75日目 魔王のブチギレスイッチ。
ハルトはリビングにいたメルトたちに声をかけると・・・メルトはすごい顔をしてハルトに近づいてきた。
「遅いわよハルト!!少し寝れなかったくらいで寝過ぎなのよ!!!
ほら、早く用意して酒場に行くわよ!!!」
「ハルトはよく眠れましたか???いいですね・・・
私の方はメルトのいびきであまり眠れておりませんが・・・横になれたので多少は楽ですが・・・メルトのいびきが本当に最悪で・・・」
「アレは災害クラスだからな・・・耳栓をって、いう前にナイフをしまえ。
で、魔王はしっかりと眠れたか??魔王??」
「だ、大丈夫だ!!
私が寝落ちしてしまった際にハルトに運ばれと聞いて・・・寝てしまったのが勿体ないと感じ・・・いや!!何でもない忘れてくれ!!!
忘れないと言うのであれば忘れさせる!!!物理で!!!」
魔王はデレデレしながら自分の顔をパンパンと叩いてシャキッとさせると・・・大剣を取り出し、忘れたかどうかを聞き尋ね・・・適当に返事をしながら支度をすると、メルトにぐいぐいと引っ張られながら酒場へと向かった。
「いらっしゃい~~いつもの席にどうぞ~」
「あと、シュゴビーを3つと適当に盛り合わせよろしくゥ!!」
「お前・・・いつでも元気だよなぁ・・・」
「メルトが元気のない日なんてあるのでしょうか??
むしろ、元気のない日が見てみたいですね。」
「いや、そんな事よりもだ!!!
酒場や冒険者たちに覚えられたこの感じ・・・みんなとお酒を交わすことで深まる絆・・・くぅ~~~本当に城から出てきて正解だった!!!」
メルトの事よりも魔王は魔王で店やハンターたちと顔が馴染み、親しみのある会話に嬉しさをこぼしながら喜んでいると・・・少し城の事を魔王に尋ねてみた。
「魔王は最近城にもかえってなさそうに思えるんだが・・・城は大丈夫なのか??」
「急にハルトは藪から棒に・・・私がいなくとも城は使いの者が頑張って回しているはずだ。」
「ですが、魔王の城って現状何をしているんでしょう??
魔王の城と言う事は冒険者を待ち構え・・・奥の間でバトル!!!って言うのがどこの魔王でもあるシチュエーションだと思うのですが。
魔王のいない魔王城に何を求めて人が寄って来るんでしょう。」
「それもそうね・・・魔王の城って・・・今は何屋さんなワケ??」
メルトの発言に魔王に対してトドメを刺したようで・・・魔王は少しばかり不安になり明日にでも戻って調べてみると言いだしたのだが、1人では帰り辛いと言ってハルトたちにもついてきて欲しいと頭を下げて言う姿勢に・・・・
「しょうがないわねぇ~この私が付いて行って―――――――」
「メルトはどっちでもいい・・・ハルトさえ来てくれれば問題ないんだ。
あの城の中で唯一顔の聞くのはハルトだけだからな。」
「地味にメルトがへこんでますよ??
私にも遠回しにダメージも来ていますが・・・そうですね。
魔王の新しい城というのも見ておきたいので私も付いて行っても構いませんか??」
「なんだ・・・この俺には拒否権すらもらえない感じ・・・
頭を下げたらYESがもらえるみたいなこの感じ・・・・はめられたのは俺じゃねぇか??」
ハルトの言葉は魔王には届いておらず・・・明日は楽しみだと魔王とキルりんがワクワクしながら料理を食べ、メルトは真っ白になりながらシュゴビーをちょっぴり口に含んでため息を吐いていた。
そして、翌日・・・メルトは駄々をこねながら付いて行くと言い。
魔王は約束を守れるならとメルトに約束事を聞かせてから魔王城へみんなで向かうと・・・・
「魔王の城って・・・確かこれよね??
私の見間違いじゃなかったら・・・おっきな料理店?になってないかしら??」
「あぁ・・・本来ならもっと城らしい風格があったのだが。
それに使いの者に料理ができる腕があるとか聞いたことも覚えもない。
だから、罠と言う事も考えておかなければな。」
「自分の城に対して罠とかいう時点でどうかと思うのですが・・・・
それにしてもいい匂いがしますね~~くんくん・・・これはお米の香り??」
「この匂いはそうだな・・・とりあえずさ?入って確かめたらいいんじゃないか。
城の主が返ってきて歓迎しない奴らじゃないはずだしさ?」
言われるがまま魔王は城の扉を開くと――――――
「いらっしゃいま・・・って、魔王様!?
おい、使いの者に魔王様が返ってきたことをお伝えするんだ!!!」
「了解・・・しばし待たれよ。」
「ひ、久しいな・・・隊長・・・どうしてそんなへんてこな格好をしているんだ??」
「ちょっと待って魔王・・・甲冑を着ながらだと油が跳ねたりしても熱くないわよね・・・アレ、街で売れないかしら??」
「バカヤロウ!!!売れる訳ねぇだろうが!!!
あんな甲冑装備+エプロンでする料理とか動き辛いにも程があるだろう!!!
ってか、料理するのか警備してるのかどっちなんだよ!!!」
「いいとこどりをしている風には見えませんね。
あれじゃ、筋肉だるまの筋肉にエプロンを付けて料理しているのと同じですよ??」
何ともシュールな絵に困惑しながら使いの者を待っていると・・・呼びつけに行った兵士が部屋まで案内すると言って使いの者の部屋まで移動すると・・・・
「こちらが使いの者の部屋でございます・・・
私の案内はここまでで・・・中で使いの者がお待ちです。
それでは・・・・」
「あぁ・・・ちょっ!!!
あ~あ・・・あれは何かを隠してる逃げ方だな。
それに、ここって感じ的に魔王の部屋じゃないのか??」
「使いの者の事だ・・・きっと全部話してくれるだろう。」
そう言って魔王は扉を開くと・・・ゴージャスな服装をした使いの者が魔王の椅子に座ってグラスを回していた。
「これはこれは魔王様・・・お早いお帰りで。
で、何の要件ですか??」
「いや、久々に我が城に戻って来てみたら・・・どえらいくらいに変わっていて聞きたくてな。
で、使いの者よ・・・コレはどういう事なのだ??
全部説明してくれるのだろうな??」
「ねぇねぇ・・これって流れ的に少しマズイ感じじゃない??」
「そうですね・・・あの使いの者はきっと裏切った系のアレな感じです。
あの背中の魔王って文字がすごく気になって仕方ありませんでした。」
コソコソと話す2人に先に言われるのはマズイと踏んだ使いの者は・・・自らの口で真実を話した。
「魔王様・・・いや、退位された魔王・・・ここは今では私の城ですぞ??
ハルトの残した例のレシピで無断で城を改造し稼ぎに稼いだこの城を元魔王に返却するとでも思いましたか??
この城の従業員・・・いや兵隊長から兵隊1人1人まで飼いならしているのですよ!!!
この私がね!!!これが金の力!!!全て金だぁぁぁ!!!」
「おい、使いの者・・・最後にもう一度だけ聞いておく・・・・この城は誰のもので誰が主だ??」
「お前ら・・・逃げる準備はできたか??
魔王・・・久々にスイッチオンだ。」
「OKよ!!いつでも脱出できるわ!!」
「こちらも大丈夫です・・・かけっこ鬼ごっこストーキングで負けたことはありませんから!!!」
と、逃げる瞬間を逃すまいと扉にスタンバイすると・・・予想通りの事が起ころうとしていた。
「何を今さらなことを・・・城も、ここの主も金も全て私のモノ!!!!」
「そうか・・・ならば・・・使いの者よ城ごと消エロ!!!!
―――――――オロカモノッ!!!!」
「全員、撤退ィィ!!!!!」
「私がイッチバーン!!!!」
「ま、負けませんよ!!!!」
魔王は両手で巨大な魔法陣を浮かび上がらせると同時にハルトたちは城から駆け出し・・・階段を降りている辺りでズドンと激しい揺れと爆音とともに城から歪な音を響かせていた。
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