55日目 ファイアーリザードの卵集め!!

ギルドに到着すると・・・国王からの設備として備え付けてあるクーラーに当たりながら依頼を幾つか探して検討した結果・・・洞窟ならば涼しいだろうと思い、リザードの卵集めの依頼を受け・・・すぐに出発したのだが―――――――


「ねぇ・・・誰よ・・・こんなクソ熱い時期にこんなクソ熱い灼熱洞窟でリザードの卵を回収する依頼を受けたのは・・・一体誰よ!?!?」

「お前だろうが・・・洞窟は洞窟でも・・・お前ちゃんと字は読んだのか??

どう考えても読み間違えるはずがないぞ?それにこれだけ報酬が高いって事は危険か誰もやりたがらない嫌な依頼って事だろ???」

「それもそうですが・・・私たちは仮にもハンターであり冒険家・・・つまり、一度受けた依頼はキャンセルなんてせずに最後までやり遂げるべきではないでしょうか??」

「それは考えようと状況次第だな・・・この熱さは私も嫌になる熱さだ・・・あのスチームサウナの比じゃないのは確かだ。

やるならやるにして・・・早く依頼を達成して帰ろう!!!きっと帰りの酒場で飲むシュゴビーは最高だぞ!!!」

魔王の発言に少しだけやる気が湧くと・・・早速赤いファイアーリザードの夫婦らしきツガイが現れ、ちょろちょろと移動するリザードを見失わないように後をつけると・・・そこには―――――――


「ひえぇ~~すっごいの数ねぇ。」

「トカゲではなくリザードですよ?ややドラゴンよりのトカゲです。」

「だが・・・このリザードたちの卵を収集して依頼主は何をする気なんだろうな。」

「依頼内容にはの原料になるとか書いてあるな・・・

だが、依頼は依頼だ・・・リザードから卵を指定された数だけもらおう。」

4足歩行のファイアーリザードの巣から指定された4個の卵を収集して帰ろうとした時・・・ズシンズシンと大きな地響きが聞こえ、音のする方を見るとそこには・・・・


「おわぁ!?!?これってファイアーリザードか!?にしてはメチャクチャデカくないか!?」

「きっと・・・以上発達したファイアーリザードでしょうね・・・たまに異常気象とかで大きく成長する害獣がいると聞きますが・・・私にもその成長する部分だけもらえないでしょうかね??」

「んなもん貰ってどうすんのよ!?今はあのデカイのから逃げるのが先決よ!!!」

「今回はメルトの言う事が正しい・・・それじゃ、そっと逃げるんだ・・・・そろぉっとだぞ?」

魔王の注意も虚しく・・・メルトは地面でちょろちょろと動くファイアーリザードの尻尾をぐにゅっと踏むと、そのファイアーリザードの鳴き声に巨大なファイアーリザードが反応してズシンズシンとこちらに向かってきた。


「メルト・・・そのまま動くんじゃねぇぞ・・・・下手すりゃパクだぞ?パク?わかってるな?」

「も、もももも・・・モチロンじゃない!?ハハハハ・・・ハルトってば結構ビビりなのね!?!?こんなことで私がビクビクするわけないじゃない・・・・・

――――――――ヒィッ!?」

「ん~メルトがファイアーリザードにべろんべろんと舐められていますね・・・・美味しそうな臭いでもしたのでしょうか??」

「さぁ、どうだろうな・・・しないと思うのだが・・・・」

メルトはパクではなくベロンベロンと全身を舐められ・・・それはそれで嫌そうな顔をして、ついに限界となったのか氷魔法をファイアーリザードの口に撃ち込んだ。


「おまッ!?んなことしたら・・・・」

「だ、だって仕方ないじゃないの!?ハルトもあいつに全身ベロンベロンの刑になればわかるわよ!!!それにいい気味よ!!!口を開けられなくしてやったわよ!!!これに懲りたら人間様を勝手にベロンベロンするんじゃないっての!!!」

「そんな事より逃げますよ!!何だか危なげな雰囲気です!!!」

「全身ベロンベロンの刑は私も嫌だな・・・おっと、そんなこと言っている場合じゃないな。

―――――――出口はあっちだ!!!走れ!!」

魔王が出口に向かって走るように伝える頃には・・・巨大なファイアーリザードは魔法で凍った口を壁に叩きつけるなりして自力で粉砕し、こちらに全速力で走って来ており・・・魔王は時間稼ぎをすると言い大剣でファイアーリザードを受け止めていた。


「ぐぅぅぅ・・・重いぃ・・・この大きさだとさすがに重いが・・・剣が折れないところから見ると何とか大丈夫そうだ・・・」

「本当に大丈夫ですか!?ぐぬぅ・・・私もアサシンとして参戦したいのですが・・・ここは私のではなさそうなのでここは魔王に任せました!!!」

「アイツ・・・最近活躍したところ見てねぇんだが・・・・狼煙を上げる係なんじゃねぇのか??」

「んなこと言ってないで早く出るわよ!!!魔王がせっかく犠牲になってくれているんだから魔王の分まで私たちは生きるのよ!!!」

なんだか魔王はここで終わりのようなフレーズにカッコイイ顔から少し目をウルウルとさせながら・・・出口でちゃんと待っててほしいと寂しそうに言うと、何も言わず親指を立ててグーサインを出すと・・・魔王は少しニヤッと笑い、ファイヤーリザードを剣で撃ち飛ばして出口を走り抜けると―――――――


「魔王、お疲れさん・・・・魔王がいて助かったぜ・・・・こんなアホ共よりマジで使えるから毎回毎回前線に出てもらって悪いな。」

「アホとは何ですか!!アホなのはメルトですよ!!!私はやれることは限定されますがすごく使えるんですから!!!」

「勝手に人の事をアホアホと決めつけないでくれるかしらね???これでも私は偉大な魔導士――――――――」

「ハァ~なんだか真剣に走ってきた私が馬鹿みたいじゃないか?

でも、これがハルトたちなんだから仕方ないか・・・・で、卵は大丈夫なのか?」

魔王の発言に・・・メルトは背に背負った風呂敷のグチョリ具合に冷や汗が止まらず―――――――――


「おい、待て・・・どこにいこうとしてやがる・・・・その背中の濡れ具合から見てわかるぞ??お前・・・割っただろぉ!!!」

「なッ!?またこのアツアツの洞窟に入って卵を取るなんて嫌ですよ!?

また、あのリザードに追いかけまわされるとか・・・正気の沙汰とは思えません!!!」

「だ、だって・・・逃げるのに必死で卵が割れるとか割れないとかそんな所まで気にする余裕なんてあるわけないじゃないの!!!

その点についてどう思う魔王??私、変なこと言ってる??ねぇ?ねぇ!?」

「いやぁ・・・ん~でも、このままだと依頼はリタイアになるんじゃないのか?

だが、私はリタイアでもこのまま続行するでも構わないぞ?」

この状況から考えるとリタイアするのではなく・・・このままサッと取ってサッと帰還するのが一番いいと言う事で再びアツアツな洞窟の中を進んでファイアーリザードたちの巣から卵を取ると・・・またしても巨大なファイアーリザードがやってきた。


「うわッ!?出ましたよ!?でも・・・なんだか様子が変ですね??

急に襲ってくる様子もありませんね・・・・どうしたんでしょう??」

「そうだな・・・何かあったのか聞いてみるとしよう・・・・」

「え?そのリザードと会話できるのか!?魔王のスペックって未知数だよな・・・・誰かさんたちと比べてさ?」

「何で私とキルりんの体をジロジロ見ていっちゃってんのよ!?私にもちゃんと未知数な部分はあるわよ!!!!」

メルトの未知の部分は頭の中だけで十分と考えていると・・・魔王はリザードと仲良さげに話しているようで笑いながら話していた。


「へぇ~そうなのか・・・リザードの主食はこの辺りに生息している鉱山カニとオアシスの水なのか・・・あ、ハルト。

このファイアーリザードの通称リザさんはメスで・・・最近カレシにフラれ。

そのショックから私たちを見て暴れたと言う事なんだが・・・メルトの放った氷魔法で頭を冷やしたらしく再びクールな状態を通り越してドライになっているらしい。」

「この大きさでメスだったのか・・・いや、そんな事よりもつまりどういうワケだ?」

魔王に質問をすると・・・このファイアーリザードのカレシを探してやりたいと言い出し、面倒なことになったとハルト以外にもメルトやキルりんも面倒というような顔をしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る