106日目 せっちゃんの酒癖

ハルトたちは害獣の出現ポイントに到着し・・・辺りを見渡して害獣を探していたのだが・・・先程の報酬金を皆で分けずに全部せっちゃんに上げてしまった事を未だに根に持って拗ねたメルトがいた。


「おい、メルト・・・さっきのは悪かったって。

でもさ、あのままずっと一緒に行動してたら分け前が減るだろ??

そう考えたら別れるための資金と考えて渡すのが妥当だろ?」

「妥当?そんなわけないじゃない!?

あんな大金・・・250万よ!?250万!!!あれだけあったらどんだけいいお酒と料理が食べれると思ってんの!?」

「また始まりましたよ・・・・メルトは本当にお金に汚いと言うか・・・性根が悪いと言いますか・・・情けや情という心が無いのですか?

仮にもせっちゃんはあのバルカザウルスを1人でトドメまでさせたのですから正当な報酬だと思いますよ?」

「ウム、あの刀の名前以外は正当だった。

腕も見た目も・・・ただ、刀の名前だけ違和感が拭えない。

本当にその点だけなのだが――――――」

魔王たちはせっちゃんの話をしつつメルトに対して我慢や情だとか言い聞かせていると・・・ハルトたちの探していた害獣のドスモグラが現れ。

運が悪かったのか間が悪かったと言うべきか・・・・メルトは問答無用でドスモグラに魔法をブッパすると。

ドスモグラは丸焦げになってぶっ倒れた―――――――


「はぁ~~スッキリした!!!やっぱイライラした時は魔法をブッパよね!!」

「お前なぁ・・・もしアレがじゃなかったらどうすんだよ??

少しは考えてから魔法を撃つことを考えろよな!!!」

「大丈夫だハルト。

誤ってメルトが動物をヤッてしまったらメルトを動物愛護団体に引き渡せばいい。」

「そうですね、私たちは見ていただけですし・・・

勝手にメルトがやったと言えばこのからしてすぐに納得してくれることでしょう。」

と、無駄に魔法を放ったメルトに注意すると。

メルトは我慢できずに泣き出し・・・手が付けられないと、キルりんは狼煙を上げて焦げたドスモグラを回収してもらうと。

メルトをどうするかとなったのだが・・・・


「どうする?この状態のメルトは少なくとも2時間は泣き続けると思うのだが・・・・」

「だよなぁ~~何かいい方法はないか??

酒で釣ってみるか??」

「いくら酒が好きだからと言ってそんな手に引っかかる程メルトもバカじゃないと思うのですが?

まぁ物は試しようと言う言葉があるのですから試してみますか!!」

「うえぇぇ~~ん・・・・みんな私ばっかりせめて・・・・私が何をしたって言うのよぉぉぉぉぉ~~~~ハルトのばかぁぁぁ~~~~」

メルトは泣きながら暴言を吐きつつ・・・近づいて行ったキルりんと話をし始め・・・・


「いいわよ!!!お酒を飲みましょ!!こういう時はヤケ酒よ!!

全部忘れるまで飲んで飲んで飲みまくっちゃうわよ!!!」

「試してみるんじゃなかったと今さら私は後悔したのですが・・・・ハルト・・・交代してくれませんか??」

「あぁ~俺は今夜家で武器の手入れをしないとなぁ~~~~明日も忙しくなりそうだし・・・念入りにしないとなぁ~~~」

「私もハルトと同様、家で読書をしようと思っているのでな。

キルりんが言い出したんだ、楽しんでメルトのお守りをしてくると良いさ。」

キルりんにメルトのお守りを綺麗な言葉で押し付けるように語ると・・・

泣き止んだメルトが戻ってくるなり・・・善は急げと先ほどまで泣いて様子は見られずにハキハキとして街に戻って行った。


「そんじゃ俺たちは家に戻るから・・・あんまキルりんに迷惑をかけんじゃねぇぞ??」

「わ、わかってるわよ!?

言われなくてもね!!ふんだ・・・・・」

「それではまた後程・・・・ハァ~~」

「そう、ため息をつくもんじゃない。

それに・・・メルトとが面倒なのは私たちも理解している。

だから、そこは謝ろう・・・あと・・・キルりんは飲むんじゃないぞ?」

魔王はキルりんに注意をすると・・・キルりんはハッキリと言い返してメルトと共に酒場へと消えて行き。

ハルトたちは家に戻って装備の整備に入っていた。


「ハルト、そこの油をとってくれないか??」

「あいよ・・・・魔王、そこの汚れた布を貸してくれ。」

2人は自分の武器を整備しながら近くにない器具を互いに取り合いながら進め。

数分後・・・互いの剣や装備の整備が終わり。

手を洗って酒場に向かっていると――――――


「あ、2人とも!!いい所で出会った!!!・・・その・・・酒場はどこだった??

色々やる事をやっていたら道を忘れてしまってな―――――――――」

「やぁ、せっちゃん。

えっと・・・酒場ならそこだぞ?」

「慣れない街ではよくあることだ。

さぁ、夕食を食べよう・・・・ん?なんだか騒がしいな―――――」

魔王たちは賑やかと言うべきか煩いと言うべきか・・・騒ぎのする酒場の中に入ると。

そこでは・・・キルりんが男達と腕相撲をしており。

煽っていたのは酔ったメルトであった。


「せっちゃん・・・俺たちはこっちで食べよう。

あのは好きにやらせておいたらいい。」

「あぁ・・・でも、あのキルりんとかいう娘?・・・いい戦いをしているな!!

あのような華奢な体系で大男と互角以上に渡り合っているぞ!!」

「胸に行く予定だった栄養が筋肉に言ったからなのだろうか・・・・

まぁ、それはさておき・・・私たちは私たちで食事にしよう。」

魔王がそう言うと、せっちゃんは席に着き・・・魔王とハルトは夜のセットメニューを頼み。

せっちゃんは朝に食べたジャージー定食が気に入ったのか・・・同じものを注文し。

ハルトたちはついでにシュゴビーを注文すると・・・せっちゃんは泡の立つシュゴビーに興味があるのか。

年齢確認をしてから手渡すと・・・良い飲みっぷりでゴクゴクと飲み干し――――


「ぶはぁ~~~なんだこのシュワッシュワ!!!

それに・・・目の前がくらくらする・・・毒でも盛ったのか??」

「いや、それは酒だからな・・・せっちゃんは飲んだことがないのか??」

「きっと飲んだことがないのだろうな。

それに・・・あっちはあっちで腕相撲が終わったと思えば・・・今度は飲み比べ大会になっているな。」

魔王がメルトのいる方向を見ると・・・ジョッキを片手にグビグビとシュゴビーを流し込むメルトの姿があり。

目を合わせないように自分のシュゴビーを飲んでいると・・・料理が運ばれてくると。

せっちゃんはフラフラとしながら料理を食べ終えると。

魔王とハルトはこの状態のせっちゃんを1人で返すのは危険だと感じ。

メルトとキルりんにばれないように酒場を出ると・・・せっちゃんのとった宿屋に向かって歩いていった。


「うぇへへ・・・世界がぐ~るぐ~るまわるぅ~~~」

「ハルト、せっちゃんはかなり出来上がってしまっている。

早く宿屋に放り込まないと大変な事になりそうだな。」

「あぁ、そうだな・・・で、せっちゃん。

宿屋はどこなんだ???

って、言う前に・・・・この辺りの宿屋ってアレな宿屋じゃないか??」

ハルトたちはせっちゃんに肩を貸しながら道案内する方向に進んで行くと。

ラブなホテルの立ち並ぶ違う宿屋に来ており・・・格安の宿屋が取れたと喜んで話していたせっちゃんを見つつ宿屋に入ると―――――――


「えっとねぇ~~ここの105号室がわたひのへやぁ~~~」

「やばい・・・歩くたびにせっちゃんの酔いが回ってるぞ!?

早く部屋に帰ろう!!!」

「そうだな・・・この状況を見られたらどんな言いがかりをつけられるか・・・・」

魔王たちはせっちゃんに誘導されながら105号室に入ると。

部屋の作りが普通の宿屋とは違う構造をしており・・・・魔王は目をキラキラと輝かせていた。

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