36日目 サエリアとの死闘の末に・・・
サエリアが泣き出すと・・・メルトはハルトがサエリアにセクハラをして泣かしたと言い出し、闘技場内でのハルトの印象が最低ランクにまで落ち・・・ハルトは違う意味で真っ白となっていた―――――――
「うぇ、ぐすん・・・こうなったら・・・お前の心臓を引きずり出して決めてやる!!!コレでダメなら私の勝機はないッ!!!
――――――――――――――――でやぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」
「ちょっ!?心臓抜くとかシャレにならん―――――――ぐべはッ!?!?
マジか・・・人の腕で腹をかき回されてんのか・・・・」
「ハルトのお腹に腕が・・・ふわぁぁ・・・・」
「キルりん!?えっと・・・コレってかなりマズい状況じゃ・・・・ハルトの心臓を引き抜いて死ぬかどうかなんて試した事ないし・・・・・・」
「そう言う問題じゃないだろ!?ハルトの腹にあのゲス女の腕が突き刺さったのだぞ!!あれは一度消毒じゃの!!!」
「ん~私の鎌で死ななかったんだから多分大丈夫だと思うんだけどなぁ~~でもでも~アレで死んじゃったらそれはそれで私の任務が完了するからいいんだけどぉ。」
と、会場もハルトの腹に腕を突っ込むサエリアの行動に気分を悪くした者やハルトの事をセクハラ野郎と悪口を言う者はいなくなっていた―――――――
そして、サエリアはハルトの腹をグチャグチャとかき混ぜながら探し・・・何かを見つけたのか、手応えのあるものを引き抜くと・・・・
「ナニ、コレ・・・・」
「ハルトよ、眩しいが・・・何が起こって・・・・ん?誰じゃヌシ??」
「バロンが引っこ抜かれたッ!?くッ・・・おい、返しやがれ!!
――――――――と、大丈夫かバロン??よし、今・・・中に戻すからな・・・って!?戻す必要あんのか!?」
呆然と立ち尽くすサエリアからバロンを回収し・・・バロンをそのままにしておくことができず戻そうとしたが――――――――
「バロン、悪いんだが・・・傷が治って入れられそうにないんだが・・・・」
「それは困った・・・そこの若い戦闘民族、ハルトの腹を開いて私を腹に戻してはくれないか???」
バロンは見ず知らずのサエリアに直球で頼むと・・・サエリアは無言のまま近づき手刀でハルトの腹を開いてバロンを捻じ込んだ。
「これでよし!!さっきのは見なかったことにする・・・・さぁ、仕切り直し。」
「よしじゃねぇよ!!!お前・・・マジで滅茶苦茶だなッ!?簡単に人の腹を開いて異物を捻じ込むなよな!!!やっと分離できたってのによぉ・・・・」
「ハルトよ、私は異物ではないぞ??ハルトと共にある運命共同体だからな。」
そして、何もなかったかのように振舞いながらサエリアは手をバキバキと鳴らして攻撃を仕掛けてきた。
「ほら、避けなくていいの??内臓がグチャグチャのミンチになっちゃうよ??」
「ガハッ・・・・んなもん避けれたら初めから避けて攻撃してるっての!!!!
でも、このままやられっぱなしは嫌だしな・・・・・このパワーバカに一泡吹かせないとな。
まずは・・・・これだ。
―――――――――――ホールアウト!!!」
サエリアが追加で殴ろうとした際に魔法を唱えると・・・サエリアはすぐに反応し、後方へ下がってガードしていたが何も起こらず・・・・
「くッ・・・・何かの魔法かと思ったけど・・・ハメられた。」
「そうでもないゼ??
ホラ、かかって来いよ!?ぶっ飛ばしてやるぜ!!!!」
そう言いながらサエリアから遠ざかるように走ると・・・サエリアは地面をエグリながら加速して打撃のモーションを取ったのだが―――――――
「なッ!私の足の下を潜り抜けた!?くそッ・・・止まれない・・・・・」
「いいもの見させてもらったぜ!!!んじゃ、そのまま勢いよく落ちやがれ!!!!」
サエリアは走り込んだスピードを殺すことができないまま走り込むと・・・・地面が抜けてサエリアは落ちて消えて行った。
「あ・・・・勝者・・・・ハル――――――」
「いや、ちょいと待ってくれサエリアのあの執念は異常だ・・・アイツはここを上ってくるだろうから・・・・ほらな?予想通りだろ?」
「まだ・・・終わって・・・いないぞ!!!ハルトォォォォオオォオ!!!」
落とし穴からひょいと顔をのぞかせた瞬間にスリープをかけて眠らせると再びサエリアは穴の中へと落ちていき・・・審判がサエリアの判定すると戦闘続行不可能とみなされ、ハルトの優勝が決まった。
「よっしゃ!!!!今日は飲むわよ!!!!!」
「きょ、今日こそ私もシュゴビーを!?」
「2人とも・・・まずはハルトに拍手だろ??
ハルトなりの良い戦いっぷりであった・・・あとで腹を除菌しないとだな。」
「それにしてもハルトはいつの間にあの得体の知れないタマを体に???
あとあとぉ~古の魔術が使えるのが不思議なんだけどぉ~~面倒だから考えるのや~めた。」
闘技場内はハルトコールで満ち溢れ、王たちが集まりセレジォ王が隣国を束ねて元国王たちと共に良い国を作ることを約束して戦争は幕を閉じ・・・俺たちは王の城へ招かれ――――――
「よくやった、ワシのハルト!!!まさか本当に勝つとは思っていなかったが・・・・いや、丸く収まればすべてよしと言う・・・さぁ今回の褒美である賞金を受け取ってくれ。」
「いくつか言っておくが・・・・もう、これっきり変なイベントに巻き込むのは止めてくれ!!!こんなことが続くのなら体がいくつあっても持たねぇよ!!!
――――――――報酬はいただくが・・・・」
「そうよそうよ!!!で、ハルトサマ・・・・報酬は私たちにも分けてくれる・・・わよね??」
「にへへ・・・そうですよぉ~ハルトが勝てたのは私たちの応援があったからだと私は思うんですよ!!!ですから・・・・少しでいいので恵んでくださいッ!!!!この通りです!!!」
「2人とも・・・王の前だと言うのに・・・・」
「魔王、この2人はどこでもこんな感じだよ??いつもマイペース。」
ごちゃごちゃメルトたちの言葉をスルーしながら待っていると・・・王から通帳を受け取り、中身を確認していると・・・メルトたちはどうして通帳なのかと言う顔をしてこちらを見つめており・・・理由を話すとこうだ――――――――
まず、現金での手渡しは横から奪われる可能性があって危ないと言う点・・・これは現実の日本でも同じことで、なぜ通帳を選んだのかと言うとこの異世界の銀行は魔法で防衛された強固なもので・・・今まで一度も破られたことのなく、引き出す際も偽造通帳や落ちていた他人の通帳を使って引き出すことができないくらい厳重であることから魔王のバイトの時に作った通帳に振り込ませたのである。
と、言う事をメルトとキルりんたちに伝えると・・・通帳に幾ら報酬が振り込まれているのか見せろと言い出し、どうせ無理矢理奪って見られるくらいならと2人に通帳を見せたのだが―――――――
「何よコレ!?文字がうにょうにょしてて全く読めないじゃないの!?
―――――――――――ハルト、インチキしたんじゃないでしょうね!?」
「そうですよ!!!私の目は2.0で目はいい方ですが、私もうにょうにょして見えますよ!!!ちょっとくらいくれたって罰は当たらないじゃないですか!!!!」
「2人とも、それは銀行が仕掛けた個人のプライバシーを守るためのプロテクトだ。
どうしても報酬が知りたければハルトに聞くか、ハルトと共に銀行で実物を見るしかないだろう。」
「ま、そう言う事だ・・・だから返せ。
おい、もう一度だけ言うぞ??返せ・・・・・」
メルトとキルりんは通帳をもって逃げ出し・・・王城を出て行ってしまった。
「アイツら・・・・と、まぁそう言う事だ・・・俺も疲れたから帰る―――――」
「騒がしくしてすまなかった。
それでは今度来るときは手土産の1つでもぶら下げてこよう・・・では、さらばだ。
お~いハルト~~私を置いて行くんじゃない。」
「そんじゃね~バイバ~イ」
「ムクロの仲間もだんだんとよくわからなくなってきておるのぅ・・・ワシの昔の仲間と同じくらい頭のネジが外れておるの・・・・」
セレジォ王は昔の自分の仲間の面影と照らし合わせながら見送り・・・これからのプランを考えながら紅茶を飲んで寛ぎ始めていた。
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