37日目 生きた推薦
王の城を出たメルトたちを追って魔王たちと酒場へ行くと・・・いつもの席に2人は座って酒や飯を食べて騒がしくしていた。
「アヒャヒャヒャヒャ!!!今日はハルトのおごりよぉ!!!みんなじゃんじゃん飲んで食って私たちを称えなさい!!!」
「あの~メルト?あんまりそう言うことを言わない方がいいと思うのですが・・・・私たちも持ち金はあまりないんですよ??」
「てめぇら・・・好き勝手しやがって!!!なんだこの伝票の数は!?
お前・・・金が入った途端コレだよな!?
――――――――お前たちの分はこれだけあったら十分だろ???」
「100万ゴールドの束で私が簡単に体を許すと思ったのかハルト??」
メルトやキルりんたちに通帳と引き換えに100万ゴールドの束を1人ずつに渡すと・・・魔王は変な誤解をしつつメルトやキルりんのテンションはMAXになっていた。
そして、アズラえるは・・・ゴールドを受け取ったのだが――――――
「ハルト、私はお金を必要としないんだけど??
この金額じゃハルトの魂狩りの帳消しには到底届くものでもないし・・・・
買収は不可能よ??」
「いや、そう言う金でもないから!!!お前たちの頭はどうなってんだよ!?
魔王も何急に魔王スイッチONになってんだよ!!
話の流れ的に食事とか身の回りで使うための資金のつもりだ。
だが、この2人みたいに無駄遣いはするんじゃないぞ??」
「何を言っているんですかハルト!!!私は無駄遣いなんて一切したことありませんよ!!!!」
「アヒャヒャヒャヒャ!!!今日は私のおごりよ!!!じゃんじゃん飲みなさい!!!」
キルりんは口に食べかすを付けながらターキーを片手にグーサインを飛ばし、メルトと言えば・・・調子に乗って無駄遣いをしていた。
メルトのバカさに付き合いきれんと感じ、キルりんにメルトの事を任せると・・・魔王とアズラえるを連れて先に家に戻って早めに休むことにした。
「私たちだけで戻ってきたのはいいが・・・あの2人を酒場に置いてきてよかったのか??ハメを外してメルトはきっと・・・大変な事になっていると思うのだが。」
「だからキルりんに任せて俺たちは先に帰ってきたんだ。
メルトの重りは御免だからな。
それに今日は戦って疲れた・・・・俺は先に寝るから―――――」
「おやす~
アズラえるの妙な言い回しにツッコミを入れる気力もなく、フラフラとおぼつかない足取りで部屋に入り・・・ベッドに身を任せるように倒れ込むとそのままぐっすりと寝入っていた。
そして、朝目覚めると・・・・体には疲れや傷跡といったモノがなく、健康そのものであり昨日あった戦争がまるで夢の中の出来事のようであったのだが・・・
顔を洗いに部屋を出ると、廊下にはメルトが酒瓶を抱きしめてグースカと寝込んでおり・・・どかすのも面倒とばかりにメルトを踏み越えて顔を洗いに行くと目覚めたメルトが怒鳴り込んで来た。
「どうして私を踏んで乗り越えていくのよ!?何回も何千回も言うけど私はハルトの主なんだからね!!!その辺、
「お前が邪魔だったから踏んでいったまでだ・・・文句あるなら廊下で寝るな。
俺の言ってることが分かったのならキルりんたちを起こしてこい。」
「それには及びませんよ・・・うぅぅ・・・おはようございます――――――」
メルトとの口論で目覚めたのかキルりんがフラフラしながらやって来ると・・・なんだか体調の悪そうな表情をしていた。
「キルりん、具合でも悪いのか?」
「昨日まであんなにぴんぴんしてたのに・・・おかしいわね・・・」
「全部メルトのせいでしょ!!!あれから2次会3次会とハシゴして・・・どれだけ大変だったことか・・・」
やはりメルトの酒癖は悪かったらしく、俺はメルトと行動しなくてホッとし・・・・キルりんに朝飯を食べに行くか尋ねると、キルりんは「行く」と即答して魔王たちを起こしに向かいながら着替えて戻ってきた。
「さぁ!!2人を起こしてきましたよ!!朝はいいですねぇ~~朝食・・・何ていい響きなのでしょうか!!!お腹が空いては何とやら・・・パンが無かったらコメでも食べればいいじゃないとはよく言ったモノですよね!!!アッハッハ!!!」
「ふわぁ・・・ハルト、それにみんなもおはよう・・・・今日もいい天気だな。
春の陽気で二度寝してしまいそうだ。」
「わからないでもないが・・・魔王はもう少しシャキっとした方がいいんじゃないのか??
れっきとした魔王なんだしさ・・・・」
「そうよねぇ~こうやって一緒に暮らしてるのが不自然なくらいよね。
で、アズラえるはどうして天井に立っているの??」
「いやぁ~天井歩きは死の天使の覚える暗技の1つで私はこの技で選手権を何度も優勝したこともあってですねぇ~聞きたいですか??あ、アレ?皆さん?」
アズラえるを天井に置いたまま4人で酒場に向かうと・・・アズラえるはにゅっといつもの席に現れ・・・手を振っていた。
「いつも思うけどよぉ・・・魔王よりアズラえるの方がタチ悪いんじゃないかって思うんだが・・・・俺だけか??」
「いえ、それは私も思っていました・・・・魔王は話が通じますが、アズラえるは何を考えているのか不明ですので――――――」
「ん~私は2人ともある意味クレイジーだと思うけどギリギリアズラえるの方がクレイジー度が高いかもしれないわね!!!
好きな所に転移できる能力だったり天井移動に命を刈り取る鎌・・・それに飛行能力・・・どれを見ても奇跡を私利私欲に使いたい放題してる感じがするわ。
そんなにポンポンと奇跡を使ってたら最高位の神から何か言われたりしないの??」
「だ、誰がクレイジーだ!!!だれが!!私は魔王の中でも温厚でと評判何だぞ!!!本当だぞ!!う、嘘じゃないからな!!」
メルトの言った最高位の神という発言にアズラえるはピタリと動きを止め、テーブルにもたれかかりながら話をはじめた。
「そうよ、その奇跡を使いすぎた為に私は春までの間を天界で反省文を書いてたのよ・・・・だって、奇跡も力も使わないと損じゃない!?だからバンバン奇跡で空を飛んだり転移したり好き放題したらこうなっちゃって・・・私、死の天使を追放されてただの天使になっちゃうかもしれない―――――――」
「いいことじゃないですか。
死の天使じゃなければ命を狙われる心配がなくて不安の要素が無くなってスッキリ解決です!!」
「そうだな、この中で危険度の高いのは今の所アズラえるの鎌だもんなぁ・・・・」
「で、その・・・死の天使と普通の天使ってどう違うのよ???」
言われてみれば天使の基準が不明なこともあり、アズラえるに話を聞くと・・・・天使には天使の役割と言うモノがあり・・・要所だけ言うと、普通の天使はアルバイトのようなもので死の天使の位は正社員のエリート系とされ・・・奇跡の使用回数も死の天使と無名の天使とでは回数が天と地ほどの差が出ることから死の天使の座から落ちると言う事は職を失うに等しいと言う事であった。
「で、アズラえるはどうしたいんだよ??死の天使になるにしても俺の命が必要なんだろ???」
「私は死の天使になるためにここまでやってきた・・・でも、ハルトの命を奪わずに死の天使になる方法は他にもあるの・・・・それは―――――――――」
「それは何でしょうか???」
「勿体ぶらずに話しなさいよ!!!」
「この流れは何だか嫌な予感がするのだが・・・・・」
アズラえるは鎌を取り出してニヤッと笑うと・・・魔王とハルト以外の魂を抜き取り、説明を始めた。
「その方法は・・・生きた魂に推薦してもらう必要があるんだよねぇ~いやぁ悪いけど少しだけ付き合ってよ。
あ、魔王とハルトはそこで少し待ってて!すぐに戻ってパパっと申請しちゃうから!!!じゃあね!!」
「えっと・・・ベーコンエッグとサラダの盛り合わせ・・・あれれ?2人はどうしたのですか??」
「あはは・・・大丈夫大丈夫・・・少し眠ってるだけだから・・・そこに置いててくれ――――――――――」
「どうする・・・ハルト・・・今じゃ2人は死体と化しているようだが・・・・」
魂を抜き取られた2人はピクリとも動かず・・・だらんと力が入っていない人形のようになり、早くアズラえるが2人の魂をもって帰ることを祈りながら2人の様子を見ながら朝飯を食べることしかできなかった――――――――
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