132日目 魔王の初めての料理

あれからメルトたちと1日で飲めるシュゴビーを飲み干し・・・家に戻ると。

今日はこれ以上依頼も何もできないと感じて解散し。

解散してから数時間が経った―――――――――


「んん・・・・今・・・何時だ??」

「今は夕方の18時辺りだな。

外は真っ暗でランタンがないと先の状態もわからない程だ。」

「ハハハ・・・外も暗いですが、私の心も結構ダークですよ?

何せハルトたちはお酒を飲んで寝れたかもしれませんが・・・私は今まで自分のナイフを研ぎ・・・家の中にある金属類をひたすら研いでたのですよ??

本当に・・・何をしてんでしょうか・・・私は・・・」

「ん~よく寝たぁ・・・ふわぁぁ・・・で、ご飯はまだかしら??

お腹が空いたのだけれど??」

メルトは目が覚めるとすぐに腹が減ったと言い出し・・・先日決めた料理当番表を見ると今日の料理担当は魔王であり。

魔王は任せろと気合を入れて台所に向かったのだが・・・・・


「ねぇ、私の勘が正しければ魔王ってヤバイと思うのだけど・・・どう思う??」

「お前失礼だぞ??お前の料理も大概だろうが!!!

何が魚の踊り食いだよ!!!オタマジャクシだったじゃねぇか!!!」

「あの時はさすがにここから去ろうと思いましたよ・・・・これならまだ教会で過ごす方がいいのではないかと思えるほどに恐怖しました。」

と、メルトの作ったカエル料理の感想を吐き出しながら待っていると。

魔王は自信満々に本を見ながら作ったと言って皿をドンッと置くと・・・・


「すみません私、急用が・・・その、教会に行ってきます。」

「おい待て・・・オイオイ今さらどこに行くんだ??この暗い中で歩くのは危険だろ??それよりもさ??この状況で俺たちを見捨てるのは簡単だとは思う。

だが、今もっとも大切なのは・・・この料理を作った魔王が今にも泣き出しそうにしていることが問題じゃね??」

「う、うわぁ・・・魔王は一体どんなレシピ本を見て料理したのよ・・・

これかしら??美味しいミートパイの包み焼き??

はぁ!?コレのどこがミートパイなのよ!!!ゲ○じゃない!!!」

「そ、そこまで言わなくてもいいだろ!?

私だって自分の不器用さはしっている!!!だが・・・そこまで言わなくても・・・ハルトが言っていたぞ!!!料理でも何でも中身で勝負と!!!

だからきっと味は・・・・ペロリ・・・

―――――――――――・・・・・」

魔王は一口味見をしてみるが・・・美味しいと発言しないまま皿を下げようとすると。

メルトとキルりんはハルトに何とかするように言うと・・・ハルトは少しだけ食べてみることにし、魔王の見守る中。

謎のパイ包みの何かをパクリと食べると・・・・


「う~ん・・・噛まなかったらイケル。」

「なんだ!?噛まなかったらって!!!

料理は噛んで味わうモノだろ!?

レシピ通りにしたのにどうしてこうなったのだ!!!」

「いや、どう見てもこれは・・・魔物か害獣の肉を材料にしたダメ料理だと思うのですが・・・・」

「そうかしら??私は平気よ??モシャモシャモシャ・・・・そうね。

料理を見なければ全然いけるわ。」

フォローしているのかしていないのかメルトは謎のパイ包みを頬張りながら話すと。

キルりんも作った魔王に悪いと目を閉じながら口の中に突っ込むと―――――――


「あ~~~これは、ハルトの意見に一票です。

やはり人間には早い味かもしれません・・・木の実ジュース飲んでもいいですか??」

「あぁ、今回は特別に許可しよう。

と、言うよりも俺も木の実ジュース貰ってもいいか??」

「どうしてだ!?どうして2人の口には合わないのだ!?

と、いうよりも木の実ジュースに逃げるのは止めてくれ!!!

―――――――――洒落にならないだろ!?」

「うぐぐ、ちょっと調子に乗って食べ過ぎたかも・・・気分が悪くなってきたわ・・・・うぇ――――――」

メルトは口を塞ぎながらトイレに駆け込み、キルりんとハルトは2人揃って木の実のジュースを飲みながら下を落ち着かせると。

この残った謎のパイをどうするのか話し合いになり・・・・


「そこまで言うのなら私が責任を持って食べる!!!

もしゃもしゃもしゃ・・・・こんなにおいしいのに・・・・」

「その・・・なんだ・・・もう少しレベルを落としたシンプルくらいの方が俺たち向けかもしれないな。」

「そ、そうですよ!!!それにメルトには評判あったじゃないですか!!

トイレで全部吐いてますが・・・・」

「はぁ~スッキリしたわぁ~~ん?アレ?残りのパイはどこ??

アレはアレでしたら何とかなるわよ??」

と、戻ってきたメルトは魔王が皿をもってガシガシ食べる姿を見て、メルトと魔王のパイの奪い合いが始まり。

それを見かねたハルトはジャージーに教わったパンに卵とチーズにベーコンを乗せてケチャプップ(元いた世界ではケチャップ)を適量かけてハンバーガーを作り。

キルりんと分けて食べていると、メルトは匂いにつられてハルトたちの方へやって来ていた。


「ねぇ、そのバーガー・・・私にもちょうだいよ。

魔王が拗ねちゃって全然分けてくれないのよ。」

「べ、別に拗ねてなんかない!!

その・・・吐き気を催す可能性があるんだ・・・私が処理しておこうと言っているのだ。

でも・・・その、ハルトが作ったバーガーは美味しそうだな。」

「はい、コレはとても美味ですよ!!!

魔王とメルトが作ったクソッカスな料理より断然いけます!!!」

「キルりん・・・アイツらの作った料理と比べんじゃねぇ・・・・

これはれっきとした食えるもんだ。

あいつらの作ったのは産業廃棄物だ、いいな?わかったな??」

ハルトの言った言葉がきつかったのか魔王とメルトは2人で謎のパイを突き合い始め。

こちらを死んだ魚のような目でチラチラと見ており。

さりげなくキルりんとハルトの手に持つバーガーにも目がいっていた。


「あぁ、わかった・・・作ればいいんだろ??その代わり俺の食事当番はコレでカウントだからな!!

それと、魔王は明日も調理だからな?」

「わかってるわよぉ~もぉ~ハルトさんのイケズぅ~早く作ってちょうだいな!!」

「う、ウム・・・明日の調理担当は請け負った。

できる限り私もハルトたちのようなレベルに質を落とすと誓おう。

だから・・・私にもそれを―――――――」

「ハルト~私もおかわりを希望します~~~」

何だかんだでハルトの作る料理は女子たちよりも高く・・・この女子メンバーにはあとどれくらいの女子力があるのかとハルトは心配しながらベーコンとチーズを炒めながらため息をついていた。


「ふあぁぁ~~~食った食った・・・ホント、ハルトの才能に料理スキルがあってよかったわ~~」

「いや、お前らの料理スキルがゴミくずすぎるだけだろうが!!!

俺はジャージーから聞いた手順通りに作っただけだぞ!!!」

「そ、それを言うな・・・私はこれでも魔王。

作る側ではなく食べる側だったからな。

人にこうやって振舞ったのも本当は初めてで・・・・ワームホールがあるのなら飛び込みたいくらいだ・・・」

「あ、ハルトが魔王を泣かせちゃいましたよ?

どうしてハルトはをゴミとか言っちゃうんですか??

そう言う点では本当にマイナスポイントですね。」

キルりんの言葉にうんうんとメルトも同意し。

2人もゴミクズだとかカスだとか散々言っていたことを突きつけるが、2人は聞こえないふりをして逃げ。

責任をハルトに押し付けると、ハルトは残っている魔王の謎のパイを

ひと口食べて――――――――


「ぶはッ・・・・えっと・・・ちょっと味付けがすごいが・・・魔王らしい荒々しい味付けでいいよなァ・・・

コホン、ちょっとだけだが・・・うまいかも・・・・

あぁ!?ウマイよ!!!ウマイウマイ!!これでいいか??」

「そうか、だったらコレ全部食べてくれ!!」

魔王の発言を真っ向から否定すると・・・再び魔王はズーンと崩れ落ち。

メルトとキルりんを動員して気分を悪くさせながら魔王の謎のパイを食べきると。

魔王は喜んでいたが、ハルトたちは目を回してそのまま気を失って倒れてしまっていた。

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