56日目 メルトの腕の見せ所?

魔王の数少ない願いにムクロは協力すると言っていたのだが・・・その他2名ほどは微妙な顔をしながら適当に近くにいたファイアーリザードを捕まえて持ってきていた。


「お前ら、真面目に協力する気あんのか???ソレ・・・オスかメスかの区別もついてないだろ??」

「どれも同じじゃないの??どれがオスでメスかなんて私たちにはわからないわよ??どこで見極めんの??」

「この巨大なファイアーリザードの特徴とは違うモノを持つのがオスなのではないでしょうか??」

「大丈夫だ・・・この2人は少しだけネジが外れているが別にバカにしてるわけじゃないんだ・・・ただ、この洞窟の熱さにやられているだけだと思う。」

と、魔王はファイアーリザードを選ぶキルりんとメルトに頑張れとエール多くっていたのだが・・・巨大なファイアーリザードをムクロが見ると、なぜか目を合わせようとせずにそっぽを向かれていた。


「ハァハァ・・・・このトッキントッキンした子なんていいんじゃない??

少し荒々しそうだけど心の奥底では優しさがあるって言うか・・・その・・・ナニ?つまり、いい男じゃない??」

「いえいえ、私はこの・・・あまり動かない・・・これは・・・抜け殻でしょうか?通りで死んでいるように動かないわけですね・・・失敬失敬・・・・」

「その、なんだ?リザさんは・・・この沢山いる中で好みのリザードのタイプはいるのか??」

「ん~その辺は恥ずかしさとかあるだろうから言えないんじゃないのか??

考えてもみろよ・・・学校で好きな人にみんなの前で告白するとか・・・

考えただけでもぞっとする・・・公開処刑もいい所だな。」

ハルトの言葉が通じたのか・・・巨大なファイアーリザードことリザさんはコクリコクリと頷いていた。

そして、メルトとキルりんは休まずにせっせと違うファイアーリザードを持ってくるがどれもダメで・・・とうとう最後の一匹までもがダメとなった時点でリザさんはガクッと肩を落として落ち込んでいると・・・・


「ちょっと・・・ここは男のハルトが慰めるところじゃないの??

女の同情とか慰めはたまにイラっとするけど男の場合はまた別だから行ってあげなさいよ??ねぇ、ホラ。」

「そうですよ・・・ふとした拍子にベロンベロンの刑になるのもパクッといかれるのも嫌ですからね。

ですが、ハルトはパクッとされても割と大丈夫そうなので・・・・ハイ・・・」

「ハルト・・・頼めないか?少しだけ元気が出るように声をかけてやってくれないか?同じ女性という性別もあって見捨ててはおけなくてな・・・」

「ったく・・・食べられたりベロンベロンされ始めたらすぐに助けろよ??絶対だからな!?

えっと・・・リザ・・・さん?あ・・・そんなに気を落とさなくてもいいんじゃないか??何せ・・・リザは体がデカいから相手も大きいドラゴンとかがいいんじゃないか???あ~魔王・・・俺の言葉は通じてるのか??」

魔王は通じているとグーサインを出すと・・・ハルトはリザさんの頭に乗っかって話を続けた。


「えっと・・・つまりだな・・・リザは別にファイアーリザードのオスを追いか蹴るんじゃなくてのドラゴンとかワイバーンを狙うことだってできるんじゃないか??リザのこのダイナマイトボディーがあればきっと大丈夫だ・・・だから元気出せ!!な?お前たちもそう思うだろ??」

「そうですよ!!!この世はばかりがモノを言う世界じゃありません!!!私も気になる部分があるのですが・・・チョッピリですよ?でも、それでも私は日々・・・このハルトたちにバカにされながらですが楽しく日々を送っているのでリザさんも大丈夫ですよ!!!」

「キルりんの気になる部分は体格じゃなくて胸の部位のみでしょ??まぁ、そんなことはいいわね・・・・ハルトが言ってたようにワイバーンがカレシなんてどうかしら!?毎日空のドライブとか最高じゃない???」

「空のワイバーンもいいが私はドラゴンと共に戦いの毎日も捨てがないな!!!勇者とドラゴンとの戦いにファイアーリザードのリザさんが参戦となるとグッと熱くなる展開だと思うんだ私は!!!」

魔王は目をメラメラと輝かせながらグッと握りこぶしを作って熱く語り・・・メルトやキルりんたちもハルトの意見に乗っかりながらフォローすると、リザは少し元気が出たのかハルトたちにベロンベロンとじゃれるように舐め。

時間的にハルトたちは帰ることになり、洞窟でリザと別れ・・・街に向かって帰り道を歩いていると――――――――――


「ねぇみんな・・・私の勘違いだと思ったんだけど・・・言ってもいい??」

「いや、俺もがあえて言わないようにしていたんだ・・・・そのうち帰ってくれると思ったからな――――――」

「ですが、このままだと街のみんなが驚いちゃいますよ???

何せ、こんなにも巨大なファイアーリザードはきっと見た事ないでしょうから・・・」

「にしても・・・どうしたんだリザさん?寂しくなったのか??何?違う??

それはどういう・・・・」

洞窟で別れたはずのファイアーリザードのリザさんをこのまま帰らせるのも何だか心配と帰った後の事が不安であったため・・・4人で考えに考えた結果、少し不安だったがメルトの提案したを試すこととなり。

メルトに指示された薬草を魔王たちと手分けして探し出し・・・メルトは慣れた手つきで薬草をすり鉢でゴリゴリと磨り潰して混ぜる作業を繰り返し・・・最終的にそれらを何回も調合してきた勘を頼りにを混ぜると擬人化薬が完成した。


「で、それは本当に大丈夫なんだろうな?飲ませてカエルになったりどこぞの映画みたいにになったりしないだろうな???」

「だ、大丈夫よ!?私の経験からするとこれほどマジに作った事はないくらいマジの最高のマジ薬よ!!!」

「マジ薬という謎のフレーズは後で問いただすとして・・・このニオイはそそられませんね・・・本当は毒とかではないのですか??アサシンの世界にも調合法はありますが魔術師の調合はやはり当てにできないクレイジーさを感じます。

飲むのは勝手ですが・・・その・・・おすすめはできないです。」

「と、言うわけだリザさん・・・私たちと共に街に入るのであればこの謎の液体XXを・・・命が惜しく飲みたくなければ帰るか違う方法を考えるしかないが・・・・どうする??」

魔王の持つ危ない匂いのする擬人化薬を飲むことに恐怖は無いらしく・・・リザさんは大きな口を開けると・・・魔王は試験管ごと口の中に放り投げた。


「ん?何も起こらないぞ?本当に大丈夫なのか??」

「だ、大丈夫よ!!!きっと・・・リザの体が大きいから少し時間がかかるんだと思うわ・・・たぶん・・・少しも効き目が出ないところを見ると・・・不安なんですけど・・・」

「ん~本当に何も起こりませんね??ただただメルト印の草汁を飲ませただけじゃ・・・・・ん?急に霧が??」

「そう言われてみればそうだな・・・辺りが真っ白になって前が全く見えなくなって・・・・お~い、ハルトたち大丈夫か??」

返事をして互いの安全を確かめると・・・ハルトの腰に誰かが抱き着いたかのような感触があり・・・どうせメルトかキルりんがキリにビビってくっ付いてきただけだと放置していると霧が晴れ。

まず気になったリザさんを見ると・・・その巨体はなく、ハルトの横に―――――


「ん?なんだ?このフニフニした感触??キルりん?いやメルト??オイオイ、冗談はそのくらいにして・・・マジでおこ・・・・えッ!?」

「は、ははは・・・ハルト・・・その腰にくっ付けてる女の子って・・・もしかして!?くぁぁあ!!!私の擬人化薬の勝利よッ!アヒャヒャヒャヒャ!!!どんなもんじゃい!!!って、そうじゃないわよ!?このドヘンタイハルト!!リザの尾から手を放しなさいよ!!!」

「そうですよ!!!さぁリザさん・・・もう大丈夫ハッ!?・・・あん?何ですかこのけしからんモノは!?!?」

「おいおい・・・今はそんなことを言っている場合じゃないだろ・・・さぁ、この布切れで今は我慢してくれ・・・良し、いいぞ。」

「ウウアァァ・・・・アァァ~~~!!!」

リザさんはメルトの微妙な誤差によって人とリザードの中間である半人改めリザ人になっていたが・・・リザさん本人は大変喜んでいるようで、言葉を覚える必要はあったが何とか人として入る事が出来そうであったのだが・・・


「アァァァ~~~ウゥゥゥアァ~~~~」

「えっと・・・リザにまずはやっちゃいけない事とか教えないと駄目そうだな・・・・火を吹いたり岩を割ったりするのは駄目って言う事をな・・・」

「そうですね・・・急に火を噴くとかシャレになりませんからね。

教育係は・・・話の通じた魔王はどうです??」

「私か?ん~薬を飲ませたのも私だからな・・・そうだな、私がリザさんに色々と人間と共に暮らす方法を教えよう。」

「でも、リザードの火炎攻撃と強靭な腕力がそのままあるのは計算外だったけど・・・考えようによってはアリじゃない??」

この世界は多少乱暴な所があるため、自分の身を自分で守れる力があるのはいい事だが、自分のミスをうまくいい方に持っていこうとしているメルトに鉄槌を入れると俺たちは街に向かって再び帰り道を5人で歩き始めた。


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