157日目 メフィストの研究所

メフィストコールが始まってから数分・・・メフィストはどこからともなく溢れ出す力を振り絞り。

体中に走る痛みを無視して立ち上がって見せた。


「な、なんですって!?立ったというの!?あのムカデの一撃を喰らって・・・何てタフな仮面なの・・・アイツ・・・」

「へへん!!どうですか!!メフィストは立ちましたよ!!!

コレで私に木の実ジュース2本ですね!!!

約束はきちんと守ってもらいますよ?」

「ぐぅぅぅ・・・歓声が聞こえたかと思えば人間の声だったとは・・・・

だが、この一体感・・・キライでは・・・な・・・い・・・」

「んで、また倒れたが・・・コレはどうなるんだ?生還してからのアウトって言う枠はないからドローか?」

「いや、ハルト・・・今はそんな話をしている場合ではない。

そろそろ事が起きそうな気がするのだ。」

魔王がそう呟くと・・・我慢していた観客の女性は悲鳴を上げていた。

その声を聴いた他の者もつられて叫び出し。

我先にと会場から出て行き会場は伽藍としていた。


「ぬぐぅ・・・・がっ・・・ムーちゃんよしよし。

それでは私もこれで失礼させてもらおう。

あと・・・コレは私の研究所の所在地だ。

良かったら遊びに来てくれ・・・歓迎しよう。

では・・・さらばだ!!」

「うわぁぁ・・・ムカデに乗って帰ってったわよあの仮面・・・・」

「ですがこれで大金を手に入れられてんですよね!!!」

「あぁ・・・後はこのステージの弁償代が安けりゃいいがな。」

「そう言えばこれは借りるという話だったんだな・・・・すっかり忘れていた。

だが、コレは酷いな・・・ボロボロじゃないか。」

ステージの破損状況にハルトはため息をこぼしてからステージを貸してくれたギルドに連絡をつけに向かうと。

ステージの弁償代は1250万ゴールドとべらぼうに高く。

文句を言おうと契約書を読むと、最後の方に小さな文字で・・・60%以上の破損があった場合は全額弁償と書かれており。

ギルドにまんまとはめられたハルトたちは半額以下となったゴールドと落札したものをもって家に帰ると。

キルりんはすぐに部屋に消えて行き。

魔王とメルトはカメラが使えるのかとカチャカチャといじり出し。

先ほどメフィストから受け取った紙を見て全員にここに行くかどうか尋ねた。


「ん~私はどっちでもいいわよ?

そこそこの資金が入ったのなら旅行とは言わないけどそこに遊びに行くのもありよね。

結構なお金持ちだったから美味しいシュゴビーを隠し持ってるかもしれないし。」

「メルトはまたお酒の話ですか??

本当にいつになればその執着から離れるのですか?」

「いや、キルりんもその手に持っているすり鉢と鬼の角らしき物体は何なのだ?

今はその話は置いておこう・・・私もそうだな・・・・

話したいことが多々あるからメフィストの元に行くのには賛成だ。

だが、良いのか?数日も依頼をせずに遊んでいても。」

「大丈夫だ、旅行に行くかわりにこのゴールドは旅の資金と冬の貯蓄に回すという条件でだ。

それなら多少は遊んでも問題ないという計算だが・・・・メルト?

どうしたその手は・・・放せよ・・・ゴールドから手を放せよ?怒るぞ?」

ハルトの言葉に分配するという言葉が出てこなかったことから少しだけ目の前のゴールドに心を奪われると。

メルトの手はゴールドから離れなくなっており・・・違う提案をし始めた。


「じゃ、じゃあさ・・・このゴールドの一部は私がもらっても・・・・」

「ダメだ!!!お前にやったら全部酒に消えるだけだろうが!!!

この前だって・・・あの金は全部、酒場で豪遊して溶かしたってキルりんから聞いたんだぞ!!!」

「はい、あの時のメルトは超ご機嫌で・・・・みんなにじゃんじゃんとお酒を振舞い。

いつの間にか酒神様という謎の二つ名が刻まれていましたね。」

「その二つ名はどうなんだろうか・・・・

それにメルト・・・今回の度はそこそこの旅費がかかると計算したハルトの事もあるんだ。

私たちはハルトの計画に沿って行動する方が気楽でいいんじゃないのか?

どのみち誰かが計画を立てるにしてもハルトよりいい案が出るとは思えないのだ。」

魔王の説得にメルトもやっと大人しくなり。

そっと手を放すと・・・その代わり、今日の夕食は沢山シュゴビーを呑むとだけ言うと。

ハルトはそれくらいならと了承すると、キルりんも果実ジュースを浴びるように飲みたいと言い出し、ハルトはそれさえも許可し。

最後のトドメと息を荒くさせながら今晩ハルトと共に添い寝をと言うと。

それは駄目だと軽く拒否をすると・・・魔王は少しだけ落ち込んでいた。


「魔王の提案はまたいつかと言う事で・・・考えてもみろよ。

これから晩飯を食べるにして・・・メルトの酔っ払いを相手にするんだぞ?

そんな状況で戻って寝るにしてもいい思い出になるとは到底思えない。

何せ・・・メルトの酔った状態から家に戻す方が大変だからな。

それは魔王も熟知しているだろ?それに魔王はこの2人よりも聞き分けが良くて・・・くれるだろ?」

「な、な・・・ぬあぁ・・・・も、もももももちろんだとも!!!

ハルトは大切な仲間だからにゃ!そうと決まればさあ場へレッツゴーだ!!!」

ハルトの言葉に魔王は惑わされており・・・この男のどこに魅力を感じているのだろうかと2人は死んだ魚のような目で見ながら酒場へ向かうと。

そこには少しの銭ができたせっちゃんやジャージーがワイワイと飲んでいた。


「ハルトぉ~~ヒック・・・それに魔王たちもぉ・・・おそかったらはい。」

「うぅッ!?もう完全にシュゴビーで出来上がっちゃってますね・・・

コレはコレでかなり面倒なせっちゃんが完成しちゃってますよ!!

どうします?先にせっちゃんを宿に戻しておきましょうか?」

「そ、そうだな・・・これ以上酒を入れたら何かマズイことになりそうだし。

鬼化とかされたらどうなるかとか目に浮かぶからな。

と、言うわけでキルりんは先にせっちゃんを宿に戻してやってくれ。」

「それじゃ私たちは席について待ってよう・・・・・」

「すんませぇ~~~ん、シュゴビー3杯とから揚げ山盛りにおつまみセット3つくださいなぁ~」

「はぁ~いかしこまりぃ~~」

ウェイトレスが注文を入れると・・・すぐにシュゴビが運ばれてきて。

メルトは自分のではなく魔王とハルトの前に置き、乾杯をしようと言い出し。

キルりんのいない間に3人は抜け駆けて乾杯をしてシュゴビーを呑み始めた。


「ぶふぇぇ~~~くぅぅぅ~~~ウマイ!!!

やっぱりシュゴビーはいつ飲んでも最高ね!!!それにこのおつまみセットも季節が変わる毎に内容も変わるし本当に最高じゃないの!!

ね?ハルトもそう思わない??」

「そうだな・・・メシがうまいのは同感だが・・・冬場の酒場は人があまり金を持ってこないからとか食料が売る分しか仕入れてないからだとかで開かないのは問題だが。

こうやって春からうまいメシが食えるのならありっちゃありだよなぁ・・・ンゴンゴンゴ・・・」

「だが、呑み過ぎは体に悪いからメルトは程々にしておくようにな。

明日はメフィストに合いに行くのだからな。

で、場所はどの辺なのだ?泊まりなのか?何泊するのだ?私とハルトは同じ部屋なのか?スイートなのか?」

魔王は途中から違う意味で熱くなっており・・・メフィストの話よりも泊まる場所と誰と寝るかとてつもなく気になっている様で。

ハルトは真顔でメルトたち女子だけと男のハルトだけの部屋の2つを取るというと。

魔王は少し残念そうな顔をしながらシュゴビーに口を付け。

ハルトは更にマップを広げてメフィストのいる座標にマークを付けており。

メルトたちがシュゴビーを呑みながら確認すると、この街からそこそこの距離はあるもののそこまで時間がかかるモノではない事から本格的に明日に行くことが決定すると。

ハルトは最後に今日、家に戻ったらすぐに出かけられる準備をして寝る事とだけ告げ。

シュゴビーに口を付けておかわりをしていた。

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