107日目 宿屋のお土産??

せっちゃんを部屋のベッドに寝かせると・・・魔王はいつの間にかどこかに消えており、どこからともなく声が聞こえ・・・魔王の声のする方に行くと――――――


「ちょっと見てくれハルト!!お風呂にこの粉をいれたらネバネバになったんだ!!!これを持って帰ったらキルりんたちは喜ぶんじゃないか!

どう思う!?」

「いや、それ・・・・どう考えても○ーションだろ??

ってか・・・人の部屋で勝手にヌルヌルを作んなよ・・・・

ホラ、せっちゃんをベッドに寝かせたから俺たちもさっさと家に戻ろう。

こんなヤバい所から仲良く出ていくのを見られるわけにもいかないからな・・・」

魔王にそう伝えると・・・コソコソと辺りを見渡しながら誰もいない事を確認して宿屋から出て行き・・・息を整えて家に入っていった。


「2人とも遅かったですね??メルトなら先に部屋でグ~スカ夢の中ですよ。

あと・・・魔王は何を持っているのですか??」

「キルりん!!いい所に目を付けたな!!!

これはせっちゃんのお風呂場から拝借してきたものでな。

この中の粉を風呂に入れると・・・・もごもごもご・・・・」

「よし、魔王・・・それ以上言うな!!!

あと、せっちゃんは宿屋に置いて来たから安心しろ!!

――――――――そんじゃ!!!おやすみ!!」

ハルトは魔王の口を塞ぐのを止めて部屋に戻ると・・・魔王は先ほどの続きをキルりんに語ると。

話を聞いたキルりんはせっちゃんがどこの宿屋に泊っているのかが不安になったが。

あの腕があれば大丈夫と流し・・・キルりんたちも自分の部屋に戻って行った。


そして、翌朝・・・・酒場に朝食を食べに行くと――――――――


「おはようみんな・・・うぅぅ・・・昨日のシュゴビーのせいか頭がクラクラする・・・」

「酒場までの道は覚えたようだな・・・で、昨日まで装備してた鎧はどうしたんだ??」

ハルトは少し薄着に見えるせっちゃんの格好に質問すると。

今後の生活の事を考えて昨日まで着込んでいた装備一式を質屋に出したと言い出し・・・愛刀の刻魅刀空刺きざみとうがらしだけは売らなかったから大丈夫と胸を張って言っていたのだが・・・・


「せっちゃんって意外と常識がないと言いますか・・・不用心と言いますか・・・この辺りに出る害獣を舐めていませんか?

あの装備があればもっと楽をして依頼を達成できたと思いますが?」

「それもそうなんだけど・・・仮にも私は武の道を歩む剣士。

装備に頼って勝つというのは私の望んだ強さの形とは違う気がしたんだ。

だからそんな・・・働くのが面倒だから金と交換したような目で見ないでくれ!!!」

「いや、だって・・・そうとしか考えられんだろ??

それと・・・せっちゃん・・・この街に居座る気か??

流浪の剣士とか言ってなかったか??」

「奇遇ねハルト・・・私もそう聞いてたわ。

せっちゃんは旅の途中でしょ??こんなところで道草なんてしてていいの??」

「私は賑やかでいいと思うのだが・・・何かいけない事でもあるのか??

少しだけならここで修行してもいいのではないか??」

朝食を食べながら・・・メルトはせっちゃんがいると高額依頼から少額の依頼まで全てもっていかれると懸念し、旅を急がせようとしたが。

魔王の発言にせっちゃんは食いつき・・・


「魔王はそう言ってくれると信じていたぞ!!!

どこかしらか同じ匂いがしたからな~ウンウン。

それでは、魔王の言葉に甘えさせてもらう事にして・・・ここで少しの間だけさせてもらおうかな。」

「ウッワ~~~魔王のせいでせっちゃんがやる気になっちゃったじゃないの!!!

こうなったら仕方ないわね・・・せっちゃんが依頼を全部取っちゃう前に私たちももっと頑張って依頼をするわよ!!!」

「それは良いんだが・・・・使って事を考えて依頼を受けろよ?

高額高額っていうが・・・害獣を倒すのがメインだからな?」

「そうですよ!!高額になればなるほど難易度が高くて大変なんですからね??

そこんとこちゃんと考えないと・・・本当にいつかみんな仲良く害獣の腹の中でおねんねですよ?」

「私は難易度が高くても大丈夫なんだが・・・・難易度の高い依頼を受けた場合メルトたちがどうなるかは簡単に想像できるからな・・・」

せっちゃんが居座ると聞いたメルトは・・・今日から依頼の難易度を少し上げて頑張ると言っていたが。

せっちゃんは装備がない状態では大変だなと言うと・・・・


「いや、心配をかけてしまったか・・・何、心配は無用だ。

この刀さえあればどんな相手だろうと断ってみせよう。

あと、昨日・・・魔王と2人で私を宿屋まで運び入れてくれたこと・・・誠に感謝する。」

「いや、いいって別に・・・ここにいるメルトよりも酒癖が悪くなくて楽だったしな。」

「あぁ・・・メルトが酔ったら大変だからな。

そこら中を吐き散らし・・・飲めないモノにも酒を進め。

かと思いきや自分で飲みまくる酒の化身と言う名がついているくらいだからな。」

「やっぱりその二つ名はメルトの事だったんですね・・・・よかったですね。

―――――――!!」

キルりんに二つ名を両方つなげて呼ぶなとメルトが吠え・・・辺りにいるこの二つ名を付けた関係者を探るために冒険者やハンターたちをジロジロと睨みつけると・・・メルトと関わりたくないのか目線を逸らしたり会計を済ませて出て行く者が殆どだったのだが・・・その様子を見ていたせっちゃんはメルトの二つ名に目をキラキラさせて興奮していた。


「いや、まさかメルトが二つ名を持っていたとは!!!

私も悪霊狩りや辻斬りのせっちゃんと色々呼ばれていたけど・・・上には上がいたとは・・・・メルトは本当はすごい人なのでは??」

「せっちゃん!!!見る目あんじゃない!!!そうよ!!!私は二つ名も付くくらい有名で強くカッコイイ魔導士よ!!!」

「金にがめつく、酒に弱く・・・うまいおつまみを貪るオカルトメルトが良く言ったもんだぜ・・・・

せっちゃんもせっちゃんであんまりメルトの言う話を鵜呑みにするなよ??

大体は俺達と達成した依頼で独りで達成できたものは極一部だからさ。」

「ですが、どうせ二つ名をつけてもらうのであればカッコいいものがいいですよね!!

無月に現れる漆黒のアサシンとかどうでしょうか!?」

「いや、月が出ていないのだから辺りは真っ暗で影かどうかもわからないと思うのだが??

ん~まぁ・・・キルりんが良いと言うのならいいんじゃないか?

私は特に二つ名などは気にしないが・・・・ハルト・・・言おうとしている次の言葉は慎重に選んだ方が身のためだと思ってくれ。

何せ・・・私の大剣が血を欲しがっていてな―――――――」

魔王はハルトに注意しながら大剣を出現させると・・・ハルトはサキュバスと言う単語を飲み込み。

何も言う気はなかったと返答するが・・・メルトとキルりんは大体察し、長い会話はおしまいにして。

ハルトたちは先に依頼を受けて出ると言ってせっちゃんと別れると――――――

メルトが選んだ依頼を受けて指定ポイントに向かったのだが・・・・


「えっと・・・せっちゃん??どうしてここにいるんだ??」

「ん?ハルトたちはどうしてこんなところに??

私はデザートウルフを駆除しに来ただけなのだが・・・・ここであっているのかわからないのだが・・・この地図はココであっているのか?」

「どれどれ・・・大丈夫です。

ココであっていますよ。

私たちはハイデザートウルフを駆除しに来たので・・・なんだか色々と被りますね。」

「無駄話もそこまでだ・・・私たちの狙っているハイデザートウルフが現れたぞ!!!」

魔王は剣を抜いてハイデザートウルフに睨みつけていると・・・・せっちゃんは刀に手をかけると。

即座に斬りかかっていた――――――――

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