74日目 新しい魔法・・・「イマジン」

メルトの腹を満たした後、ハルトたちはギルドに向かい依頼を受注すると・・・すぐに指定された場所に向かい、早く帰って寝たいという願望を抱えて依頼をこなしていたのだが・・・・


「ねぇ、どうしてハルトたちはそんなに急いで川に落とした依頼のネックレスを探してるの???

もっとゆっくりやればいいんじゃない??害獣も現れないみたいだし。」

「お前・・・・捕まってたとき騒いだりした後、割と眠ってたからいいかもしれねぇが俺たちは不眠で今まで起きてるんだよ!?

だからこの依頼をさっさと終わらせて家でぐっすりと寝たいんだ!!!わかるか!?」

「ハルト、口を動かしながら手を一緒に動かしてくれないか??

人手が足りな・・い・・・あぁ・・・眠気が――――――」

「魔王!?しっかりしてください!!!あぁ・・・こんな川の中で寝たら溺れて溺死しちゃいますよ!!!」

寝落ちしてしまった魔王を川の中から救い出すと・・・岸に魔王を寝かせてハルトたちは再びネックレスを探すために川で岩をどけたりとして探してはいるが全く手ごたえが出ずに苦戦していると・・・・


「わかったわよ・・・それじゃ、私の魔法でこの依頼を解決してやろうじゃないの!!!」

「いや、そんな物騒な事はしないでくれ・・・依頼がパーになったら意味がねぇんだよ。」

「そうですよ!!!メルトも黙って手作業で探すのを手伝ってください!!!」

「うぅぅうぅ・・・・・」

魔王は未だに眠りから覚めず・・・メルトはブツブツ言いながら長いブーツを脱いで川に入って手で探し始めると―――――――


「ねぇ、ネックレスってコレの事かしら???

何だかすっごくぼろっちぃんだけど???」

「ボロくてもいいから裏にPって文字が彫られていたら依頼物だ。

んで、書いてあるか??」

メルトが裏をこすってみると・・・そこにはPと掘ってあったらしく、ハルトはメルトから奪って確かめると間違いなくPと掘ってあった。


「よし、回収完了~~魔王を連れてさっさと報酬をもらって家で寝るぞ。」

「今回は私が頑張ったんだからちゃんと晩御飯は食べさせてよね!!!」

「そんな事よりも・・・まずは睡眠です・・・今にも倒れそうで・・・ふわぁぁ・・・目が閉じそうです・・・」

「うぅうぅぅ・・・・」

魔王はハルトがおんぶしながらギルドに帰り、報酬をもらうと再び魔王をおんぶして家に戻ると・・・各自夕食まで寝る事となり、ハルトは魔王をベッドに寝かせると自分も自室に戻りベッドに倒れ込むと夜まで目を覚ますことはなかった。


そして、その夢の中・・・・・


「ん?どこだココ??アズラえるのいた場所じゃないか・・・アイツは今どっかに飛ばされてるんだっけか・・・・んじゃ、本当にどこだ??」

よ・・・久しいな、私だ・・・バロンだ。」

懐かしい声がしたと思えば・・・ハルトの中で最近声を出さなかったバロンであったのだが・・・何故か光る玉ではなく、男の格好で現れていた。


「ここはハルトの夢の中と言う事で私はこういうの格好で登場したわけだが・・・夢で話す理由だが、そろそろハルトにも他の魔法を使えるくらいの魔力が溜まった頃だと思っての。

だが、現実でだと被害が出る可能性がある・・・だから夢の中でイメージを掴むのだ。」

「いや、勝手に話されて意味が分からん・・・

バロンが俺に教える魔法はいっつも戦闘向けじゃないサブ魔法ばっかじゃん!?

それに・・・どうせ今回もサブ魔法だろ??」

ハルトは期待せずにバロンに尋ねると・・・バロンは膝を抱えて拗ねてしまった。


「いいんじゃ・・・いいんんじゃ・・・どうせワシは古い幽霊じゃよ・・・ハルトになら理解してもらえると思ったのに・・・寂しいのぉ。」

「あ~もぅ!!!わかったから!!!人の格好でぐじぐじ言うのを止めてくれ!!!ちゃんと話を聞くから・・・悪かった・・・で?何の魔法を教えてくれるんだ??」

ハルトは数少ない男のバロンに謝って今回教えてくれる魔法を尋ねると・・・バロンは立ち上がり、実際に見せると言ってマネキンを出現させ――――――


「ハルトよ、よく見ておけ・・・・・

――――――――――!!!」

「おぉぉ!!!!マネキンがすごい事になったぞ!?」

バロンが見せた魔法によってマネキンの表面に火・水・風・雷・土の属性と言うべき魔法が発動して纏わりついていた。


「ハルトよ、このイマジンは自分自身が想像したそのものが魔法になると言う恐ろしいものだ。

一歩間違えればハルトの身近な誰かが・・・かもしれない危険な魔法だ。

だから・・・覚悟して使――――――――――」

「イマジン!!!!

おぉぉぉ・・・マジで念じて発動したらゲーム機が出て来たぞ!!!

これなら金にも困らな・・・いや、そもそも電気が通ってねぇ!?

いや、それ以前に・・・ネットがねぇぇぇぇ!!!!

何を楽しめってんだよ!!!」

ハルトが1人で騒いでいるのをバロンが止め、イマジンについての注意点を話しだした。


「ハルトよ、このイマジンは魔法ではない。

想像したモノが精密であれば精密である程、それらをさせた代償として魔力が消費され・・・体にもある程度の負荷がかかる。

だからⅠ日に使える使用回数は多く見て3だ。

それ以上使えば、ハルトの不死者の体であったとしても何かしらのが出る可能性がある・・・いや絶対にでる。

だから、4回目を使うときは覚悟して使う事だ・・・・あと、そろそろ体に何かしらの異常が出始める頃だ。」

「異常つっても別にどこもおかしな感じはしないが・・・・それにここは夢だろ??何も起こらないんじゃ・・・・」

と、ハルトが軽い気持ちで笑っていると・・・体の力が一気に抜け落ちてバタンと受け身を取ることもできずに倒れてしまった。


「ハルトの出したソレは相当な魔力消費と見た・・・・

それにこの魔法で出したアイテム関連はしまう。

つまり、無から物を生み出す類には向いていない。

どちらかというと・・・さっき見せた魔法を出す方が燃費はいいと言う事を覚えておくといい。

ホラ、体を動かす分の魔力を与えてやろう。」

「あぁ・・・助かる・・・」

バロンに魔力を分けてもらうと・・・ハルトは立ち上がり、バロンに他の使い道を尋ねると。


「他の使い道か・・・牢屋に入れられた際にカギをイマジンで作成して逃げるのはほぼ無理だ。

鍵穴の形や形状が分かれば別だが・・・それでもある程度ので鍵が開かない。

あと、食べ物の類もダメだ。

食べた感じはするが消えてしまってはお腹は満たされない。

それにこのイマジンは外観だけで中身が詰まっていないモノが多く出てくることが多い。

読み直したい書物があったとして、イマジンで出したとしても中身が全然足りない本が出てきたりもする。

だが、それらに比べて魔法の想像は割とイメージでどうにかなる。

ハルトの近くで魔法を使う魔王やメルトの魔法をイメージしてイマジンを使えば同等とまではいかないが・・・ある程度の魔法は放つことができるだろう。」

「長い説明をどうも・・・あとさ、バロン・・・やっぱこの魔法もメインじゃないだろ―――――――――」

バロンは少し考え・・・使い方次第で両方イケルと誤魔化し、そろそろ予定の時間と言ってハルトを無理矢理現実に返した。


「―――――――ハッ!?

バロンのヤツ・・・いつになったらメインの魔法を教えてくれるんだ???

まさかアイツ・・・メインの魔法が使えないとかないよな??」

ハルトは良く寝たと背伸びをしながら部屋を出ると・・・魔王たちがリビングで待っていた。


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