると。
魔王はその言葉には逆らえず、ネンチャクスライムの調査と討伐を受け。
キルりんと連れてきたメルトと共にネンチャクスライムのいるネンチャクの洞窟に向かった。
「ここがネンチャクの洞窟です。
まぁ・・・見たまんまのネトネトぬめぬめなダンジョンです。
で、ここで異常繁殖しているネンチャクスライムの調査と討伐が今回の依頼ですが・・・どうしてハルトはこのスライムの依頼を受けようとしたのですか?
私たち女性を前にしっかりと答えていただきたいところなのですが?」
「べ、べべべ別にお前らの体とかお前らの裸体に興味があったワケじゃねぇからな!!!
魔王が言うには衣服を溶かして食べるって言ってたからけしからんと思って来たまでだ!!
それに報酬もいいし、危険度は女性のみ特に注意って書いてあるだけだしな。」
「へぇ~本当に私たちの裸体には興味ないワケ?
こんなにも出来上がった体に興味ないなんて・・・ハルトもまだまだね。
まぁ・・・1名は何も出来上がってもなければ盛り上がってもいないけれど。」
「それを言ってやるな・・・最近では効果が出ないと言ってせっちゃんから購入した角やら何やらを混ぜた特性の丸薬を一日で3回服用しているらしいからな。
それをしても・・・いや、この話はやめておこう。
だが、本当にすごいぬめぬめした所だな。
壁も地面もネットネトじゃないか。」
魔王は地面についていたネバネバした液体を手に取ってネトネトさせて払い飛ばしていると。
キルりんは色々言いたいという表情を浮かべながら背負ってきたカバンの中から防水加工の衣装を取り出し、魔王たちに配布した。
「これを着ればスライムたちから衣服を捕食されずに済むって言う服かしら?」
「そうです!!!私が少し胡散臭い道具屋の店主から裏ルートで水質検査用の衣服一式を取引して来たのです。
魔王の写真一枚で・・・・」
「き、キルりん!?さっきとんでもない交渉の内容が聞こえたのだが本当なのか!?
それが事実であるのならあの老人を成敗しなくてはならないぞ!!!
ハルトはどう思う!?」
「俺は別に経費が魔王の写真一枚で事が済むのならそれはそれでありだと思う。
むしろメルトと魔王のブロマイドでも作って売れば金儲けになるんじゃないか?」
ハルトは衣服を着こむ3人にそう言うと。
自身の名前の入っていない件についてキルりんはぶかぶかの衣服をまとってハルトに突っかかるが。
ハルトはひょいッとかわして先に洞窟の入り口に入ると。
その中はスライムなのか訳の分からないネトネトな液体が天井から滴っており。
見える先には様々なカラーのスライムたちがネットネットと彷徨っていた。
「おい、あれが今回の調査項目のネンチャクスライムだろ??」
「残念ながらアレは通常のスライムですね・・・・
ネンチャクスライムはもう少し奥にいます。
魔法を使うスライムから足の速い銀色スライムまで色々なスライムがいるので気をつけてくださいね。」
「何だかすごく不安なのは私だけかしら。
この衣装って本当にスライムの捕食に対して抵抗力あるんでしょうね・・・
無かったら爺さんをボッコよボッコ!!!」
「その前に私のブロマイドの回収が先だ。
どんな写真をキルりんがあげたのかは知らないが・・・盗撮は違反だ。
それに本人の意思を介さず取引も犯罪だ。
その辺の話をする前に・・・・ヤッコさんはやる気満々みたいだな。」
魔王の口調から天井を見ると。
そこには牙のような物を生やしたスライムがハルトたちの前に落ちてきた。
「で、出ましたよ!!!コレがネンチャクスライムです!!
それも牙の生えたレアなキングネンチャクスライムです!!」
「どこぞのドラ○エ見たいな名前だと言う事はスルーしてだな・・・・
コレは炎魔法とか電魔法が聞きそうだな・・・よし、メルト。
お前は魔法の準備だ!!!魔王と俺たちは前衛でスライムの相手をするぞ!!」
「しょ、しょうがないわね・・・いいわ!!!私のとっておきの魔法をプレゼントしちゃうわ!!!
見てなさい・・・私の風魔法!!!」
「なッ!?スライムに風魔法とはメルトは死にたいのか!?
すぐに止めさせねば大変な事になるぞ!?主に女性が。」
魔王はスライムの前に現れ・・・メルトの放った風魔法を天井に向けて弾き飛ばした。
「ちょっと!?魔王ナニやっちゃってくれてんの!!!
折角クリティカルヒットするコースだったのに!!!
だったらもう一発・・・・」
「メルト落ち着いてください!!!
たまにおかしな行動をとる魔王ですが無意味なことをしたことはありません。
本人にどうしてこんなことをしてからでも遅くはないかと。
で・・・宙吊りにされている魔王はどうしてメルトの魔法を弾いたのですか?」
「私はおかしな行動をとったことは一度たりともないぞ!!!
それと・・・風魔法はこのスライムをバラバラにして数を増やすだけだからしてはならない行動の1つだ。
ハルトの言っていた雷か炎魔王で蹴散らすか氷魔法で倒す手段が有効的だ。
このようにな・・・・・ブリザード!!!」
「うぉぉおぉ・・・ささささささみぃ・・・魔王、少しは加減が出来なかったのか??
辺り一面凍り付いてんじゃねぇか・・・・」
魔王が放った氷魔法は洞窟の一部とキングネンチャクスライムを氷りつかせ、そのままスライムはボロボロと崩れ去った。
「どうだ?これが私のスライムの倒し方だが・・・・」
「どうもこうもねぇよ・・・俺はなんにも装備してない状態なんだぞ?
こんな狭い場所で大規模な氷魔法はキンシな。
もっとこう・・・・ピンポイントでやってくれ。」
「その辺をどうこう言う前にアレを見てください。
ネンチャクスライムたちがこちらを見ていますよ。
もしかしたらあそこに何か秘密があるのかもしれませんね。」
「だったら行くしかないわよね!!
この服に不安しかないけど・・・依頼だもの少しくらいなら溶かされるのも覚悟の上よ!!」
と、メルトは目をお金のマークにしながらハルトたちと共にネンチャクスライムたちが湧きだしている方へ進んで行くと。
謎の木が生えており、その木から零れ落ちる樹液を浴びたネンチャクスライムたちは二つに三つにと分裂して数が増えていた――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます