69日目 溶け込む者、溶け込み過ぎた者

翌朝、ハルトは部屋で聞こえているセミの声にしては鮮明でで鳴いているように煩く聞こえ、体が動かない事から目を開くと―――――――


「なんじゃこりゃ!?!?何で首から下が土に埋まっ・・・・・・アイツら・・・・・あのバカ共かぁ!!!!!!!!!」

昨夜、キルりんやメルトが無駄に優しくハルトに酒を注いでいることから何か企んでいるとは思っていたのだが、まさかコレのためにすべてが仕組まれているとは・・・ハルトは想像もしていなかった。


「やっと目覚めたようね!!!バカ使い魔のハルト!!!

あんたが昨日、鼻の下を伸ばして聞いていた間に私たちが経てたプランに引っかかってくれちゃって・・・本当にマジウケよマジウケ!!!」

「昨日の、ハルトの顔は駄目だ・・・いつもの顔よりもダラしない顔であった。

だから私も協力したのだ・・・悪く思うな。

実際には悪いのだろうが・・・ハルトがいけないんだからな!!」

「ん~ですが・・・これからどうしましょう??

このハルトに・・・謝るまでどんな悪戯をしますか??」

「お前ら・・・一度だけ言うぞ・・・ここから出せば許してやる。

痛い事もしないでおいてやるから・・・こっから早く出しやがれ!!!」

ハルトの発言にメルトたちはどちらの方が立場が上なのかを知らしめるために・・・ハルトの耳を引っ張ったりと好き放題にしていると。


「わ、わかった・・・どうすりゃここから出してくれるんだ??

謝ればいいのか??どうなんだ??」

「ん~そうね・・・これから毎日ハルトが私たちの酒とご飯代を支払うとかどうかしら!?」

「私はお酒が飲めないのであまり価値はないのですが・・・・私は、一言謝っていただければいいです。

誠意をもって深々と頭を下げて謝っていただければ!!!」

「深々もなにも埋まっているのだが・・・私は、ハルトが反省しているのであれば文句も何も言う事はない。」

3人の言い分を素直に呑み、ハルトが穴から引きずり出され・・・舞い上がっていた2人はこのパターンはまずいのでは?と至ったところまでは良かったが、時すでに遅し。

ハルトのグリグリが2人の頭を襲い・・・出したことを深く後悔しながら泣きべそをかいて酒場へと向かった。


「ったく・・・朝から散々な目にあったぜ・・・魔王も変な事に誘われても従うんじゃないぞ??バカが移っちまう。」

「あぁ、それは大丈夫だ。

これは移るとかそう言う問題じゃないからな。」

「ちょっと魔王!?それはどういう意味かハッキリ聞きたいところなんだけど!?」

「そうですよ!!!メルトはともかく私はバカじゃありません!!!

それに、ハルトはまだ私に謝罪がありませんが???

いつしてくれるんですか???謝罪!!!」

キルりんの言っている謝罪の意味を詳しく尋ねると・・・昨日のスリーサイズに際にリードとキルりんのとある部分を比べて見ていたことを話すと、ハルトは事実と言う事もあって否定せずキルりんにきちんと謝罪した。


「ま、まぁ・・・これからは気をつけてくれればいいんですよ・・・繊細な所なんですからね!!!」

「へいへい・・・そりゃ、同い年であれだけ凹凸の差があったら比べるもするだろ・・・・なぁ?魔王??」

「私か!?まぁ・・・しないと言うとウソになるが。

だが、女性の場合は男同士の力比べのように単純でもないからオススメはしないぞ?

現にキルりんたちに埋められたのがその証拠だからな・・・」

「まぁ、その話もこの後の依頼の件も朝食を食べた後にしましょ?

ずっとバカバカ言われてムカッとしちゃうけど・・・我慢して聞き流しておいてあげるわ。」

そう言ってメルトはウェイトレスに決まった注文をして、並べられた料理を食べると。

ハンターや冒険家たちの集まるギルドに移動していると・・・・


「アレ?あれって・・・リードじゃないか??

お~い、そこのプリースト~そんなとこで何してんだ??」

「あぁ、キルりんの仲間の・・・確かハルトだったっけ?

その、ジャージーに買い物を頼まれたんだけれど・・・コレってどこで買えるか知らない??私、この街の知識が全然ないから・・・困ってて。」

「リードのプリースト衣装もまた悩ましいをして・・・切り捨てたいところですが、同じ町の生活者であり私は先輩と言う事で助けてあげましょう!!!

どれどれ・・・食料ならそこの酒場で買えます。

ロープやロウソクはそこの雑貨屋に見えない武具店で買えますよ。

ホラ、わかったら行った行った。」

「なんだかんだ言ってキルりんって優しいと言うか仲間思い??」

「前回話していた事は昔の事として流したのかもしれないな。」

リードはキルりんに礼を言って歩いて行く際に・・・キルりんはリードを引き留め・・・・


「リード・・・これで貸し1ですからね??」

「まぁ、今回は仕方なく貸しにしておいてあげるわよ・・・

あと、そこのハルトにもね。

私たちを蹴散らすこともできたと思うけど・・・こうして場所を提供してくれたことを感謝する。

――――――――――それじゃ。」

「何だか堅苦しいな、リードって・・・元々あぁなのか??」

「あれは恩義を与えてもらった方に対しての正しい作法と言うモノだな。

あのリードは胸以外にも器も大きく礼儀正しいな。。」

「まぁ、どうだっていいんだけど早くギルドに行かない??

熱すぎて倒れちゃいそうなんですけど!?」

メルトが駄々をこね始め、煩くなる前に急いでギルドに入ると・・・メルトは一番冷えている場所に目掛けて移動して涼みだした。


「アイツ・・・本当に熱さも寒さも弱点なダメオカルト女だな。

今度砂漠にでも置いて帰ってやろうかな??」

「それは止めておいた方がいいですよ?メルトは怒ったときとハルトに対して怒ったときが一番、何をしでかすかわからない危ない面を持っていますから。」

「そうだな・・・ハルトが仕組んだことだとバレてでもしてみろ・・・街は火の海になって国から追放とかも考えられるぞ??

まぁ、その時は私の城で匿ってやろう。」

「そこ~~何を話してんのよ~~早く依頼を探してきなさいよぉ~~ひゃ~冷たい~~~本当にここは良く冷えるわね・・・・」

メルトは3人が何かを話していることに感づき・・・無駄話をする時間があるなら依頼を探すように命令し。

メルトの命令に従うのは腑に落ちなかったが・・・仕方なくハルトたちは依頼を見て回りだした。


「少し来たのが遅れたな・・・大体が高難易度の依頼ばかりだ。」

「ですね、メンバー4人でこんなのどうやっても倒せませんよ・・・

魔王1人でなら余裕かもしれませんが・・・私たちが犠牲になるのは必至。」

「ですよねぇ~~でさ、アイツ・・・床で寝てないか?どんだけだらしない姿を公共の場でさらせば気が済むんだよッ!!!アイツは!」

「ふへへ~~気持ちィ~~~この冷気マシーンウチにもつかないかしらねぇ~」

と、メルトのだらだらとした醜態をこれ以上さらすわけにもいかず・・・さっさと依頼を探して受けると、メルトの足を掴んでズルズルと引きずりながら目的地に移動した。


「ハルトってば私をモノ扱いするなんてどうなのよ!?

本当にそれでも私の使い魔なの??」

「いや、お前のあのダラダラした姿で俺たちまで同じ目で見られるのが耐えられなかったんだ。

お前だけギルドに放置してもよかったんだぞ??

引きずって来ただけましだと思え。」

「あのダラダラは家にいる時よりもダラしないですよ?

家では下着姿で書物らしきものを読んで寛いでますが・・・・」

「メルトの生活態度がとんでもないことは分かった・・・・だが、緊急事態だから言わせてもらおう!!!

好戦的な目標がそこまで・・・・いや、メルトの後ろにまで来ているのだがどうする!?」

メルトが笑いながら振り返ると・・・骸骨の落ち武者がゆらり立ち尽くしながらメルトと目が合うと、メルトはニコッと笑いながら炎魔法でぶち抜いていた。

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