156日目 水晶の行方
オークションを再開すると・・・他の水晶コレクターのモノ達にも火が付いたのか。
その水晶の値と共に見え方が変わったのか・・・水晶に魅せられて。
さらに値が雪だるまのように増えていき・・・・
「ワシは780万だすぞ!!!」
「ならば私は800万だ!!!」
「おいおい・・・これって売って大丈夫な品物なのか??
この値が付くって事は相当ヤバいんじゃないのか?」
「何、私が見た所・・・魔力を感じるんだが水晶や鉱石には良くあることだから気にすることはないのだろうが。
あの仮面の者の入札の羽振りが良すぎるような気もするな。」
「そうですね・・・こんな石ころに数百万も出すなんて鬼畜ですよ。
本当にマニアの世界はとんでもないモノですね。
ん?ハルト?どうかしましたか?」
元いた世界だとオークション通常の数倍数十倍でモノの取引をしていたハルトは目の前の白熱した戦いが過去の自分の像と重なっており。
他者から見たらこうやって写っていたのかと思うと少しだけ自分のやっていたことにおぞましさを感じつつ決着がつくのを見守っていると。
ついに値が1000万を超えようとしていた・・・・
「ぬぐぅぅ・・・ならば990万!!!!」
「ならば私は999万だ!!!えぇい!
面倒だコレで決着にしようかご老人!!1000万!!」
「つ・・・ついに・・・1000万を超えやがったぞあの水晶・・・・」
「コレはとんでもない宝じゃないの!?本当に売っちゃってもいいのかしら!?」
「今さら何を言っている・・・この状況で回収する方が危険だ。
それに観客の目つきも少しずつこの水晶が金に見えてきているのかすごい形相になっているぞ。」
「何だろう・・・すごく胃がキリキリしてきたんだが・・・
それに簡単に1000万を叩くこの2人がすごいんだが・・・爺さん本当に金はどうやって集めたんだろ・・・」
ハルトは仮面の者よりも対抗する爺さんの心配をしていると。
その爺さんは未だに手を緩めようとせずに張り合っていた。
「ぬがぁぁ!!マスクさんもなかなかのマニアじゃのぉ・・・
じゃが、これでどうじゃ!!!1200万!!!」
「ぐぅなぁ!!これはただのご老人の出せる金額ではないぞ!?
ご老人・・・本当に金子は持っているのか?
ちょっとした認知で夢と現実が混ざっていたりしないか?」
「それはお互い様だろうに・・・・どちらにせよ現金払いが鉄則だ。
アンタたち両方お金持ってんの?」
ハルトは冷静に2人に金があるのか尋ねると・・・2人は両脇に置いてあるカバンを取り出し。
中を開くとぎっしりと札束が詰まっており・・・ハルトは軽く深呼吸をして。
心行くまで当オークションをお楽しみくださいと丁寧に語ると。
再び2人の熱いぶつかり合いが始まり・・・・・
「ならば1230万でどうじゃ!!!」
「それならば・・・1500万と行きましょう!!!
さぁ、これを超えられますかな・・・ご老人!!」
とうとう仮面の者が提示した金額に手が出せなくなったのか・・・老人は両膝をついて負けを認めると。
仮面の者がステージにやって来るとトランクの中にある1500万ゴールドを直に手渡し・・・その水晶を持ち出そうとしたとき。
ハルトは異様なまでに高くなった水晶と本人の情報が知りたいと語ると。
その者は少し考え・・・2つ教えると言って、まずはこの水晶の正式名所である・・・エンシェントストーンと言う事と。
次に・・・自身の名前を口に出した。
「私の名は・・・魔王の1人である「メフィスト」・・・・モンスターメイカーのメフィストだ。」
「なッ!?マジでか!?お・・・お前があのヒュドラとか低級魔獣をばんばか作って野放しにしているバカな魔王かッ!?」
「話は聞かせてもらった・・・で、メフィストとやら・・・お前はこれから何をするつもりだ?
その石を高値で買ったわけを教えろ。
さもなくば・・・この場で切り落とすのも仕方ないというものだ。」
「ナニナニ・・・何がどうなっちゃってんの?なんかモメ事?」
「違いますよ!!あれが私たちが探していたモンスターメイカーのメフィスト何ですよ!!!
早く私たちも出ましょう!!」
キルりんとメルトもメフィストと言う名を聞いてハルトたちの元に集まると。
メフィストは少し考え、手を向けて話を聞いて欲しいと言い出し・・・・
「知らないわよそんなもん・・・
――――――――サンダーボルトォォォ!!!!」
「ンギャァァホアァァァァ!?」
「なんだなんだ!?いきなりトードマスターのメルトが電撃を放ちやがったぞ!?
暴走か!!ついにメルトが暴走したのか!?」
「お前!!こんなに人がいる前で何やっとんじゃ!!!!
見ろよ!!!お前のせいで俺達はとんでもない目線で見られてんじゃねぇか!!
で・・・その・・・焦げたメフィスト?大丈夫か?わ・・・悪いな・・・バカなウチのダメルトが魔王を撃っちまってよ。
ほら、お前も謝りやがれ!!!」
ハルトは嫌々メルトに頭を下げさせて謝らせると。
メフィストは意識を取り戻して・・・立ち上がり。
何事もなかったかのようにポーズを決めてから説明をし始めた。
「私は魔獣を生み出した魔王の1人で間違いはない・・・・
ただ、私は絶滅した魔獣を蘇らせ元の元気な姿を見たかっただけなのだ。
地を無邪気に走り回るヒュドラ・・・天を高く舞うプテューン。
どれも古代に絶滅した生物で現在でも数多くの生命が人間に駆られ絶滅に瀕していると聞く。
だから私は消されていく命の数だけ私が蘇らせて調和を保とうとしているだけの事。
ただそれだけなのだ。」
「そんなの知んないわよ・・・私らそんなに魔獣に詳しくないし。
―――――――――まぁ、とりあえずもういっちょ喰らいなさいな!!!
―――――――――――ブリザード!!!!」
メルトが魔法をぶっ放すと、メフィストはガチガチに凍り付いて氷塊になっており。
コレで勝負ありかと思いきや・・・・ステージが急に揺れ出し。
ステージを突き破ってメフィストの氷塊を巨大なムカデがハサミで挟んでおり。
その強靭なハサミでギリギリと音を立てて氷塊を砕いたのはいいのだが・・・・
勢いが強かったのかメフィストはムカデにやられそうになっていた。
「ぐのぉぉぉぉお!?!?落ち着くのだムーちゃん!!!エサは昨日上げたばかりだろうに。
私をこれ以上挟みあげるのはよしなさい!!
ぐあぁぁぁ・・・誰か!!!少し手を貸してはもらえないか!?」
「どうする?あの仮面・・・自分の作ったムカデにやられそうになってんぞ?」
「私はこの先どうなるのかが少しだけ気になるのだ。
メフィストがハサミにやられるのかそれとも無事に生還を果たすのか。」
「私はやられる方にシュゴビーを1杯賭けるわ。
どう見てもアレは終わりでしょ?もう九の字に折れちゃってんのよ?」
「ですが、相手は魔王の1人ですよ?
あのやられそうになっている魔王もここにいる強靭で頑強な魔王と同じ強さを持っていたとするのであれば無事に生還するのではと私は感じました。
ですから私は生還に木の実ジュースを2杯賭けます。」
と、大変な状況のメフィストでどうなるのかと地味な賭け事に発展しており。
ムカデの力は次第に増しており・・・メキメキとメフィストの体から嫌な音を立てながらついに折れ落ちた。
「これを見ると私の勝利でいいのかしらね?
さぁ今日はキルりんにシュゴビーを奢ってもらおうかしらね。」
「いえ、まだですよ・・・・ほら見てください。
あのメフィスト・・・起き上がろう押していますよね?
つまりこの状況から立ち上がれば私の逆転勝利です!!!
さぁ!!!メフィストよ!!立ち上がるのですよ!!!
それでもあなたは魔王ですか!!!ガッツを見せなさいガッツを!!!」
キルりんの声援に会場全体もメフィストの復活コールを始めだし。
この状況のカオスさは今までの中で一番だとハルトは感じながらメフィストを見続けるのであった。
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