133日目 魔王の料理レッスン

ハルトたちは気分が悪いと言いながら目が覚めると・・・・

ソファーで寝ており、3人を看病したのか魔王が毛布に丸まって寝ていた。


「うぅぅ・・・魔王の料理で散々な目にあった・・・・

あのパイ包みだけは今後作らせないようにしないとだな。」

「パイは嫌ッ!?は・・・夢ですか・・・・持て成しの料理は断りませんが。

魔王のアレは二度と胃に通したくありませんね。

なんなんですか・・・この胃のムカムカは・・・・

ラードを4個飲んだような気分です・・・うぇっぷ・・・」

「んん・・・・んぁ?朝ぁ??後少しだけ・・・ムニャムニャ・・・ふへへ・・・」

メルトが二度寝し始めようとした所、ハルトはメルトの耳元で魔王が朝飯を作っているとボソりと呟くと。

メルトの目がパッと開き・・・全力で台所に飛び出して行った。


「アイツ・・・あんなになるレベルで拒絶反応を・・・・

これは魔王には見せられんな。」

「ですねぇ・・・ですが、今日も魔王が料理当番なのでしょ??

だったら地獄絵図は必須なのではないでしょうか??」

「誰よ・・・グロマズ魔王料理が朝から出るとか言ったのは??

あんなゴミは二度と願い下げよ。

アレは金を積まれてもダメね。」

「騒がしいと目を覚ますとこの仕打ちとはどういうことだ!?

そんなに私の料理は駄目だったのか!?メルトは私の料理を始め・・・美味しいと言ったのは嘘だったのか!!!」

魔王の問いにメルトは途中から味がわからなくなったと言うと。

何らかのダメージを受けたのか魔王は苦しそうにして崩れ落ち、今日の夕食は失敗しないようにジャージーに聞けばいいと言うと。

魔王はスッと立ち上がり・・・3人に教会へ行かないかと提案するが誰も外に出たがらず――――――――


「どうしてあの2人は留守番で俺だけが駆り出されるんだ??おかしいだろ??

別に今さら俺がいなくてもいいだろ??そんじゃ・・・・オイ、どうした・・・その腕を離せよ・・・」

「ここまで来たのだから最後まで面倒を見てくれよ!!

そこそこに私たちの付き合いというのもあるだろ?こんないたいけな女を置いてハルトは立ち去れるのか??」

「できる」と言うと、魔王は必死にハルトの足にしがみついて邪魔をすると。

ハルトも教会まで行かないと帰るのも難しいと考え。

魔王に協力するフリをして教会へ行くが―――――――


「すまない・・・1ついいか?教会って冬場は閉まるモノなのか??」

「いや、多分ここだけだろ・・・ハイネ司祭は中でぐ~たらしてんじゃねぇの??」

「あら、ハルトさん??それに魔王さんも・・・どうなされたのですか??」

中から運よくジャージーが出てくると。

どうして閉まっているのか尋ねると、何でも冬場は人が来ないからと・・・ハイネ司祭の人が来るか来ないかのさじ加減で教会を閉めるらしく。

迷惑な教会だと呟き・・・ジャージーにここまで来た理由を話すと――――――


「そう言う事なら、魔王さんでも作れる料理を私がお教えてします。

遥々冬の教会へ来られたのですからできる限りの持て成しをしないと女神さまに叱られちゃいますからね。

さぁ、今回はこの教会のであるこの私に頼ってくださいね。」

「え?今、胃袋っていったろ??それって作る側ではなくて食べる側じゃ・・・・」

「ハルト!!教えてもらう私たちがグダグダと言うのは失礼だ。

ここは胃袋でも食道でも何でもいい。

私が作れる料理のレシピを習得するまでノータッチで頼む。」

何だか魔王の緊迫感が伝わったハルトはこれ以上言う事もないと・・・ジャージーの向かう教会の台所に向かうと――――――


「あうあうあぁ~~うぅ~~~」

「久しぶりだ、リザさん。

リザさんはここで何をする当番なのだ??」

「リザさんは炎を吐けるプリーストと言う事もあって。

調理場やお風呂の火を調整する火の当番です。」

「・・・・・・・何だろう・・・この教会・・・適当とかいうよりも使えるものは何でも使う的な危ない感じがするんだが。

まぁ、魔王がレシピを覚えるまでは黙っておくか―――――――」

そう、胸の奥に感想をしまうハルトは。

リザさんの吐き散らす火炎を見つめながら待っていると・・・・調理台ではジャージーと魔王の調理レッスンが始まっており。


「違いますよ~~どうして塩と砂糖の量が逆になるの!?」

「えぇ!?コレはこうじゃなかったのか??

ん~~これはどうしたら・・・」

「あっちはあっちでいきなりトラブルか・・・・リザさんはここ毎日楽しくやってるか??」

「ううあぁぁ~あ~~うあぁぁ!!」

両手をバタバタ振って喜びを表現するリザさんの頭を撫でてやると。

リザさんはハルトの見ている方を見ながらぷにぷにの頬をハルトにくっ付けていた。


「えぇっと・・・これはこうやってちぎって・・・丸めて・・・魔王さん・・・それは違います。」

「ん?こうじゃない・・・のか???

を作るのも大変なのだな・・・・えいッ!!!」

「パンを作る中でえいとか言う魔王は目の前にいる魔王だけだろうな・・・・

リザさんはどう思う??魔王が家で調理できると思うか??」

「うぅぅ・・・・・」

リザさんは険しい顔をしながら微妙なトーンで唸り。

その内容が聞こえていたのか魔王はハルトを呼びつけ、代わりにやってみろと言うと。


「あ、ハルトさん上手です!!!これならパン屋さんにでもなれちゃいますよ!!」

「え、そうか??いやぁ~~俺はハンターしか能がないからな。

で、魔王・・・どうして部屋の隅にいるんだ??」

「いいんだ・・・私なんてどうせパンの耳も作れないどうしようもない魔王のくず・・・・パンすら作れないとは・・・・」

「あうあぁぁ~~あぁぁ!!うあぁ~あ!!」

リザさんは魔王の手を引きながら移動させ、ハルトをその後ろに固定し。

魔王がリザさんの言葉を通訳すると、ハルトはジャージーからのやり方を聞いて魔王の手を使ってやればいいのではないかという方法をリザさんが言っており。

魔王もその手があったと言うと、もう一度ジャージーにチャレンジしたいと言うと。

ジャージーは喜んでと言い返し、再びパン作りが始まり。

ハルトはジャージーの言われた通りの手順を魔王の手を触ってやり方をレクチャーしながら間違えている部分を指摘しながら教え込むこと2時間・・・・


「上手です!!!やっと1人でパンを作れるようになりましたね!!!

――――――――――これは今までで一番長かったかもしれない・・・・」

「やったぞ!!!ハルト見てくれ!!!私が1人で作ったパンだ!!!

このパンも全てはハルトとジャージーがいてくれたからこそ作れたのだ。

だから、2人に私の初めてを食べて欲しい・・・・」

「恥ずかしそうに言うんじゃねぇ!?誤解されるだろ!!!

で、リザさん・・・魔王のパンをつまんで大丈夫か??

気持ち悪くなったりしない――――――――――

――――――――――――すんません・・・・」

魔王の作ったパンに対して味は悪くないかとリザさんに聞き尋ねていると、魔王の大剣がハルトの真横に突き刺さり。

魔王は笑ってはいたが、それ以上は何をされるのかわかり。

ハルトは魔王に謝りながらパンを一口かじると―――――――


「う、ウマイ・・・・魔王が作ったんだよな??コレ??

昨日のアレと比べたらかなりの進歩だぞ!!!」

「そ、そうか!?それもそうだ!!!だって私は魔王なのだからな!!!

少し練習すれば私はどんなことでも一流にこなす魔王だ。

これからはどんどんパンを作ってやろう!!!」

「え?パンだけですか??他の料理はできないのでしょうか??」

ジャージーは魔王のパンしか出さない発言に戸惑いつつ・・・ハルトたちは変な料理から回避はできたのだが。

これから魔王の料理当番が来るたびにパンしか出ないと考えると。

付け添える料理もできるように教え込む必要があるとハルトとジャージーにリザさんは感じながらパンにかじりついていた――――――――

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