108日目 せっちゃんの鬼化

せっちゃんは魔王の横を過ぎ去り・・・デザートウルフに向かって剣を振り。

一瞬にして3頭のデザートウルフがバラバラになり。

ハイデザートウルフたちはハルトたちを狙わずにせっちゃんに狙いを定めて攻撃を繰り出すが―――――――


「おぉ~これはかたじけない。

魔王はさすがにタフと言うか・・・私と同じ匂いがするコトだけの事はありますね!!!

魔王もアレですよね?鬼人的な??」

「いや、私は魔王・・・魔王の中の魔王だ!!

鬼やサキュバスとレベルの低いものと一緒にしないで欲しい!!!」

「2人が戦ってるんだ!!俺たちも参加するぞ!!」

「了解です!!!メルトはそこで援護をお願いします!!!」

「しゃ~ないわね~~~私にチャージさせてブッパしてりゃあんなの一瞬で片付いたって言うのに・・・・でも、せっちゃんが飛び出して行ったんじゃ無理というヤツよね。」

魔王とせっちゃんが息の合ったコンビネーションでデザートウルフとハイデザートウルフをばっさばっさと薙ぎ倒し、ハルトたち応援に駆け付けると。

デザートウルフたちも仲間を読んで数が増えに増えていた。


「クソッ・・・数が多い・・・俺たちも何とか数匹は倒せたが・・・キリがないな。」

「ハルトにしては上出来ですよ!!!

このワンコ共は数だけは多いので面倒なんですよ・・・・ねッ!!!」

「でも、私にとってはいいリハビリというもの・・・

何せ、装備を外して剣を振るうのは本当に久々で・・・・制御ができますまい・・・フハハハハハ!!!!キレろキレろ!!!犬っころども!!!!」

「せっちゃん!?剣でデザートウルフを倒すたびに表情が変わってきているのに気が付いていたが・・・まさか本当にせっちゃんは鬼人の血を??」

「よっしゃ!!!チャージ完了よ!!みんな、そこにブッパするからどいちゃって!!!

――――――――――ファイアーストームバレット!!!!」

メルトの放つ炎の弾丸の嵐はハイデザートウルフ共々を打ち抜きながら燃え散らかすと。

せっちゃんは依頼が完了したのにもかかわらず・・・魔王に剣を抜いて切りつけていた。


「なッ!?せっちゃん!!!それは魔王だ!!!

サキュバスに見えるかもしれないが魔王だぞ!!!」

「おいハルト!!!どさくさに紛れて私をサキュバス扱いしたな!!!あとで覚えてろよ!!!!

にしても・・・すごい力だ・・・気を抜けば押し負けそうだ――――――」

「せっちゃん・・・すごいですね・・・・人の身でありながら魔王を若干押してますよ??ん?はて?どうしてせっちゃんは魔王に剣を振るっているのでしょうか??露出度が高いのがいけなかったのか・・・胸に脂肪が集まっていたからでしょうか??まぁどっちでもいいですが――――――」

「そんなことを言ってる場合じゃないわよ!!早く止めないとどっちかがケガしちゃうわ!!!

だからハルト!!!こういう時にこそあんたの不死身の体を使って何とかしなさいよ!!」

メルトの無茶ぶりにハルトは仕方ないと言いながらせっちゃんに近づくと・・・せっちゃんは意識が飛んでいるのかハルトの言葉に反応せず・・・・


「おい、アレって・・・・まさか・・・・角か!?」

「ん?言われてみればにょきにょきと生えてきているな!!!

鬼と言っていたが正真正銘の鬼だったとは・・・・これで理解したぞ!!

せっちゃんは鬼の血を引く・・・鬼の巫女だ!!!

昔父に聞かされた話なのだが・・・・鬼と人間との間に生まれた人間は鬼の強さを持ち剛腕にして強靭と聞く!!!

それがせっちゃんの家系だったとは・・・・」

「いえ、そんな悠長に話している場合ではありませんよ!!!

早くせっちゃんを止めないと・・・・ん?角が引っ込み始めましたよ??」

「ハルト、あんた何かしたの??ん?違う???

それだと・・・・一体何があったのかしら???」

メルトたちは剣を地面に刺してもたれかかるせっちゃんに近づくと・・・・

せっちゃんは意識を取り戻しており、皆に謝罪した――――――


「魔王、それにみんな・・・すまない。

気を失っている間に私は乱暴なことはしなかったか??」

「ん~俺達にはしていないが・・・・魔王と剣で力比べをしていたな。

拮抗してどちらが勝ってもおかしくない良い戦いだった。」

「せっちゃん、謝ることはない。

逆に私は鬼という存在がせっちゃんのように美人だったと言う事に驚いた。

話によると鬼は醜悪でとてつもないくらいに恐ろしい形相をしていると聞いていたからな。」

「で、せっちゃん・・・立てますか??

なんだか辛そうですが・・・・」

「きっとアレじゃないかしら!!!お腹が減って力が出ない~みたいなヤツ!!!」

メルトがせっちゃんにお腹が減ったのではないかと安直に聞くが――――――


「イヤイヤ、せっちゃんだぞ??メルトやキルりんと同じように腹が減っただけで動けなくなるからだじゃ・・・・ん?さっきから聞こえるこの音はなんだ??」

「ヤメローーーー聞くんじゃない!!!私のせいじゃない!!!

お、鬼の力を使えばものすごく強くなる分・・・は、腹が減って仕方ないのだ・・・・それに・・・私はまだ未熟が故に力を自分の好きなタイミングで使えないのが玉に瑕なのだ・・・・うぅぅぅ・・・ハズカシイ・・・」

「そうだったのか・・・よし、それなら狼煙を上げてギルドに戻り次第食事にしよう。

だが・・・食事をするにしてもここからだと夕方になるだろう―――――」

魔王が時間の計算をしてせっちゃんに伝えると・・・せっちゃんは今度こそ本気で気を失ってバタリと倒れた。


「にしても・・・腹が減り過ぎて気を失うか??

せっちゃんなら特に変なステータスが無いと思っていたらこれだ・・・・

何だ?この世界の住人は何かしらの病を持ってんのか??」

「私は病など持っていない!?私程の魔王に欠点など・・・・ど、どうして私を3人は見ているんだ!!!ほ、本当の本当に欠点にゃんてにゃい!!!!」

「まぁ、魔王は置いといて・・・・せっちゃん・・・うなされてない?

それに寝言で何か言ってない??お金の話頭かしら!?」

「メルトと同じじゃないのでそれはないでしょう。

ん?何々・・・おむすびを山盛り食べている夢を見ている様です・・・・

おむすびおいひ~って言ってますので。

にしても・・・馬車での帰りなんて初めてですね。

いつもは歩きで戻ってましたが・・・・まぁ、せっちゃんがこの状態なら仕方ないですね。」

狼煙を上げてウルフたちを回収してもらい、その後に帰り用の馬車を呼ぶ狼煙を上げたハルトたちはせっちゃんを連れて街へと帰ると。

ギルドでせっちゃんの分の報酬を受け取り。

酒場へと入ると・・・


「ん?クンクン!!!食べ物の匂いッ!!!ここは・・・・さか・・・ば?」

「気が付いたようだな・・・・馬車のなかであれが食べたいだのどうだの言ってうなされてたが・・・本当にせっちゃんはこのままここでやって行けるのか??

毎回俺たちが助けられるとも限らないんだぞ??」

「ですが・・・今さら村に返すのも言い辛いと言えば言い辛い・・・・

その病気はどういった原理で機能するモノなのですか??」

「キルりん・・・この鬼化は病気ではない。

ほら、せっちゃんにちゃんと謝るんだ・・・泣き出す前に早くな。」

「それよりも・・・早く何か頼みましょ!!!

ウェイトレス~~私はいつものヤツで!!!!」

メルトは相も変わらずシュゴビーとおつまみセットを頼むと・・・何か渡すモノがあったと思い出すとせっちゃんに報酬の袋を渡し。

仲を確認してもらうと――――――――


「あぁ、確かに報酬金額ピッタリだ。

その・・・お金でのやり取りはだとおもうんだけど・・・その・・・今日の仮の分でこの場の食事代は私が払おう。」

「いや、そこまでしてもらわなくてもいいんだが・・・・なぁ??」

「あぁ、困ったときはお互い様だ・・・・それが冒険者でありハンターの人情というモノだ。」

「えぇ~~せっかくせっちゃんが奢ってくれるって言ってんだしさ??

ここは甘えておくわよ!!!私たちもあまり余裕ないんだから!!!」

「し、仕方ありませんね!!!メルトがこう言いだしたら聞かないので・・・私もたっぷりといただくとしましょう―――――――」

キルりんとメルトは互いに料理を遠慮なしに注文すると。

せっちゃんはハルトたちにメニュー表を渡し・・・コクリと頷いていた。

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