70日目 魔女狩り同盟再び
メルトの炎魔法で吹き飛ばした骸骨の落ち武者は燃え上がりながらも再びムクリと立ち上がり、メルトに向かってゆらりゆらりと体を燃え揺らしながら近づいてきていた。
「何なのよ!!このガイコツマン!私の炎魔法が全然聞かないんですけどッ!?」
「この骸骨兵は元魔法兵士か何かだろう・・・そうでもなければ炎耐性がここまで高いはずはないからな。
それに・・・辺りにわんさかといるぞ・・・気をつけるんだぞハルトにキルりん!!!」
「俺は足止めくらいしか出来ねぇから、トドメは頼んだぞ!!!」
「私もハルトと同意見です。
生身はともかく骨を相手に致命傷なんてありませんし・・・このガイコツからメルトを守る程度なのでよろしくです!!!」
各自、自分にやれることを考えながら骸骨兵との戦闘が始まった――――――
「キルりんどいて!!ガイコツマンたちこれでも喰らいなさい!!!」
―――――――――サンダーストーム!!!」
「わぎゃ!?メルト!!私まで一緒に攻撃しないでくださいよ!!
攻撃をするのなら私ではなくガイコツ達だけにしてください!!!」
「ハァッ!!!!物理には弱い・・・ハルト!!後ろだ!!」
「了解!!おりゃッ!!」
メルトの魔法と魔王の攻撃である程度の骸骨兵を倒し切ると、骸骨兵は急に移動し始め・・・骸骨兵の間から何者かが現れた。
「ぐひひ?こんなところに良い感じの魔女が・・・それに上質な儀式の供物になりそうな幼き娘に大きな魔力を持った大剣使いの女・・・あとはパッとしない男・・・か―――――――
これらは邪神サマが私に与えてくださった恩恵・・・ぐひひひひ。
これは活用しない手はない・・・ぐひひ。」
「ねぇねぇ・・・アレってネクロマンサーよね??
しかも妙に中二病発言で痛いんですけど??」
「痛いと言う話は置いておいて・・・あのネクロマンサーは骸骨兵の間から出てきたと言う事はあのネクロマンサーがこの骸骨兵を操っていたことになる・・・
つまり、アレを倒せばこの依頼は達成と言う事になるな。」
「それにお前たちの事をヤバイ目で見てるしな・・・儀式が何たらとか言ってたし。」
「冗談じゃありませんよ!!あんな中二病になんかの変な儀式に使われてたまりますか!!それに、あのネクロマンサーもやる気満々みたいですよ!!」
キルりんが注意すると・・・先ほどの骸骨兵が再びこちらに近づいてきていた。
「あの者たちを生かして捕らえるのだ!!!そして、邪神サマから授かった儀式を行い・・・私は闇の無限パワーを手に入れ、世界をわが物とし・・・邪神サマの復活を行うのだ!!グヒヒヒヒ!!!!」
「あれは・・・私が見ただけでもわかるくらいにイっちゃってるわね・・・
あのネクロマンサーを倒すにはまず、この骸骨兵を何とかしないとね。」
「骸骨兵なら私に任せろ!!!ハァ!!!ハァァ!!」
「すっげぇ・・・魔王の戦闘力はどんだけ高いんだよ・・・
よし、魔王が何とかしてくれている間にメルトはネクロマンサーに攻撃の準備だ。
俺とキルりんはメルトに近づこうとする骸骨兵を食い止めるぞ。」
「わ、わかりました!!そりゃ!!!!
くッ・・・硬いですね・・・ならば・・・これならどうだ!!!」
キルりんはポケットから液状のものが詰まったビンを骸骨兵に投げつけると・・・骸骨兵の体がシュワシュワと音を立てながら溶けて消滅していき。
キルりんに何をしたのかを尋ねると・・・骸骨兵に聖水を投げつけたと言ってハルトに2つの瓶を渡して、キルりんは効果のあった聖水を骸骨兵に叩きつけながら近付く骸骨兵を根こそぎ溶かして行った。
「ジャージーからもらった清められた聖水の効果は抜群ですね!!!」
「あぁ・・・お~い、そろそろ魔王も退避だ。
メルトがデカイ魔法をぶっ放すぞ。」
「了解だ。」
「さぁ・・・いっくわよぉ~~~
――――――――――アトミックサンダー!!!!」
「この光は・・・・大いなる古代の――――――――――」
メルトの発動した雷魔法によって辺りの骸骨兵は立ち上がる事が出来ないくらいにボロボロになって転がり・・・問題のネクロマンサーも体が黒焦げになって倒れていた。
そして、他の骸骨兵がいないか確かめながらネクロマンサーの所へ行ってどうして骸骨兵で無闇に人を襲ったりしたのかを尋ねると・・・・
「この地は邪神サマの聖地・・・他の魔術に関した者や知識を持たない者を聖域に入れさせるわけにはいかなかったからだ・・・グヒヒ・・・グヒ。
だが・・・そこの魔女・・・どうしてソナタは古の魔法を・・・・」
「逆に聞くけど・・・どうして私の魔法が古の魔法だってわかったの??
もしかして私のファンだったりする??」
「なぁ、古の魔法って何なんだ??」
「私は魔法の事はあまり知らないのですが・・・・昔に使われていたらしいです。今ではあまり使われず知る者が少なくなった魔法だとか何とか・・・魔王は他に何か古の魔法について知ってますか??」
「父から昔聞いた事がある・・・何でもとある文明が魔道の極みの先に得たとされる魔法だ。
その魔法は魔道を極めた者のみが辿り着く根源の先にある何かを知り得たモノのみが使える禁断で最悪の魔法と言われている。
やり方によっては国を1日で滅ぼし2日で海を消失させ3日で世界は覆ると言っていた。」
魔王が説明し終えると・・・ネクロマンサーはケタケタと笑いながらメルトに返答した。
「このネクロマンサー・・・いや、魔道の極みを目指すモノなら誰もが目指すモノだからだ。
その大いなる力をその身に宿した魔女よ・・・くれぐれも魔女狩り同盟には気をつけるがいい・・・・あの同盟はその力を―――――――」
「何よ!?最後の最後で何か大切なことを言う前に勝手に燃えて消えないでよ!?!?
かなり気になっちゃうじゃないのよ!?」
「あ~あ・・・燃え尽きちまったな。
だが、あの話し方だと魔女狩り同盟はメルトの力を狙ってるって感じだったな。」
「用心に越したことはないって事だな。
それに・・・メルトが古の魔法を使えていたことに驚きだ。」
「ですね、メルトの使っていた魔法の一部が古の魔法だとしたら・・・メルトは魔道の極みに至った者なのですか??」
キルりんの質問にメルトは・・・深く考え、「わかんない」と真顔で答えると。
魔王やキルりんはメルトにどうしてわからないのかを尋ねると――――――
「そうね、私が何回か使った古の魔法は分かるの。
だけど・・・どうやって知り得た魔法なのかが一切思い出せないのよね~
それに、私は魔道を極めた覚えもないのよ?」
「メルト、お前・・・また頭を強く打って記憶が飛んでんじゃないのか??
まぁ、メルトが古の魔法が使えるって言うのは秘密にしていた方がよさそうだな。」
「そうですね・・・どこで魔女狩り同盟が聞いているのかもわからないですし。
それに、無理にメルトにわからない事を尋ねても時間の無駄ですし・・・狼煙を焚いてギルドに戻りましょう。」
「それがいい。
メルトが思い出した時に話せるタイミングで話してくれれば何も言うまい。
さぁ・・・帰ろうか。」
キルりんが狼煙を焚いて骸骨兵の残骸を回収してもらうと、ハルトたちはギルドに戻って報酬を受け取り・・・酒場で夕食を食べて家に戻った。
「それじゃおやすみぃ~~~ふわぁぁ~~」
「そんじゃな。」
「おやすみなさいです・・・」
「あぁ、お休み・・・みんな。」
風呂を入り終わったハルトたちは各自の部屋に入って眠りに着こうとした時・・・
「誰かッ!!!!グハッ・・・・め、メルト・・・・・ぐぐッ・・・」
「んぐぐぐぐぐ・・・・ぐぐぐぐうぐぐ!?!?んんんんぐぐぐ!?!?」
「――――――――」
「お前達、メルトとキルりんに何やってんだ!!!」
「ハルト!?どうしたんだ!?
―――――――――――メルト!?」
「お前は先にその魔女を連れて本部に戻れ・・・この者たちの始末はしておく。」
2人の内、メルトを抱えた男は窓を突き破って出て行き・・・残った男はキルりんの前に転がっていたナイフを掴んでこちらを見ていた。
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