76日目 魔王の逆鱗による被害
ハルトたちは激しい揺れに揺られながら階段を降り・・・甲冑エプロン姿の隊長に見送られながら城を出てからもできるだけ離れると、先程までいたであろう部屋から上の城は消し飛んでおり。
再び強い光が怒号と共に光ったと思えば・・・城は粉々になっていた。
「魔王って・・・やっぱとんでもないですね・・・あんなのと戦う勇者もバカみたいに強くないといけない訳が分かりました――――――」
「アレって、強いとかそう言う次元じゃないような気がするんだけど・・・
怒りに身を任せたら皆あぁ言う感じじゃないの??」
「魔王は別格怒らせたら駄目なパターンだろ・・・・あの家で怒ってでもしてみろ・・・マッハで城が蒸発するぞ??」
と、粉々になった城から生き延びた兵たちが出てくるのを確認しながら城跡を見ていると・・・・城の中から魔王が1人で大きな翼を広げてこちらに飛んできたのだが・・・・
「ハァハァ・・・・ウガァァアァァ!!!!」
「うわぁ・・・完全に暴走してんじゃない・・・近づいても大丈夫なの??」
「これはハルトにしか推奨されてないでしょうね・・・私たちが行けば刺身になっちゃいますよ・・・」
「えッ俺!?俺なら大丈夫って・・・絶対に不死者っていう点でしか考慮してないだろ!?
あぁ・・・クソ・・・魔王には世話になったし・・・俺がやるしか・・・
なぁ、魔王・・・暴れてスッキリし――――――――――」
ハルトは魔王に何も考えず不用意に近づくと・・・案の定というべきか、キルりんの想像通り。
ハルトは魔王の剣に貫かれていた。
「いだだだだ・・・魔王、お前・・・しっかりしやがれ!!!!」
「ちょっと!?ハルト!!!顔を叩いたたもっと痛い事されちゃうわよ!?
止めときなさい!!Mに目覚めるのは勝手だけど見てるこっちの身にもなりなさいよ!!」
「でも、魔王の様子が・・・・大人しくなっていませんか??」
「うあぁぁ・・・ぐぅ・・・ハ、ハル・・・・ト・・・・」
魔王は何とか意識を取り戻し・・・意識が戻ると同時に気絶して再び地に倒れたのはいいのだが―――――――
「いや、コレどうすんの???
突き刺さったままだよ???痛いんだけどさぁ取ってくれない??」
「いいアクセサリーが付いてよかったじゃない。
それより・・・魔王に近づいても平気かしら??
急に起きてお腹をブサーーーって刺されたりしないかしら??」
「へ、変なことを言わないでくださいよ!?
そんなことを言うから余計に近づきたくなくなったじゃないですか!!」
メルトの発言に近づこうとしたキルりんが3歩下がると・・・魔王は自力で意識を取り戻してハルトを見ると―――――
「どうしてハルトは私の剣を体にデコレーションしているんだ??」
「おまッ・・・さっき俺に大剣をぶっ刺したのを覚えていないのか!?
そんじゃ、後ろのアレを見てみろよ。」
何も覚えていないと言った顔をする魔王に後ろの状況を見せた。
「ハルト、もしかしてこれは私の城のような跡地は・・・・私がやったのか??」
「何にも覚えてないの??魔王ってば使いの者にガチギレしてハチャメチャの大暴れしてたのよ???
暴れといて忘れちゃうとかどうなの??」
「それに、ハルトに剣を突き立ててデコレーションしたのも魔王ですよ。」
「と、いうわけで俺の腹に刺さった剣を抜いてくれないか??
優しくだぞ??いいか?優しくだからな!?」
魔王はみんなから話しを聞くと・・・大慌てで謝りながらハルトの腹に刺さった剣を勢いよく引き抜くと。
ハルトはツッコム暇もないまま魔王と同じようにバタンと倒れた。
「あ、ハルトッ!?す、すまない!フリだと思ってつい勢いよく引き抜いてしまった・・・大丈夫か!?おい、おい!!しっかりしろぉ~~」
「あ~あ・・・こりゃ完全にダウンしちゃってるわ。
まぁハルトは勝手に治るから放置で良いとして・・・魔王が壊したこの城はどうするの??」
「そうですね、ハルトのケガはいつも勝手に治りますからね・・・
すでに再生も始まっているみたいですし、放置で問題ないでしょう。
ですが、見事に粉砕しましたね・・・コレ。」
キルりんとメルトは崩れに崩れた城を見ながら魔王に聞き尋ねると。
魔王は城を回すための者がいない事から再建しても意味がないと悟ると・・・魔王は本格的にハルトたちの住まう家に身を置かせて欲しいと覚悟を決めて深々と願い出てきた。
魔王の願いにキルりんとメルトは決めるのはハルトだと適当に責任を投げると・・・ちょうど良いタイミングでハルトが目を覚ました。
「ハッ!?イッテーーーー何で優しく抜けって言ってんのに思いっきり抜いてんだよ!?
で・・・魔王はどうして土下座をしてるんだ??
ど、土下座して謝るくらいなら始めからするなよなッ!!!」
「ハルト、今回の件といい剣をぶっ刺してしまった事と強く引き抜いてしまった事と・・・ハルトが大事にベッドの下と床の下とタンスと引き出しと屋根にしまっていた怪しげな本を私が回収したことを全て詫びたい。
あと、私の城がこんな有様と言う事で・・・図々しく聞こえてしまうかもしれないが。
ハルトたちの住まう家に本格的に住まわせてもらえないだろうか??」
「本格的にも何も今まで自分の部屋を作ったりしてガッツリ本格的に生活してたと思うのは私だけ??あと・・・怪しげな本ってなによ??初耳なんだけど。」
「いえ、私はそれより前から3人で布団を取り合いながら雑魚寝をしていた時期から何だか感じていましたよ??ハルトの隠し持っていたあの半裸の女性が載ってた本ですか??アレなら私も趣味が悪いと感じつつ幾つかカピカピのモノを捨てた覚えがあります。
それに何だか変な臭いもしたのですが・・・アレは一体何だったのですか??」
キルりんと魔王にこれ以上話されると風紀的にも地位的にも下の下まで落ちることを恐れ、2人の口を塞ぎながら魔王に「これからよろしく頼む」と返事をした。
「本当か!?いやぁ~城がこうなってしまっては本当に居場所がハルトの家しかなくなってしまったからな。
ハルト、それにみんな・・・本当に感謝する。
あと、これからもこんな私だがよろしく頼む。」
「いい顔して言ってるが・・・俺のコレクションが消えてるのは魔王の仕業だったのか・・・」
「はい、こちらこそよろしく頼みます!!
ですが、ハルトがこうも魔王を簡単に永住を許可するとは・・・何か策か下心とかあったりするんじゃないですか??」
「ハルトならあり得るわね・・・さっき2人が話してた本がどうとかっていう内容も誤魔化してるし・・・すごく怪しいわ!!
――――――そうだ・・・ハルト、今度その本を私にも読ませなさいよ!!
何か特別な魔本か何かなんでしょ!?私に隠れて私のために修練に励むのはいい事だけれど間違った覚え方をしても困るのは私なんだからちゃんと見せなさいよ??って・・・ハルト!!!まだ話は終わってないわよ!?」
怪しむキルりんに対して色々と誤解をしながら本を見せろと要求するメルトたちを置いてハルトは街のギルドまで駆け出して行った。
そして、メルトたちはハルトとギルドで合流すると・・・新しい依頼に目を通し、安全そうな依頼を受注し目的地に移動した。
「今回のターゲットはあれだな・・・食虫植物の害獣キラーフルーツプラント。」
「あの植物の口から出してる匂いを強く嗅ぐと・・・あの植物にメロメロになってしまいあの口の中に歩いて行ってしまうと言う噂を聞いたことがあります。
獲物が入ると牙のついたフタで完全ロックして・・・獲物が解けきるまで消化液を出し続けるらしいです。」
「それなら!!!先手必勝!!匂いを嗅ぐ前に燃やしちゃえばいいんでしょ!!!
――――――――――ひゅあッ!?アッレーーーーーーーーーー」
「メルトッ!!!!ぐぅぅぅぅ・・・・ぐぅ、この植物は音にも過敏なんだ!!!
それにしてもツタの力が凄まじい・・・・ハルト!!すまないが焚火でこの植物を燃やしてくれ。」
ツタに引っ張られるメルトを魔王が掴んでいる間にハルトは植物たちの弱点である火である焚火を植物に投げつけると、メルトを掴んでいたツタの力が次第に無くなり・・・植物を無事に討伐した。
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